高価な贈り物はいらないわ。
白いカーネーションを1輪だけ。
彼のスーツ襟に挿した花と一緒に
自宅へもどるアリアーヌ。
貴方の総てを知ってるけど、
私のことは教えてあげない
私の名前も、素性も、
貴方が初恋の人だということも。
 

 

 
昼下りの情事
ビリー・ワイルダー監督
1957年
オードリー・ヘプバーン
ゲイリー・クーパー
モーリス・シュヴァリエ

 

「麗しのサブリナ」「昼下りの情事」
父娘のやりとりが大好きです
「ワシが金持ちなら、
お前にダイヤモンドを降らせてやるんだがなぁ。
探偵だから、
つきあう相手を調べることしかできない」
 
愛娘を幸せにしてくれる
誠実な男かどうか?
娘のことをしているかどうか?
もしも、娘への気持ちが本気じゃないなら
傷つけないでやってくれ…。
 
父の切実な願い。
見守ることしかできなくて
ヤキモキする親心にジーン泣
 
 

 

あらすじ

 

世界中の女性とアバンチュールを楽しむ大富豪
あとくされのない関係が理想的。

お気軽に情事を楽しむ男の前に

謎めいた女性が現れて…。

 

 

感想

 

 

魅惑のワルツが止まらない。

止められない。

フラナガン氏が女性をくどく必須アイテム
楽団の生演奏
「特にバイオリンが女心をぐっと掴むんだ」
 
チャールダッシュ(ハンガリー舞曲)の
リズミカルなテンポから
22時前には女心をとろけさせる
魅惑のワルツが流れ出す。
ワルツが終わる合図で
楽団はホテルの部屋を後にする。
ドアノブには
「入室おことわり」をかけて笑
 
この4人組楽士は、セリフがありません。
でも彼らの存在が最高にほっこり
(↓舟遊びにもついていく。水上演奏)
 
音楽院の学生アリアーヌ。
恋多き女性になりきって
フラナガン氏と逢引き
探偵業のお父さんの資料室から、
彼に関する情報をゲットし、
依頼人の毛皮を拝借
「アンクレットは挑発的
アクセサリーになる」
という父の言葉をうけて、
安物のボールチェーンを足首へ。
「プラチナのアンクレットよ。
彼氏からの贈り物なの。
たくさんの男性のうちアナタは20番目
 
プレイボーイの嫉妬心にがついた!
思わずチェーンを引きちぎる

徐々に彼女のペースに

振り回されていきますよ(^_-)

面白くなるのは
フラナガン氏がやけ酒をあおるシーンあたりから。
彼の心が彼女へぐ~っと傾いていくんです。
 
アリアーヌが録音した男性遍歴
何度も再生しては、空き瓶がふえていく。
 
テーブルにのった4つのグラスシャンパンを注ぐ。
そのテーブルを楽士たちの前にすべらせる。
楽士たちは喜んでお酒をよばれながら、乾杯!
 
 
それだけじゃ終わらない。
楽士たちは、タクシーに詰め込まれる
行く先は、蒸し暑いサウナ
蒸気でじっとり濡れた背広に身を包み、
ミストの中にもかかわらず演奏を続けます。
 
フラナガン氏のモヤモヤした表情と、
大汗かきながら奏でる4人組
なんとも可笑しい爆  笑
 
「おや?音が変だぞ」
バイオリンから水をじゃ~~っと流して
再び演奏を続けます。

 


 

そしてこの映画の一番の見所といえば、

やっぱり

汽車を見送るラストシーン☆彡
 

動き出した汽車に

小走りで並走するアリアーヌ。

 
白いカーネーションを握ったまま、
「わたしは大丈夫。
しくなんかないわ」
 
オードリーの健気な姿がたまりません。
 
彼に正体がバレていることも知らず、
恋の予定を並べたてるいじらしさ
 
フラナガン氏の気持ちが
大きく揺れていく
 
気ままな独身貴族か、か。
 
列車が進んでいく、彼女の必死な顔。
 
ついに、その時がくる。
 
白いカーネーションの花は、
彼女と一緒に彼のの中へ
 
4人の楽士が駅のホームで見送ります。
最後の魅惑のワルツを奏でながら。
 
もう、女性をくどく音楽は必要ありません。
 
プレイボーイ、卒業おめでとう。