さという字がびという字をおんぶして、
しんぼう、しんぼう、さびしんぼう。
「君は誰?なんでそんな恰好してるの?」
だれかさんの青春が、
不思議な少女となって現れる。
若者の肩にそっと優しく
手をふれるような映画。
冒頭で、
寺の住職をしている父の木魚の音と
息子が弾くピアノが二重奏になり、
やがて父子の合唱に変わっていく。
結末はどんな風に変わるのか、
尾道の坂をかけおり、
岸壁を走って走って
愛しい女性を追いかけていく。
海辺の町、しまなみの美しさがしみますよ。
あらすじ
男子高校生ヒロキ。
幼馴染とじゃれ合いはしゃぐ
毎日を送っていたが、事件が起こる。
恋に落ちたのだ。
ピアノで別れの曲を弾き始めると
不思議な少女が現れて。。
クリスマス、正月、節分、季節は移り、
感想
人を思いっきり好きになれよ。
浮かれ騒ぐ子どもを卒業し、
恋を知る大人への一歩を描く物語。
「タンタンタヌキの〇タマは~」
と歌う少年が、
ショパンの「別れの曲」を口ずさむ青年へ。
変化していく様子が愛おしい。
ヒロキは趣味のカメラのファインダー越しに
憧れの人と2人。
どこか儚げな美少女が、こんなに近くに。
代わる代わる入れ替わります。
恋すると人は寂しくなる。
だけど、その寂しさこそが幸せ。
寂しくない人生よりも、ずっと幸せ。
不思議な少女さびしんぼうがお父さん(小林稔侍)と息子(尾美としのり)の
父子風呂シーンが
心の芯までぬくぬくしてきます。
息子がお風呂に入っていると、
いきなり父が入ってきた。
「なんだよ、父さん、いきなり!
湯舟狭いから2人は無理だって!」
お父さんは強引に、ザブ~と湯につかる。
狭い狭いお風呂に
父子2人ギュウギュウ詰め。
お父さんが口を開きます。
ヒロキ、誰かを思いっきり好きになれよ。
その人の喜びも悲しみも、
ひっくるめて好きになれ。
俺は母さんの全部が気に入って
嫁にもらったんだ。
お風呂の扉ごしに父子の鼻声が聴こえる。
別れの曲
お母さんにとって生涯忘れられないメロディ。
切なさが胸に浮かんで、乙女の顔になりますねぇ。
そして、
母子、それぞれの青春のきらめきを垣間見る