PCが苦手な経済学部の亮介が
覚束ない手つきで初期設定をする。
急に気色の悪い映像がでてきた。
”幽霊に会いたいですか?”
バグかな?どうすればいいんだろ?
大学のパソコン室で
理工学部の学生に教えてもらおう。
年上の春江が相談に乗ってくれるが
パソコン初心者の彼は
”右クリックでお気に入り登録”も
”プリントスクリーン”も分からない。
「あなた、PCが苦手なのに
なぜネットを始めようと思ったの?」
「ただ何となく。皆がやってるから」
「人と繋がりたくなったんじゃないの?」
回路
黒沢清監督
2001年
加藤晴彦
麻生久美子
小雪
有坂来瞳
武田真治
風吹ジュン
役所広司
和製ホラーは怖いですねぇ。
大勢いるはずの団地、大学、電車が
ガランとすると、無機質な不気味さが
増します。
負のオーラが漂う団地、
扉の隙間をすーっと横切る黒い影、
書棚の隙間からぬ~っと覗く影。
PCの黒い画面に広がる闇に
映るはずのない自分の後ろ姿が!
ぞぞぞ~っと戦慄が走ります。
ジャンルのどんでん返し
「どうしたの?大丈夫?」
「別に…なんでもない」
平気なフリをする人が増え、
それ以上踏み込めない人も増える。
人と人の距離と孤独を
幽霊に見立てたお話です。
死に取りこまれる人と
そうならない人の境界線って
あるのかな?
あるとすれば何かな?
「リング」?「残穢」?と思っていたら
「バイオハザード」「復活の日」へと
ジャンルの規模が壮大に変わる。
映画って
最後の1秒まで観ないと
わからんものですね![]()
「ポジティブ映画やったんかいっ?!」
ってツッコミいれちゃいました![]()
世紀末感が強いくせに、
不思議と希望が感じられて
エネルギッシュな曲が
背中を押すようなエンディングでした。
感想
あの世が幽霊で定員オーバー。
孤独な魂がこの世へ溢れだす。
会社員ミチに起きた出来事と
大学生の亮介が遭遇する出来事が
同時進行で描かれます。
わからない亮介(加藤晴彦)は
理工学パソコン室を訪ねる。
1台のPC画面をのぞく。
黒い空間に白い玉が動いている。
「これ、なんですか?」
春江先輩(小雪)が答える。
「近づきすぎると離れる。
離れすぎると近づくように
プログラムされた画面よ。
それをずっと眺めていると
気持ち悪くなるの」
まるで、
つかず離れずの関係を保つ
現代社会を模しているようです。
一方、
ミチ(麻生久美子)は
遠方に住む母(風吹ジュン)とも
別の家族と暮らす父とも
距離をとり一人暮らしをしている。
ある日、会社の先輩が欠勤。
様子を見に行った社員も欠勤。
何かよくないことが起きている?
上司に相談すると
「関わらないほうがいい」
と忠告される。
お節介や親切、善意の励ましが
相手を傷つけることになるかも
しれない。
だから、あまり踏み込まないように
したほうがいいよ。
そんな遠慮が、人を孤独にし
生きながらにして
幽霊を生み出していく。
やがて上司とも連絡が取れなくなり…
赤いガムテープでドアを封印し、
結界をつくる人々が増えていく。
あかずの部屋に入ってはいけない。
助けようとテープをはがして
中に入ると絶望が感染していくから。
上司、同僚、親、友人…
身近な人はいずれいなくなる。
だけど、後ろを向かない。
「この先どうなるかわからない。
行ける所まで進もう。
生きれるところまで生きよう」
気持ちを奮い立たせて、前へ前へ。
時には
「私の選択、これで良かったのかな?」
「いっそ私もあっちの世界へ
いったほうがいいのかな?」
迷ったり不安になりながら生きていく。
そうやってあがいているうちは
幽霊ではないのだ。
























