FBIが囚人に教えを乞う。
博士は彼女を品定めする。
私の弟子にふさわしいかどうか。
賢いだけでは不合格美人でも不合格
礼節も必要だがそれだけでは不十分
彼が求める資質とは?

 

 
羊たちの沈黙
ジョナサン・デミ監督
1990年
ジョディ・フォスター
アンソニー・ホプキンス
スコット・グレン他

 

今作は何度観ても素晴らしい

「ホラー映画にアカデミー賞は獲れない」
と長い間言われ続けた歴史を覆す
アカデミー賞作品。
 
あっと驚く展開の連続、
ミスリードに目がテンになり、
手に汗握るクライマックス!
哲学サスペンスミルフィーユみたいに
交互に挟み込まれた脚本です。
 

 

感想 

 

羊たちの悲鳴がやんだら
教えてくれ

 
女性を殺害して皮を剥ぐという
連続猟奇殺人事件が発生。
FBIは解決の糸口を掴むべく、
訓練生クラリスを協力者へさしむける。
頼みの綱異常犯罪者というのが
面白いですよねぇ。
人肉嗜好という危険人物レクター博士は
傲慢な人間を食べる怪物。

ガラス越しの面談で
ソーシャルディスタンスをとっているが
2人の距離は誰よりもい。

彼は精神科医として
クラリスに興味を持ちはじめる。
彼女の青い瞳
何を求めているのか?
 
私が一番好きな場面
贅沢な檻で対話をするシーン。

警官囚人立場が逆転します。
どちらが柵の中にいるのかわからない演出

一刻も早く犠牲者を救いたいクラリスは
苛立ち柵の外でウロウロする
 

博士は動物園の動物を眺めるように

彼女の様子をじっと静かに観察する。

そして、彼女の勇気す。
子供の頃に受けた
心の傷をさらけだせるかどうか。
、助けを求める子羊を救えなかった。
自分を加害者のように思い、
自責の念から逃れられない。
本気で罪悪感から自由になりたいのなら、
、捕らわれているを救ってみろ。
誘拐された女の子を救い出し、
自分の手で自由をつかめ。
残り時間が迫るギリギリまで
師匠が弟子を導いていく。
殺人なんて、それは二次的なこと
根本じゃない。
表面だけ見るのはやめろ。

もっと物事の本質に目をむけろ。

犯人が何を切望しているのか、考えろ。

レクター博士の二面性が大変魅力的です。
恐ろしく残酷な異常者でありながら、
実は義理堅く、
信頼や尊敬を求める優秀な博士
 
ジキルとハイドを地でいくような人物。
2人は正義・法・恐怖をこえ
不思議な信頼関係を築く。
 
博士に許されたのは、
彼女の人差し指をそーっとなでるわずか1秒間
一瞬だけでも触れてみたいという欲望
怖いような切ないような。
テーブルに置かれた博士が描いたスケッチ。
を抱くマドンナの顔はクラリス
彼女の願いを描き終えた博士
子羊の肉を夕食に注文する。

警官が嫌味をいいながらお盆を運んでくる。
「羊の肉だとよ。
まったく、良いご身分だぜ」
 
警官たちは気づいていない。
博士がゆっくりと口から細長い部品を出し、
怪物へ変身したことを。
 

一方、クラリスは博士の言葉をヒントに
猟奇殺人犯へ近づいていく
 
カラフルな糸巻きに、黒い蛾がとまった!
その瞬間、疑惑が確信へと変わる。
暗闇の中、全身こわばり、
荒い息遣いで銃をかまえ進んでいく。
裸電球に蛾の羽音。
何かにつまづいて転ぶ。
そして殺人鬼の手が彼女にのびる。
 
彼ら自由を掴むことができるのか。