フィンランドで始めたかもめ食堂

記念すべきお客さん1号が来店。

日本かぶれの青年です。

「ガッチャマンの歌詞わかりますか?」

女店主は思い出せずモヤモヤ。

旅行中の日本人女性に声をかけてみると…

ビンゴ!

「誰だ誰だ誰だ~空の彼方に踊る影

白い翼のガッチャマーン」

歌詞を完璧に暗記してるなんて

きっとこの人、良い人だわ。

彼女を食堂スタッフに加えた頃、

腕組みして睨むおばさんが出現。

「また、あのおばさんが来てる!

何か恨みでもあるんでしょうか?」

 

かもめ食堂

2006年

荻上直子監督

小林聡美

片桐はいり

もたいまさこ

小林さん、もたいさん、室井さん出演の

TV番組「やっぱり猫が好き」

流行りましたよねぇ。

自然体の会話が楽しかったなぁ。

今作は

片桐さんがツッコミ役として加わり、

共演者2人の魅力を引き出しています。

フィンランドのカモメ

日本の折り紙藁人形和食

2つの国が調和し

小津安二郎監督や、

アキ・カウリスマキ監督の雰囲気を

感じました。

お料理のビジュアルだけでなく

音が美味しい映画です。

珈琲をいれる音。

焼き鮭の脂のジュー。

お肉にタレをからめ焼く音。

カツをあげる油のジュワジュワ音。

衣に包丁をいれるサクサク音。

コップや器の音。

そして

いらっしゃい」の声。

 

 

  ユーモラスな当て字

「初めてのお客さんだから

永久に珈琲は無料なんです」

無料コーヒーの権利をゲットしたのは

青年トンミ・ヒルトネンくん。

利益に貢献しない彼の存在

この食堂を変えるきっかけになります。

彼が「僕の名前を漢字にしてクダサイ」

頼む場面が面白い。

 

私の予想とぜんぜん違っていて

吹き出しましたチュー気づき

外国人の名前を和名にするなら

 

なるべく美しい字を選んであげたい。

 

私なら「敦美 比瑠都稔」かなぁ。

 

ちょっとヤンキーっぽいけどね(笑)

 

ところが!

 

ミドリさん(片桐はいり)が選んだ漢字は

豚身 昼斗念

ブタの身って…(笑)

 

そっかぁ。

 

このユルさ!

 

心地良いなぁ爆  笑気づき

 

  感想

人には色々な事情がある。

でもとりあえず、

お腹を満たそう。

店の前を通りかかった人が

気軽に入れる敷居の低い食堂を

目指すサチエさん。

この店の前に立つ人は、

どこに向かって歩き出せばいいか

迷っている。

ミドリさんは人生を変えたくて

たまたま地図で指さしたムーミンの国へ

やってきた。

マサコさんは介護生活が終わり、

これからどう生きたらいいか判らず

ゆったりとした時間が流れるこの国へ

やってきた。

夫が去り、愛犬が逝き、

この先どうしていいか分からない

地元のおばさん。

店をたたみ、家族に去られたおじさんなど…

立ち止まった人々を

「いらっしゃい」の声が迎え、

焼きたてのシナモンロールの香が包み、

やがて

おにぎりを頬張る。

「もし明日、世界が終わるなら

最後に美味しいものを食べて

友だちを呼んでお酒を飲みたい」

「そのときは

私も呼んでもらえますか?」