祖父に言い渡す。

「ワシの留守中、使用人が羽を伸ばすだろう。

奴の口車にのってはいかんぞ。

けして新車を納屋から出すなよ

しかし、少年はそそのかされ

使用人2人と都会までドライブすることに。

「人間はハメをはずしてこそ

成長するもんだ」

間もなく、車をだまし取られてしまう事態に。
少年は祖父の大切な車を取り戻すことが
できるのか?
 

華麗なる週末

マーク・ライデル監督

1969年

スティーブ・マックイーン

ミッチ・ボーゲル

シャロン・ファレル

ルパート・クロス

音楽はジョン・ウィリアムズ。

華麗なるという邦題から

詐欺師モノかな?と思ったら大違い。

”羽目をはずすから成長するんだ”

自分の行動に責任を持て”

2つの言葉を4日間の旅で学ぶ少年。

ペールイエローの車

ウィントン・フライヤーに乗って

コミカルあり音符風刺あり雷

ハートフルありピンクハートのロードムービーです車

 

  みどころ

こどもの目に映る大人の世界。

黒人差別

娼婦蔑視

権力をふりかざす者

主演はスティーブ・マックイーンだけど

正確には脇役ですね。

年齢が離れた少年と

対等な関係親友という役どころ。

お調子者で気楽に生きる男が、

一皮むける成長物語でもあります。

映画のハイライトは

なんといっても馬レース!

ルールを守って正々堂々と勝負する少年、

ズルをして開き直る大人。

権力者に猛抗議する人々。

少年のひたむきな姿と卑劣な大人の闘い、

手に汗握る場面に感動しました。

 

 

 

  感想

男気(おとこぎ)って

成人男性だけのものじゃない

少年の中にも

女性の中にもありますねぇ。

お金持ちで育ちのよい坊ちゃんが

祖父のいいつけを破ってメンフィスへ。

親友ブーンのいきつけの娼館に泊まることになる。

でも幼い彼ルーシャスには、

そこがどういう場所か判らない。

娼婦たちも少年に気をつかって

下品なネタを封印しますが、

傲慢なオーナーは酒をしつこく勧める。

”ママと約束したから飲まない”

頑として断る少年。

夜、ひとりで眠るのが怖い彼に

ブーンの恋人コニーが

母親のようにやさしく世話をし、

少年と彼女との間に友情が芽生えます。

しかし、彼女の甥が

”アイツは娼婦だぜ”

さげすむ発言をし、

2人は言い合いに。

大喧嘩に発展!

手に怪我を負ったルーシャス少年に

感激するコニー。

”私をかばって

喧嘩してくれた男は

あなたが初めて。

お礼をしなくちゃね。

欲しいものがある?”

”欲しいものはないよ。

だけどもしできることなら…

(生き方を変えてほしい)

なんて言えず、口ごもります。

彼の気持ちを汲むコニー。

”わかったわ。

私、この仕事やめる。

あなたがママと約束して

お酒に手を出さなかったように

私もあなたの期待に応えたい。

約束するわ

しかし、行く先々で

彼女の足をひっぱる輩が登場します。

エロ医者は治療代金のかわりに

身体に触り、身に着けているものを要求。

横暴な保安官は自分にたてつく者は拘留する。

釈放のかわりに、売春を強要。

”全員の釈放と引き換えに俺のいいなりになれ”

ブーンが彼女を引きとめますが、

皆を助けるため、彼女は犠牲になります。

 

少年は猛烈な怒りがこみ上げる。

”もう二度とこんな目に遭わせない”

泣きじゃくり悔しがります。

彼女を守れなかったばかりか、

痣ができるほど殴りつけたブーンのことも

許せない。

全身で体当たり!

泣きながら殴って殴って

やりきれない気持ちをぶつける。

身じろぎもせず、少年の拳をうけとめるブーン。

不甲斐ない自分には、言い訳する権利もない。

”ルーシャス、親友のお前にだけは嫌われたくない”

少年は大人の世界に幻滅。

馬レース目前で田舎へ帰ると宣言します。

すると、普段はひょうきんな

黒人の使用人の目が真剣になる。

 

「車を失っても嘘をついても

娼館にとまっても言い訳できる。

だけど。。

一度きめた勝負から逃げることは

どう言い訳をするのか?

君はお祖父さんにどう話すつもりなんだ?」

 

そして

お祖父さんの車を取り戻すため

草競馬対決へ。

光沢のある黒い馬、地を蹴り力強く駆ける脚!
 
馬のたてがみがなびき、少年は疾走する!
 
前だけをみて風と一体になっていく。

しかし相手は狡猾。

一筋縄ではいかない

反則をする人間が、勝利宣言をするのです。

さぁ、町民たちは黙っちゃいない。

はたして、この決着は?!

 

最後

をついた孫の処遇をどうするか?

祖父が体罰について言及するシーンです。

 

「孫に体罰を与えるのはおよし」

 

「でも、父さんだって僕に同じことを

したじゃないか」

 

「そうさ、ワシは間違っていた。

未熟だったのさ。

悪い行いがムチで許されると思えば

また同じ過ちを繰り返す」

 

体罰で人は成長しない

 

そして、

祖父は静かな口調で語り始めるのだった…

少年だけではなく大人成長する

後味爽やかな名作でした。