舞妓見習いナヨコの水揚げの相手は

なんと62歳の僧侶だった!

宴会の客がナヨコをからかい

「男ならアソコにやかんを

ぶら下げられるんだよ」

お下品な冗談をとばしたもんだから

さぁ、大変(≧∇≦)

真に受けた彼女が

僧侶の鼻先にやかんをつきつけた。

坊さんはトホホ顔になり…

「ナヨコちゃん。そーゆーことはね、

年寄りに言っちゃダメなんだよ」

昼は短大、夜は旦那のお相手生活スタートし、

ナヨコの強運を味方につけた僧侶は

めきめき高い位へと昇っていく。

 

 

あげまん

伊丹十三監督

1990年

宮本信子 津川雅彦

大滝秀治 金田龍之介

一の宮あつ子 菅井きん

洞口頼子 黒田福美

橋爪功 押坂忍

東野英治郎 宝田明

北村和夫 石井苗子

 

レビュー②はヒロインを取り巻く男性陣に注目♪

彼女の運にあやかる連中

豪華すぎる顔ぶれの役者さんたちが

ベルトコンベアーで運ばれるように

登場します。贅沢ですねぇ拍手

 

昭和の雰囲気

社会風刺が小気味よい

 

しかも、男性陣が

そろいもそろってオマヌケさん。

そこが魅力ですねぇハート

伊丹十三監督の脚本には、

清廉潔白な人

聖人君主なんて出てこない。

皆、弱みも、情けない部分もある。

この人間臭さが愛おしい。

ダメンズしたたか女

見つめる伊丹監督の眼差しが優しい。

「アホやなぁ~カワイイなぁ~」って笑っちゃう。

感想

海千山千の者たちが

地位・権力・財をめぐり蠢く。

 

坊さん、銀行の頭取、支店長、

結婚相談所職員、投資家、政治家…

色と欲まみれの人々が汚い手を使っても

のし上がろうとする様子の面白さ!

なかでも、

上品で落ち着いた雰囲気の

初老の銀行頭取(大滝秀治)

この古だぬき、食わせ者なんです。

頭取室から若い歌舞伎役者と出てくる。

役者は色っぽく髪をかきあげ

互いにすまし顔でおじぎをした途端、

 

パタリ。

 

何かが床に。。

あわてて拾い上げようと

頭取と役者の手がのびて…(≧∇≦)

 

男色家というキャラを

ワンカットでみせる楽しい演出です。

 

頭取は、スキャンダルをネタに

投資家からゆすられ、

10億もの大金を用立てることになります。

この10億の横領犯として

主水が責任をとらされそうになるのです。

そんな彼をナヨコは救おうと奮闘します。

さて、ヒロインのお相手

銀行の支店長 鈴木主水(津川雅彦)は

どういう人物か?

侍みたいな名前だけど、普段チャラチャラして

花から花へと

つまみ食いする

プレイボーイ。

ところが、

ナヨコに対し特別な感情を深めていく。

新しい店(銀行)を任され、

プレッシャーで弱気になる彼に

ナヨコはこんな言葉で後押しします。

 

「思いきって

なんでもやりたいこと

やってごらんなさいよ!

失敗してもいいじゃない。

貴方一人くらい

私が食べさせてあげるわ。

ただし、赴任先に要注意人物がいるわ。

足元をすくわれないように気をつけて」

銀行で頭取の秘書をする彼女は

内部事情に精通しており、

賢く助言しながら、応援します。

 

主水は彼女の言葉に勇気が沸いてくる。

 

ところが、

恩をあだで返すように

取締役のイスをめぐり、

出世とを天秤にかけ

出世をとってしまうのです。

 

縁談に気乗りしないものの、

頭取の姪との縁談を承知します。

姪はブランド志向で

プライドが高く傲慢。

ナヨコと対照的な人物です。

ナヨコは、

貞操と愛を天秤にかけをとる。

誤解され、見下されても

好いた男を助けたい。

その一心で10億を回収しようと

総理候補の鶴丸に直談判!

この対決シーンが人情味あって良いなぁ。

相手の心を動かす一手を打つナヨコ。

はたして彼女のどんな言葉が

敵のこころに刺さったのか?!

女の戦争は、

金や名誉、地位を獲得するのではなく

愛しい人の心を獲得し、守りぬくことが勝利。

負けているように見せかけて

結局、彼女のひたむきさ

望みを引き寄せていくのです。

というわけで、

笑って泣けて元気がでる、

私の大好きなお話でした。