という字がという字をおんぶして、
しんぼう、しんぼう、さびしんぼう
「君は誰?なんでそんな恰好してるの?」
だれかさんの青春が、
不思議な少女となって現れる。
 

 

 
さびしんぼう
大林宣彦監督
1985年
尾美としのり
富田靖子
藤田弓子
小林稔侍

若者の肩にそっと優しく

手をふれるような映画。

冒頭で、
寺の住職をしている父の木魚の音
息子が弾くピアノ二重奏になり、
やがて父子の合唱に変わっていく。
結末どんな風に変わるのか
ぜひご覧くださいね。
風に髪をなびかせ自転車を漕ぐさびしんぼう
はにかんだ笑顔で
うろちょろ動き回るさびしんぼう
2人を演じる富田靖子さんがとても美しい。
主人公が心奪われるの、わかる~♡♡

尾道の坂をかけおり、
岸壁を走って走って
愛しい女性を追いかけていく。
 
海辺の町、しまなみの美しさがしみますよ。

 

  あらすじ

男子高校生ヒロキ。

幼馴染とじゃれ合いはしゃぐ
毎日を送っていたが、事件が起こる。
恋に落ちたのだ。
ピアノで別れの曲を弾き始めると
不思議な少女が現れて。。
クリスマス、正月、節分、季節は移り、
お母さんの誕生日がやってきた。

 

  感想

人を思いっきり好きになれよ。

 

「お袋さんの青春ってどんなだった?」
「わたしの青春?…ふふっ(笑)」
 
浮かれ騒ぐ子どもを卒業し、
恋を知る大人への一歩を描く物語。
 
「タンタンタヌキの〇タマは~」
と歌う少年が、
ショパンの「別れの曲」を口ずさむ青年へ。
 
変化していく様子が愛おしい。
 
ヒロキは趣味のカメラのファインダー越しに
一人の少女を見つける。
さびしんぼうとあだ名をつけて
心のシャッターを切る。
ある日、幸運なめぐりあわせで、
肩を並べて歩くことに。

一度乗ってみたかった船の上で、
憧れの人と2人。
どこか儚げな美少女が、こんなに近くに。
夕陽を浴びる顔の美しさ。
を知る喜びと切なさが、
代わる代わる入れ替わります。
すると人はしくなる。
だけど、その寂しさこそが幸せ
寂しくない人生よりも、ずっと幸せ。
不思議な少女さびしんぼうが
ヒロキに寄り添います。

「あなたのさびしんぼう(愛しい人)を、
しっかり・・・ね」
お父さん(小林稔侍)と息子(尾美としのり)の
父子風呂シーンが
心の芯までぬくぬくしてきます。
息子がお風呂に入っていると、
いきなり父が入ってきた。
 
「なんだよ、父さん、いきなり!
湯舟狭いから2人は無理だって!」
 
お父さんは強引に、ザブ~と湯につかる。
狭い狭いお風呂に
父子2人ギュウギュウ詰め。
 
お父さんが口を開きます。
 
ヒロキ、誰かを思いっきり好きになれよ。
その人の喜びも悲しみも、
ひっくるめて好きになれ。
 
俺は母さんの全部が気に入って
嫁にもらったんだ。
初恋の思い出だって大切にしてあげたい

お父さんの着替えを運んできたお母さん(藤田弓子)。
お風呂の扉ごしに父子の鼻声が聴こえる。
別れの曲
お母さんにとって生涯忘れられないメロディ。
 
切なさが胸に浮かんで、乙女の顔になりますねぇ。
そして、
ドラマティックな雨が降り注ぎ、さびしんぼうの願いが叶う。
母子、それぞれの青春のきらめきを垣間見る
ファンタジー作品です。