お嬢さんの悲鳴が壁の向こう側から聞こえた!
「娘を早く助けだせ!
なんとかしろ!」
「部屋の出入り口が
どこにも見つかりません!」
養父が苛立ちまぎれに警部を突き飛ばす。ドン!
ぶつけた拍子に飾り壁から
四角い板がカタリと動き、空洞ができた。
なんと寄木細工をほどこした
からくり部屋だったのだ!
金田一耕助が板を左へ、右へ、
下へずらしていくと・・・
「女王蜂」
市川崑監督
岸恵子、司葉子、中井貴恵
沖雅也、高峰三枝子
萩尾みどり、加藤武、大滝秀治
横溝正史小説の虜になった学生時代。
奇抜なトリック・妖艶な殺しの美学。
市川崑監督のオリジナル脚本に何度も脱帽します。
白馬のカットと、お嬢様の乗馬シーンを挿入したことで、
因縁めいた繋がりを感じドキリとしました。
私のお気に入りは紅葉の輝きと和服姿(*^^*)
野点のシーンが京都らしくて、「細雪」みたい。
お嬢様が鮮やかな手さばきで抹茶をたて、ゆっくりと茶筅をとめる。
静かに飲み干す若者の形相が、突然変わった!そして・・・
凄惨な事件なのに、
人が人を想うやさしい物語です。
【あらすじ】
頼朝伝説に惹かれた男たちが、
琴絵という女性に出会い興味を持つ。
再び同じ状況になる。
琴絵の娘へ脅迫文が届き、
花婿候補3人に魔の手がのびる。
いったい誰が、何の目的で?
19年前の事件と関係があるのか?
【ネタバレ感想】
あなたはなぜ
結婚しないのですか?
「私が愛していた方の写真を
おみせしましょうか?」
首から下げていたペンダントをはずし、
その写真の奥にもう1枚隠されていたことを。
「いつか編み物の符号で暗号をつくり、
金田一さんに解いていただく時がくるかも
暗号に挑戦する日がやってくる。
途中で何度も失敗し、
ようやくたどりついたのは・・・
糸をほどいて彼女の想いを
取り出してあげたい。
愛する者を守るため、
命がけでかばった真実を。
さらに、実父を殺害された娘までもが
犯人をかばう。
「私の父は大道寺銀造です。
でも、誰よりも愛してくれていたのは
恩讐の彼方に。
凛とした大人の女性の顔を見届け、
列車に座る金田一耕助の膝には
あみ棒と青い毛糸。
故人を悼みながら、編む姿。
列車が揺れ、青い毛糸玉が
コトンと、転がる。
ぬくもりのある余韻でした。