結婚も子育ても
ゴッホの絵を描きながら生きてきた。
ひまわりの絵の下で赤ん坊をあやし
眠い目をこすりながら筆を走らせてきた。
中国のゴッホと言われる男が
本物の絵に会いにいく
ドキュメンタリー。

 

 
世界で一番ゴッホを描いた男
1996年
ユイ・ハイボー監督
チャオ・シャオヨン
今週は
「芸術の秋を先取りしよう!」
母娘でおでかけしています。
 
印象派の画家と、
彼らに影響を与えた浮世絵展へ。
 
今作は
娘がTSUTAYAで借りたドキュメンタリー。
 
薦められて私も観たのですが、
ゴッホへの敬愛が素晴らしくて
感動しました。
 
「一度でいいから
本物の絵を見たい」
という夢を叶え
 
オランダの地を踏んだことで、
人生の転機をむかえる男の姿が
しみじみといいんです。
 
「これから先、どうやって描いていこう?」
途方にくれる彼のうつろな眼差しが、
 
「ゴッホのように評価を求めず
心のままに描いていこう」
希望の瞳に変わっていく。
 
 

 

  感想

ゴッホが追い求めたのは、

金じゃない。
芸術の高みだ。
 
 
ゴッホ展が開催されると
私たちは沢山の本物に触れるチャンスがある。
 
「絵はいいけど、彼は狂人だよね」
と、見下す人々。
 
その一方で
 
画家の貧困、病気、苦悩を含めて
尊敬し、憧れ続ける人々がいる。
20年間、
ひたすらゴッホの複製画
取り組んできた男。
 
彼は一度も本物をみたことがない。
画集や写真では伝わらない、色、空気。
「きっと何か気づきが
得られるはずだ」
 
油絵村で暮らす人々を代表して
オランダへ飛ぶ。
 
「千里どころか万里の彼方から
あいにきたんだよ」
 
ゴッホに語りかける男。
 

自分の描いた複製画の前で、たたずむ男。
 
彼が見たものとは…
450元で売った絵が4000元で売られる現実
お土産物屋さんで、
キャラクターTシャツの横にぶらさがる自分の絵。
 
腕組みをし、たばこをふかす彼がつぶやく。
 
「くたくたに疲れたよ」
描いても描いても貧しい
自分とゴッホが重なる。
美術館で本物の自画像と対面する。
じっと見つめ、ポツリと一言。
 
「色がちがうな。」
原画はやはり全然違う。
比べ物にならない、、
ゴッホは芸術家だ。
 
はたして俺は芸術家だろうか?
いや、職人だ。
 
怒ったような表情、やるせない想い。
ゴッホが治療をうけた病院で、
柵越しに外を眺める。
夜のカフェテラスで描いてみる。
ゴッホの参り。
中国式のおじぎをして
中国の煙草に火をつけ供える。
 

そして・・・

自分の「これから」を見つける。

 
ゴッホの死後も、
ゴッホと共に生き続ける人々。
 
彼らの熱い思いがこもった1本です。