馬何頭なら交換してくれる?

働き手もつけるから妹を返してくれ。

彼女の価値は幾らだ?

赤ん坊の頃に誘拐され、

白人として育てられた妹を

取り戻そうとカイオワ族の兄

ザカリー家にやってきた。

一家の大黒柱、長男は首をふる。

この土地すべての馬を集めても

払いきれない価値がある。

お断りだ

 

 

許されざる者

ジョン・ヒューストン監督

1957年

バート・ランカスター

オードリー・ヘプバーン

リリアン・ギッシュ

 

オードリー誕生月の5月。

今年は「許されざる者」を再鑑賞

 

去年は「尼僧物語」でした。

 

馬が主役と言ってもいいくらい

馬の撮影が見事拍手カッコいい拍手

役者の皆さんって

馬の乗りこなし方が

半端なく上手いですねぇキラキラ

 

オードリーヘプバーンが

難しい役どころに挑戦した西部劇です。

ご覧になった方、いらっしゃるかな?

愛馬グイパーゴに乗る姿が絵になるラブ

ヒロインは自分の出自に衝撃をうけ、

村人の偏見に晒され

血の繋がらない兄への恋心

敵になった実兄の板挟みに苦しみます。

そして最後の最後で

自分が何者か、自分で決めるのです。

 

 

リリアン・ギッシュ

 

育ての母をリリアン・ギッシュが熱演。

娘を守るためにはどんな嘘もつく、

たとえ自らの手を汚しても

娘を失いたくない。

恐ろしいほどの母性が

凄まじい!

倫理や道徳を超えた

ですねぇ。鬼にも蛇にもなります。

「私がいけなかった、苦しめたね」

娘に謝る親心も含め、強く印象に残ります。

 

感想

 

養女レイチェルは

育ての母から我が子同然に可愛がられ、

血の繋がらない三兄弟と

仲睦まじく暮らしていた。

ところが、

奇妙な老人がウロつきはじめ

「天罰が下るぞ!」

と叫んだ日を境に、人生が変わります。

「どんな男だった?」

「片目でサーベルを持った老人よ」

母の目には不安と涙が浮かび

「ただのいかれた放浪者だよ」

そう誤魔化すが…男は何者か?

長男ベンは牛追いのベテラン。

偏見がなく人望の厚い男。

次男キャッシュは興奮しやすく

父の仇カイオワ族を憎んでいる。

三男アンディ

少年ぽさが残る素直な若者。

そして

養女レイチェルは長男ベンを愛している。

でもベンは自分の気持ちを抑え、

兄と妹の境界線をこえません。

 

「あまり早く大人にならないでくれ…」

呟くだけ。

 

そんなベンの想いが垣間見える

ロデオ競争シーンが良いですよ。

暴れ馬を乗りこなそうと

挑戦する男たち。

「誰が乗っても落とされるんだ」

先住民の若者が挑戦することになる。

彼は馬に対して力づくではなく、

優しく接する。

見事に乗りこなした彼は

レイチェルの前にやってくる。

彼が「髪の毛にゴミがついているよ」

とレイチェルの髪にふれた途端、

ベンがとんできて、張り倒す。

「君を解雇はしない。

ただ妹に触れる者は許さない。

君たちの中で、他にも

彼女の髪についたゴミを

みたものはいるか?」

凄い剣幕のベンに男たちは無言で立ち去る。

自分以外の男がレイチェルを見るだけでも

許せない。

かといって、

彼女の愛に答える素振りはみせない。

 

レイチェルが牧場主の息子と

結婚するとほのめかしても

口をつぐんだまま、背中をみせる。

 

そんな2人がぐっと距離を縮めるのが

インディアンとの攻防です。

牧場主の息子が先住民に殺害された。

母親はレイチェルに食ってかかる。

「お前のせいで息子は死んだ!」

老人ケイシーの暴露話、

公開裁判で

窮地に立たされるレイチェル。

群衆は裸になれと迫る。

庇うベン。

カイオワ族の歴史を記した年表で

真実を知ってしまう。

鏡の前で自分をみつめ

指につけた黒い煤を額へ。

肌が浅黒いのは日焼けのせいだと

思っていた。けれど…。

”あぁ、、

私、インディアンなのね”

次男キャッシュは言う。

 

「父を殺したカイオワ。

その娘とは一緒に暮らせない。

彼女をインディアンに渡さないなら

俺がでていく」

 

 

レイチェルも言う。

 

「争うくらいなら

私がインディアンの集落へもどる」

ベンは彼女を思いとどまらせるため、

強行にでます。

どんなに偏見がなく平和主義であっても

ベンを息子のように思う牧場主でも

愛する者を失うことには耐えられない。

愛って

平和の基にもなれば、

戦争の元にもなる。

血には血を。死には死を。

それは人間の宿命なのかもしれません。

 

カイオワ族が川向こうで笛や太鼓を鳴らし

こちら側では、母がピアノを奏でる。

川を挟んだ音楽の闘い

屋外のピアノを槍でつく先住民。

ボロボロに破壊されるピアノ。

家の中から銃で撃退する家族。

カイオワ族はたくさんの牛を

屋根にのぼらせ、家をつぶそうとする。

一家は牛を炎で応戦。

攻防は激しさを増していき、

どんどん追い詰められていく。

そこでようやく

ベンはレイチェルへの想いを解放する。

同族に銃をかまえるレイチェル。

そんな彼女の銃口の前に酋長が立つ。

「妹よ!」

実兄を前に、引き金をひけない。

血縁か、家族の絆か

 

レイチェルはどう決着をつけるのか…

 

結末はご覧になってくださいね。