「この度、婚約したんです」

 

「まぁ、おめでたい。お相手は?」

 

富豪マキシム

夫人に婚約者を紹介すると

 

振り向いた夫人の目が鋭く光る。

自分の付き人ではないか!

 

「いつの間に?

どんな手を使ったの?

あんたにマンダレーの女主人が

務まるわけない。

本気で愛されてると思っているの?

あの方は前妻に先立たれ

寂しいだけよ」

 

夫人の悔しそうな捨て台詞

花嫁の耳の奥にこびりついて

離れない。

 

 

 
レベッカ

アルフレッド・ヒッチコック監督

1940年

ジョーン・フォンティン

ローレンス・オリヴィエ

ジョージ・サンダース

ジュディス・アンダーソン

(画像お借りしました)

 

ヒロインに名前がないことが

この映画の最大の特徴です。

一度も名前が出てきません。

珍しいでしょう?

「自分の存在が小さい」という、

自己肯定感の低さが伺えます。

 

思い込みが生む心理劇の面白さ!

 

ホラー映画よりも

嫁ぐ女性の心理の方が圧倒的に怖いのです。

 

「華岡青洲の妻」で

嫁姑バトルを描いているけど

 

「レベッカ」では

メイドが姑のポジションです。

 

女性同士のバトルを

ミステリー仕立てにするヒッチコック監督。

 

繰り返しみても飽きない大好きな1本です。

 

以前、

主人公の劣等感に焦点をあてました↓

 

嫁ぎ先で感じる

「なんだか嫌なカンジ」という

違和感がたまりません。

屋敷にただよう亡霊の気配

ヒッチコックのの演出が見事です。

天井の高い屋敷に広がる

主人公をのみこむような演出キラキラ

人々が前妻レベッカについて語るたび

今も生きているような錯覚を起こす。

一度も顔が映らないのに凄い存在感!

ヒッチコック監督の演出の妙ですねぇラブ

主人公が3つの支配から自由になる話。

ホッパー夫人の支配から脱出した

と思ったら、

メイドの嫌がらせに苦しみ、

前妻レベッカの呪縛にもがく。

彼女の心の葛藤を

応援しながら見守るのが面白い。

 

 

 感想

 

不安でたまらないの。

いつも品定めされているようで。

 

富豪の後妻になったヒロインが吐露する。

前妻レベッカは、

高級な贈り物がふさわしい人だった。

彼女を崇拝するメイドは、

持ち物にイニシャルを刺繍し、

一晩中寝ずに起きて帰宅を待ち、

20分かけて髪をとかすことが生き甲斐。

前妻を称える言葉を聞くたびに、

新妻は自分を卑下してしまう。

夫のが信じられなくなる。

夫のほうも

結婚生活に自信がなくなってくる。

「君といると心が安らぎ幸せを感じる。

だけど、自分勝手な結婚だったのでは?

ここにいると不幸かもしれない。

年上で偏屈な自分といたって退屈なだけ。

同世代の男と一緒になった方がいいのでは?

この屋敷から解放してあげるべきでは?」

お互いを思いやるあまり、すれ違う心。

 

夫は新妻に隠しごとがあり、

誤解が誤解を生んでしまう。

 

新婚旅行のビデオに映る

仲睦まじい自分たちの姿

 

それを眺めながら、複雑な心境になる2人。

しかし、

ヨットで遭難した

レベッカの遺体がみつかり、

殺人事件の疑いが浮上。

夫が取り調べをうけることになります。

ヨットにはが開けられていた?

レベッカは妊娠していたのか?

誰もしらない彼女の秘密とは?

ついに夫の口から

レベッカの正体が明かされます。

 

ヒロインの心が解放され

安堵の気持ちがすーっと広がっていく。

 

夫の愛と世間の憧れを

一身に集めた女性だと思い込んでいた。

 

でも、そうじゃなかった。

レベッカは本当はしい人だった。

夜ごと遊びに出かけ、

浮気は夫に優越感を感じるゲームの1つ。

仮面夫婦を演じ世間を欺くことが唯一の愉しみ

癌で余命を言い渡されても、

最後まで素直になれず、

夫に嘘をつく哀れな女性だった。

女中頭ダンバース夫人でさえ、

レベッカの本心を見抜けなかったのです。

私だけがお嬢様のことを全て知っている」

という自負心が音を立てて崩れていきます

さぁ、ダンバース夫人はどうするのか?

夫マキシムが語ります。

 

「知的で美しく、

ユーモアとセンスがあるより

君にはそれ以上のものがある。
優しさ、誠実さ、謙虚さ。
そういう君の
僕を過去から救い出してくれる
だから…
君は今のまま、ありのままで
いておくれ」
 
※2021年12月の記事を再UP