「息子が突然、自閉症誘拐された」
「この子に何が起きても愛しぬいてみせる」
医師「息子さんの言葉は二度と戻らないだろう」
しかし翌年、
家族で「リトルマーメイド」をみていると
息子が突然、悪役アースラの台詞を叫んだ。
「声をよこせ」と。
3回も同じ場面に巻き戻し
「声をよこせ」と繰り返した。
なぜ彼は、この台詞を選んだのだろうか?
 

 

 
ぼくと魔法の言葉たち 2017年
(画像お借りしました)
 

 

2017年劇場鑑賞した娘が
こんな話をしました。
オーウェンが羨ましい。
家族と共通の言語で会話をするんだよ。 
それはディズニー映画のセリフ
好きなものに、自分の気持ちをのせて
コミュニケーションがとれるって良いなぁ。
私も映画を通して
自分の思っている事とか考えを外に出したい。
家族で一緒に楽しく過ごしたい。
だけど、そんなの我儘だし、強制できないし」
 
 

 
当時、うつ病のため、不眠に苦しんでいた娘。
ささいな言葉にも傷つきやすい時期でした。
TVの報道も、雑誌も、SNSはもちろん、
すべての人の言葉が辛く重く耐えられない日々。
 
大好きな映画だけが、唯一、生き残っていました。
不思議なことに、映画の人物、監督の言葉なら、
心を逆立てることなく聴くことができたのです。

 

 
うつ病や不安障害の投薬治療には
長い時間がかかります。
「認知行動療法をするには、まだ早い」
と医師に告げられ、
「お嬢さんにとって、時間かせぎが必要です。
脳神経が動くようになるまでの辛い期間を
どうやってしのぐか、そこですね。」
 
時間をかせぐ?
どうやってその間を乗り切るのか?
 
じゃあ、今できることは
娘の好きな世界に飛び込んでみよう。
 
 
ということで、
体調の良いタイミングで
おうちシネマ会をするようになりました。
 
オーウェンがディズニーアニメの
キャラクターのセリフや歌で会話をするように
我が家も映画の登場人物の台詞や名言で
冗談を言い合ったりモノマネをしたり。
 
お互いの物事の捉え方を知るきっかけにもなりました。
 
つまり、我が家の場合は
映画日本語以外の共通言語になりました。
 
そんなヒントをくれたドキュメンタリー作品です。
 

 

  感想

 

僕は一人の脇役も見捨てない。

 
自閉症のオーウェンはディズニー映画が大好き。
初めての口にした台詞は「声がほしい」
悪役アースラの言葉。

息子とコミュニケーショをとりたいと願っていた両親。
あるとき、お父さんが
「アラジン」に出てくるオウムのイアーゴになりきって
オーウェンの気持ちを尋ねてみた。
すると、驚いたことに答えが返ってきた。
初めて息子と会話をした!
思わずこみあげてくる
泣きそうになる感動をこらえる。
役に徹しなくちゃ…父はイアーゴになり続けた。
家族全員でオーウェンを取り戻していく姿が、描かれます。
友達がほしいときは「ジャングルブック」
あきらめない姿勢を「ヘラクレス」
人間の気持ちを知るには「ピノキオ」
学校でイジメにあい
自宅から出られなくなったときは
「ノートルダムの鐘」
大人になるのが怖い「ピーターパン」
初めて独り暮らしに挑戦するときは「ダンボ」
好きな彼女と見た「アラジン」
初恋を失ったときは
「リトルマーメイド」
親との別れ自立を学ぶ「バンビ」
「ライオンキング」
そして、これからは
ディズニー映画に描かれない様々なこと
挑戦していく。
 
台本のない現実にぶつかっていく
 
パリでのスピーチ
オーウェンの想いがこめられています。
「ノートルダムの鐘」
カジモドと自分を重ねあわせて
脇役と自分の存在について語ります。
彼の心の声に耳を傾けてくださいね。
お父さんの言葉が、印象的です。
「彼は、
不条理な出来事を乗り越える力が
ついてきた。
これからもっと
失敗体験を積んでいく。
きっと大丈夫