バレエより結婚を選んだ母ディーディー
結婚よりバレエを選んだ名づけ親エマ
娘は自分の道を貫くエマに心酔していく。
母は焦燥と不安がつのる。
「私からバレエの座を奪ったくせに
こんどは娘まで盗る気?」
 

 

 
愛と喝采の日々
ハーバート・ロス監督
1977年
シャーリー・マクレーン
アン・バンクロフト

「愛と○○」という邦題が流行した時代。

今作の原題は

ターニングポイント=人生の分岐点

親世代、子世代、
それぞれの分岐点を描くヒューマンドラマです。
なんといってもバレエ芸術が見所。
人生の歓びと迷いに
オーバーラップするという演出が素晴らしい!!
照明に浮かび上がるシルエット、
高い跳躍、リフト、ダンスを上から下から、
後ろから正面から、あらゆる角度で味わえます。
まるで私たちも一緒に舞台で踊っているような
臨場感をお楽しみくださいね。

 

  あらすじ

 

忙しい子育てが一段落した
主婦ディーディー。
そんな時、久しぶりに親友と再会する。
プリマの道を究め、輝いている親友の姿。
そして、ダンスに打ち込む娘の姿。
かつての自分の姿と重なる。
 
「もしもあの時、
結婚よりバレエを選んでいたら・・・」
自分の人生のターニングポイントをふりかえり
揺れはじめる。
 
 

 

  感想

自分の選んだ道だから、

後悔したくない。

「だけど、あのとき・・・」
娘が舞台で照明を浴び、
スターを目指す姿に自分が重なる
かつて好きな彼をつかまえたくて、
妊娠、結婚したディーディー。
彼もバレエをやめ、自分もやめた。
 
彼はそれでよかったの?
私はそれでよかったの?
 
元はと言えば、
親友にそそのかされて
結婚を焦ってしまったんだ。
彼女は主役がほしかったんだから。
ライバルを減らすために、
仕向けたに違いない。
彼女の口から
当時の気持ちを聞きたい。
今さらだけど、でも・・・
 
一方、
親友はプリマドンナとしての
寿命が迫っていた。
年老いると、永遠に主役ではいられない。
そんなことは百も承知だけど。。
”これからは、
若い娘たちの指導者として頑張って”
引退を催促される日がくるなんて。
この私が現役を退くなんて、
まだ早いわ。それなのに・・・
そんな2人の女が
バーカウンターで火花を散らす。
 
ディーディーは口火をきった。
「2人の王女の童話を覚えてる?」
1人の王女が口を開くと
美しい宝石がでてくる。
もう1人の口からは
ヒキガエルヤモリがでてくるの。
 
ディーディーの口から
ずっと我慢してきた
ヒキガエルがでてくる、でてくる。
エマの口からも、次から次へとでてくる。 
 
互いの嫉妬で心と身体をぶつけあう。
積もり積もった本音が炸裂!
つかみあい、とっくみあい、
お尻をたたきあって
ぐるぐる回る。
 
バッグもイヤリングもふっとんだ。
 
次第に笑いがこみあげ
思わず吹き出す2人。
 
バッグを拾い手渡すディーディー。
 
「イヤリングがどっかいっちゃったけど、
もういいわ」
と、満足そうなエマ。
 
「あの頃の私は、必死だった。
あなたに役をとられると思ったのね。
バレエを続けるためには、
どんなことでも言ったわ」
 
ついに20年間ずっと聞きたかった言葉
エマの口からでた。
でも、もう1つ聞きたい言葉がある。
それは、夫の言葉
「僕の選んだ道に、満足しているよ。」
抱擁する両親を見つめる娘。
 
彼女も人生の分岐点
(ターニングポイント)に立ち、
今まさに、自分の道を選ぼうとしていた。
たとえ、
こうなることがわかっていたとしても
やっぱり、この道を選んでいたわ。

友情、生き方、大人のヒューマンドラマです。