銀行員が通勤電車に乗りこむと、

いきなり紙切れを手渡された。

メモを広げた途端、

額も頬もびっしょり。

車窓の景色がどんどん流れていく。

男の落ち着きなく動きはじめた。

亡くなったはずの友人からの

メッセージだった。

 

 

 
セコンド
アーサー・ハミルトンから
トニー・ウィルソンへの転身

ジョン・フランケンハイマー監督

1966年

ロック・ハドソン

ジョン・ランドルフ

マーレイ・ハミルトン

(画像お借りしました)

 

恋焦がれていたSF不条理スリラー

お取り寄せレンタル。

物語を象徴する

見事なオープニングクレジット

心鷲掴み。

ソウル・バスのデザインなんですね。

瞳のアップが2つに分離し、

包帯を巻いた男の口元が何かを叫ぶ。

葬送曲風な音楽はジェリー・ゴールドスミス

パイプオルガンの不協和音

心臓の鼓動のようなリズムが不安をかきたてます。

スタイリッシュ&大胆なカメラワーク

ヒッチコック「白い恐怖」に出てくる

ダリの悪夢描写に似た演出に萌えハート

期待以上の不条理アートでしたねぇラブ

ロック・ハドソンの衝撃的ラスト、

演技が最恐です!!!!

 

 

  感想

生まれ変わるには

苦痛がともなう

「これまでの自分をリセットして

生き直したい。

自分を変えたい変わりたい。」

 

先日、うちの主人の口から出た言葉です。

 

この映画もズバリ「やりなおし」がテーマ。

自分が何をしたいのか分らない銀行マン。

彼が第二の人生足を踏み入れるとどうなるか

という話です。

3万ドルで人生を提供する秘密結社。

身代わり死体を用意し、

全身整形で生まれ変わるシステム。

 

「アナタには

どんな死が相応しいでしょう?」

 

機械にはさまれる、爆発、狩猟の誤射、

ホテルの火災などはいかがですか?

突飛な話に尻込みするアーサー。

「自分がいなくなったら

妻子が困るだろう。

仕事も重役になるかもしれない。

夏には海へ釣りにいく予定もあるし」

しかし、

「本当に今の生活で

あなたがいる意味ありますか?

 

改めて問われると、自信がなくなる。

 

ついに身分を変え、声帯も指紋も歯も移植。

 

筆跡をかえ、

アーサーからトニーへ転身。

術後、初めて鏡をみた男は

(信じられない)と感動で目を潤ませる。

若く美男子、これが俺なのか。

独身画家として新生活スタート。

知り合った女性とワイン祭へ。

全裸の男女が酒樽で葡萄にまみれ、

酔いしれ大騒ぎ、はじめて味わう悦楽

これが生きるってことなのか!

しかし、責任のない自由さがわびしくなる。

気楽にパーティに集う隣人たちについていけない。

やっぱり昔がなつかしい。

ついに禁じられた過去を曝露してしまう。

 

甥っ子のこと、娘のこと、

卒業した大学の校歌を口ずさむ。

ついには、本名まで。

 

人々の目つきが鋭く、顔が険しくなる。

アーサーは我に返る。

俺亡きあと、妻はどうしているだろう。

俺のことをどう思っていたか

 

知りたい。

 

こういう心理は日本映画「怪談」黒髪のようです。

自宅を訪問する。

 

「ご主人の知り合いの者です。

生前の彼について

思い出話を聞かせてください

 

書斎がすっかり変わっている。

写真たてには過去の自分の顔が。

鏡に映る今の自分と見比べる。

妻は静かに口をひらく。

「あの人のこと、

よく知らないの」

彼は、自分の声に耳を傾ける人でした。

だから、私の声は聴いていませんでした

何がしたいか本人も分かってなくて

望みのモノが手に入っても戸惑うような人。

彼はずっと前から死んだも同然の人

そうか。

自分は出世や財産、

モノが重要だと思って生きてきた。

 

やっとわかったよ。

意義のほうが大事だったんだ。

 

あぁ、かけがえのない存在として

生きなおしたい。

もう一度チャンスがほしい。

やがて明かされる真実。
なぜ自分が誘われたのか。
 
そして、
アーサーは知ることになる。

もう1つ隠されたシステムがあることを。

ぞ~っとする結末の描写をお楽しみくださいね。