駆け落ちしようと
空港で待ち合わせする男女に
予期せぬ出来事が起こる。
濃霧のため飛行機が飛ばない。
足止めをくう人妻と愛人。
夫へ別れの置手紙を残してきたのに
どうしよう。
妻が自宅に電話してみると
「もしもし?」夫の声だ。
思わず受話器を置いた。
心配そうに夫を見つめるエリザベステイラー、
うなだれる背中のリチャードバートン。
若社長と秘書もステキ。
感想
施しは殺し屋だよ。
人のプライドを殺す。
妻の愛人マークが
どんな高価なダイヤの贈り物でも
真心がなければダメだ。
ピンクのドレスを着た美しい妻。
君の部下が選んだ宝石では意味がない。
彼女は、君自身が選んだ物なら
ライバルにアドバイスするなんて、
お人好しのジゴロさんですねぇ。
本人は自分のことを道化師と呼んでいるけど、
知らないうちにキューピッド役に
一晩ホテルで待機することになる。
こんなに綺麗だったのか。
あいつのために装う姿に、怒りがこみあげてくる。
「あんなヤツのどこがいいのか?
愛の技か?
俺よりもいいのか?
君には何でも与えてきたけど
不足だったんだな」
「私は欲しい物などなかったわ」
激しく言い争い、もみあいに。
ヒビが入り、破片が1枚、音を立てて落ちる。
鏡のひび割れは、
彼のプライドが傷ついた証拠。
腕の痛みで、彼のショックを実感する妻。
険しい表情が一転、
お互いに優しくいたわり合う。
「11年間、君と暮らしてきた」
奥さんは苦笑いしながら
「13年よ・・・。」
夫婦の間で少しのズレ。
このほんのちょっぴりのズレが気になる女心。
一緒にいると倍増してしまう。
だから新しいパートナーと新生活をはじめたい。
それは夫に対する愛とはちがう。
搭乗アナウンスが流れる。
妻の心はゆらぐ。
夫から目が離せない。
「行けよ。
君の顔はもう十分
目に焼きつけたから」
経済界の大物と呼ばれる夫が、
泣きべそをかいて肩を落としている。
自信家でクールな彼がすっかり、くたびれて。
はじめてみる貴方の顔。
13年連れ添って、
相手の行動パターンは
知りつくしていると思っていた。
だけど…
不器用で鈍感で忘れっぽい貴方のこと、
判ってないのは私のほうかも。
妻の心にかかった濃い霧が
すーっと晴れてくる。
「帰りたいの、貴方といっしょに」



















