学者の頭脳は、学者にしか奪えない。
頭の中にある数式を盗み出せ。
アメリカの教授がスパイの任務をはたすべく鉄のカーテンへ。
しかし、事情をしらない恋人が追いかけてきた。
脱出する危険が2倍!さぁ、どうする?
「引き裂かれたカーテン」
アルフレッド・ヒッチコック監督1966年
ポール・ニューマン、ジュリー・アンドリュース
(画像お借りしました)

主人公は、スマートなスパイじゃありません。
暴力沙汰とは縁のない学者
彼の仕事は、核兵器の数式を盗む、ただそれだけ。
不器用な彼が一か八か賭けていくスリル!
困り顔のポール・ニューマン
危機から危機へ綱渡り(*^。^*)

今作で驚きなのは
いろんな女性が登場し、
それぞれが印象的だということ。
農婦、女医、
組織の女、伯爵夫人、バレエダンサー。
協力者か非協力者か密告者か、
女たちがどちら側の人間
そこも見所です。


【感想】
自分の手の内をみせて、信用を勝ち取る。
好奇心に賭けてみよう。

東ベルリンへ到着した教授(ポールニューマン)は、
追いかけてきた恋人(ジュリーアンドリュース)に
売国奴と誤解され愛の危機に。
足手まといになると思い込んでいた恋人。
彼女が、けっこう役に立ってくれるんです。
ターゲットに急接近するサポートをしたり、
協力者を得るきっかけになったりね。
そこが面白い(*^。^*)
私のお気に入り
組織と接触する農場のシーン。
アームストロング教授の監視役グロメクが追ってくる。
地面に書いたπ(組織の暗号)がみつかり、
教授の正体バレてしまう。
保安局へ通報しようとする男めがけて、
農婦が料理を投げつけ
闘いの火ぶたはきっておとされた!


農婦は教授をリードしながら、
男を始末しようとする。

外に待たせているタクシー運転手に
物音が聞こえてはまずい。
静かに殺さなくちゃ。 
もみあう男と教授。
を撃つか?
いや、音が外に漏れてはヤバイ。
包丁にしよう。
羽交い絞めされている監視員をみつめ、
包丁を手にジリ、ジリと近づいていく女。
 

グロメクの肩に刺さったまま、刃が折れる。

まだ死なないΣ( ̄ロ ̄lll)
首元のアップ!
足元のアップ!

他に凶器はないか?
焦る女。
シャベルに気づくと、男の足になんども打ち付ける。

でも、まだ抵抗する。

外へ助けを求めようと、窓に手をのばすグロメク。

農婦と教授のが窓の鍵をしめる。

オーブンにむかって小走りになる農婦!
ガスの元栓をひねる、ひねる。


カメラは上から、男の息の根がとまる瞬間まで映し出す。

教授の首をつかんだ男の両手がはなれ、がヒラヒラと宙を泳ぎ、ついに・・・
呆然とする教授と対照的に、
農婦はすぐに冷静になる。

(もうしっかりしてよ、しょうがない人だねぇ。世話がやけるんだから)

呆れ顔で、血の付いた上着を脱がせる。

血の付いた教授の手を、水道で洗い流す。

学者さんにとって、なれない暴力、殺人。
目の前のことへの衝撃が伝わる心理描写がステキです。

さぁ、お次は頭脳と頭脳がぶつかりあう、
学者同士の心理戦です!

リント博士から数式を引き出すため、
黒板の上で誘い水をかけるアームストロング教授。


教授の数式を「そうじゃなくて、こう!」と修正していく博士。
「あなたの勘違いなんじゃないですか?」
わざとプライドを傷つける。
「勘違いじゃと?このワシが?」

博士は葉巻を投げ捨て、本気モードに突入!!

すらすら、書いていく。

「さぁ、これでどうだ!完璧だろう。」

アームストロング教授の顔つきが変わる。

しめた!とばかり
チョークの文字を目で追い、暗記しはじめる

一文字も見逃すものか・・・
口元はブツブツつぶやき、青い瞳が黒板を食い入るようにみつめる。


校内アナウンスが流れる。
「アームストロングをみつけた者は通報せよ」

ムム⁈
リント博士の顔色が変わる。
あわてて黒板をずらして隠すが、あとの祭り。

さぁ、盗むもの盗んだら、あとは脱出のみ!

自転車、バス、カフェ、郵便局・・・
もう、つかまるか、もうダメか、ドキドキさせられっぱなし。

そして、バレエ公演が行われている劇場へ紛れ込む。
たったひとり、気づいた女がいた。
あっという間に、劇場の出入り口が保安局に固められる。
満席の場内で、逃げ隠れできない。
万事休す。
さぁ、この状況からどうやって脱出するのか?

最後の最後まで、気がぬけない長旅

皆さまも、お楽しみくださいね。