産まれてすぐ母を亡くした

光源氏は女性に母の面影を求めていた。

しかしそろそろ生き方を改めようと

身を固める決心をする。

婚礼の日父の後妻一目みて心が騒ぐ。

母に生き写しだという藤壺

亡き母は見た目だけでなく

心も美しい人だったらしいが

藤壺はどんな人だろう?

知りたい!逢いたい…」

光源氏の思いが高じて

義母と息子は禁断の愛へ。

やがて藤壺に皇子が誕生すると

父(帝)は抱いている赤子を

光源氏にみせながら言った。

「ごらん。

お前の小さい頃にそっくりだよ」

 

新源氏物語

森一生監督

1961年

市川雷蔵

寿美花代

若尾文子

川崎敬三

今年の大河ドラマは「光る君へ」

ついに、きましたね!

世界最古の恋愛小説の作者 紫式部に

スポットライトがあたる年がチュー

 

源氏物語ファンの血が騒ぐ

年になりそうキラキラキラキラ

1000年続くベストセラー「源氏物語」

私は女性百科事典として

女性のタイプごとのエピソードに惹かれました。

オカルトホラーイジメ

政治、陰謀純愛スキャンダル

三角関係親子の情友情死生観

人の世のあらゆることが詰まった

長編エンタメ小説です。

 

 

  母を慕いて

映画化が難しい源氏物語。

どこを切り取り

どこを膨らませるかですね。

森一生監督バージョンは

母への思慕に囚われる人として

光源氏を描いています。

市川雷蔵さんが本当に美しくて

歯が浮くような、

こそばゆいプレイボーイの台詞でも、

彼の口から出ると嫌味がなく、

品があり誠実に思える。

たとえ心にもないことだと

分かっていても許してしまう。

それほどの存在、最高の人たらしですハート

↑もちろん褒め言葉ですよ。

 

 

  感想

源氏の母は、

帝の寵愛をうけた桐壺

 

身分が低いくせに愛されたため

宮中でイジメぬかれ

死んでしまいます。

 

そんな母を持ったため

光源氏のまわりは敵ばかり。

 

孤独な彼は、安らぎと癒しを

女性に見出しながら成長します。

でも、一念発起。

 

葵の上と結婚しますが、

なぜか彼女は心を開いてくれない。

そうなるとますます

藤壺への想いが募り

 

「愛してはいけないのに

愛さずにはいられない」

 

愛の禁断症状に苦しみます。

気を紛らわせようと、他所へ目をむけ

藤壺に似た幼子の若紫をさらい、

理想の女性に育てようとしたり

年上の六条御息所と付き合ったり

宮へ嫁入りがきまっている

朧月夜と逢引したり。


 

光源氏でなくても

 

孤独を埋めるために

 

ゲームを次々攻略したり

スポーツ大会を次々制覇したり、

ギャンブルにつぎこんだり、

資格をとりまくったり

興味の対象に入れ込んで

現実を忘れようとする人は多いもの。

 

でも、やっぱり

藤壺の代わりになる女性はいなくて…。

 

一方、藤壺(寿美花代)も

夫への愛、義理息子への愛の板挟み。

紅葉賀光源氏と頭中将

舞シーンが切なくて良いですよ。

奉納の舞を踊る光源氏の優雅さを

正妻(葵の上)の女房たちが褒め称えます。

 

「光る君のまばゆい美しさで

となりにいる頭中将さんの魅力が

霞むわね。お気の毒なくらい(笑)」

 

葵の上も夫を眺めながら同感

心の奥では誇らしく思っています。

だけど…

夫の心が自分ではなく、

藤壺に向かっていることを

うっすら感じとっています。

 

舞がおわり、褒美の衣を

藤壺が光源氏に運ぶとき

2人は一瞬視線を合わせますが

言葉をかわすことは叶いません。

こんなに近くにいても触れられない。

源氏の心が乱れる。

秘めた想いというのは美しいですねぇ。

その様子をチラ見する葵の上。

男女の秘めた想いに敏感です。

それぞれが無言で気持ちを抑え込みます。

 

「ローマの休日」の謁見シーンでも

立場や身分の違う2人が

大勢の人の前で気持ちを隠すという

切ない場面がありますね。

 

こういう表にだせない気持ちって

キュンとくるなぁラブ

やがて

葵の上が呪い殺され

帝も逝去すると

2人を隔てる壁はなくなります。

 

でも

「道ならぬ恋を葬り去るにはこれしかない」

藤壺は女としての死を選びます。

つまり、出家。

二度と源氏との逢瀬できぬよう

仏に仕えて余生をおくるのです。

幼い子の母を呼ぶ声と、

すがるような源氏の眼差し。

しかし、白装束に身を包んだ藤壺は

死出の旅のような、

花嫁のような姿で

俗世の未練を断ち切ります。

大切な源氏と

我が子を守るための

女の決心ですねぇ。

愛しているからこそ別れる純愛。

 

源氏物語の見どころのひとつ

愛人VS正妻バトル編へ続きます。