女子高生が初めてヤクザの事務所に入ると

掛け軸に四代目組長 星泉

自分と同じ名前⁈

「お嬢さん大丈夫です。

組長に年齢性別の制限はありません。

経験積めばいいんですよ」

「ケンカ・バクチ・人殺しとか

そーゆー経験ですかっ⁈」

彼女が色んな経験を積んでいく物語。

「セーラー服と機関銃」相米慎二監督1981年

薬師丸ひろ子、渡瀬恒彦、柄本明、風祭ゆき

(画像お借りしました)

 

カ・イ・カ・ンでお馴染みの角川作品。

快感とは死と隣り合っているものだ」と言うセリフ。

生と死、ぎりぎりの世界で生きている者たちが

滑稽で、切なく、ピュアで愛しくなってきますよ。

2組のヤクザ父娘を主軸に、

女子高生の成長を描いています。

 

薬師丸ひろ子さんが高校の正門に歩いていくシーンに釘付けになりました。
校門にズラリと並ぶヤクザたち。
たった一人で近づいていく。
先生のメガホンの声を背中で浴びながら。
薬師丸さんがなんとも言えない歩き方!
ひょっこひょこヒョッコヒョコ、
脚は進んでるけど、上半身は逃げ腰。
これ、マネできませんねぇ。クセが強すぎて(笑)
味のある役者さんだなぁ・・・あらためて再認識おねがい

人間ドラマ×コミカル×アバンギャルド×名台詞に感動です。

様々な映画のパロディが詰め込まれたシュールな演出!

映画好きさんがクスッと笑える作りになっていたんですね。

ラガーシャツに短パン姿の少年みたいな娘が

終盤では貴婦人洋装になり、最後は制服&赤いパンプス姿で通風孔の上へ。

マリリンモンローのように。

 

【あらすじ】

交通事故死した父の代わりに、女子高生が目高組を継ぐが

自宅が荒らされ、組員が襲われる。

しかも父は事故でなく殺害されたらしい・・・

 

【感想】

半分しか知らなかった。

泉は火葬場で背中を反らしブリッジをする。

父が燃えて灰になるまでの間、

故人が好きだった♪カスバの女♪を口ずさみながら

涙をこらえて唄う。

父には愛人がいたんだ。

しかもヤクザの組長の息子だった。

泉は、父の妻役、娘役、母親役をやってきたつもり。

だけど父の半分しか知らなかった。

「世の中、嫌なこといっぱい」お供えの果物をかじる。

滅入る気持ちを吹き飛ばすように、バイクの後ろに乗って爆走する。

「組長、俺の背中、雨降ってますよ。びしょぬれですよ」

「だいじょうぶ、もう晴れたから」

人前で涙をみせない気が強くて勇敢なお嬢さん。

一人で他の組に乗り込んでいきます。

クレーンに吊るされ、セメント風呂になんども浸かる。

よく考えたら残酷だけど、なんだか笑えてくるんですよね。

薬師丸ひろ子さんのジタバタぶりが可愛くて。

そんな向こう見ずなお嬢さんを見守るのは、父の愛人マユミ。

マユミと父は、どちらもヤクザの親を持つ身。

親の生き方に反発して家を出た男女。

似た者同士で惹かれ合っていた。

 

彼女も♪カスバの女♪を口ずさむ。

泉の父を忘れられなくて。

 

バーの中でマユミが歌い、

店の外で泉が歌う。

 

涙じゃないのよ 浮気な雨

どおせ カスバの夜 酒場の女の薄情け

 

やるせない気持ちを

店の中と外で共有する名シーン

そして、2人は立ち向かう相手へそれぞれ決着をつける。

 

マユミは山荘で実父と対決!

は父を奪った元凶マシンガンをぶっ放す!

カ・イ・カ・ン

生まれてはじめて裏社会を知った泉。

 

渡瀬恒彦さん演じるヤクザの台詞にぐっときました。

「自分の腐った嫌なにおいがやりきれなくて

自分よりもっと腐ったものに、のめっていく。

そうしないと1日のおわりがせつなくて。

そうやって、その日、その日を生きていく

 

裏稼業から足を洗いたくても、先に進むのが怖い。

泥につかって生きる臆病者なんだ・・・と吐露する男。

 

そんな彼のことを泉は・・・

 

生まれてはじめての口づけを

中年のオジンにあげてしまいました。

 

私、愚かな女になりそうです まる

80年代の邦画、とっても新鮮でした照れ