「人間は一人では生きていけない。その運命に逆らっちゃいかん。
分かるね、寅次郎君。分かるね・・・」
博の母が亡くなった。
お葬式にいつもの姿でやってきた寅さんは、博の父からこんな話を聴かされる。
「暗い畦道を歩いていたときにな、家の灯りが見えた。
その家にはリンドウの花がたくさん咲いていた・・・」
タカ兄(志村喬さん)が出ているから、借りた今作。
「’ぺこぺ~こぽんぽん’の歌、やめなさい」
からの、リンドウの話が・・・もう沁みて沁みて。
印刷工場のインクだらけになった顔。
でもね、やっぱり寅さんは
一番大事なことを知っているんだよ。【娘の感想】
人には皆、捨てられない今の生活がある。
父を一人故郷に残してきた博は、父の寂しさを感じながら、
これからも柴又で暮らし続けるだろう。
柴又で喫茶店を開いた女性は、
「寅さんみたいに旅をするのが夢だったの。
そんな風に思ったことはあるかい。」
「あるわ。一度はお兄ちゃんと交代して、あたしのこと心配させてやりたいわ。
寒い冬の夜、こたつに入りながら
『ああ、今頃さくらはどうしてるかな』って。そう心配させてやりたいわよ。」
「そうかい。さくら、すまねぇ。」
「そうかい。さくら、すまねぇ。」
北風が吹いている。