旅行案内書(ガイドブック)なんて手放しなさい。

見知らぬ街で迷う、これこそが旅の醍醐味。
さぁ、迷うという冒険をしてみましょう。
フィレンツェへ観光にきたお嬢さんと従姉。
「宿泊した部屋の眺めが悪い」
愚痴をこぼしていると、
「部屋を取り換えましょう」
と父子が申し出てくれる。
彼らとイギリスで再会をすることになるが…
 

 

 
眺めのいい部屋
ジェームズ・アイヴォリー監督 
1985年
ヘレナ・ボナム・カーター
マギー・スミス
ジュディ・ディンチ
ジュリアン・サンズ

 

ルノワール、マネ、モネなど
印象派の絵画が動いているような美の極地。
 
アカデミー賞脚色賞・美術賞・衣装賞受賞。

 


 

プッチーニの調べ、

イタリア&イギリス風景が

私たちを旅人にしてくれる1本です。

若者を取りまく年長者たちが全員魅力的
 
名台詞にしみじみするイギリス映画です。
 

 

 

  感想

秩序品行方正にしばられたイギリスの生活。

たまには、
イタリアで心の赴くまま冒険したい。
女性たちの夢が若い世代に託される。
 
年長者たちの言葉
スーッと心にしみていく。
 
観光ガイドを片手に
名所旧跡を見てまわるなんて、ばからしい。
表面だけをめぐって
何も残らない。
迷いながら歩いてみて。
街の匂いを嗅いで、耳をすましてごらんなさい。
 
そういえば、私も新婚旅行
同じ言葉をぶつけたっけなぁ・・・
 
オーストラリアで半日観光やら、
市内バスツアーを申し込んだ主人。
「ひきまわしの刑だわ!
もう、うんざり」
最終日のシドニーでは
キャンセルしてもらいました。

自由気ままに見知らぬ街を散策する楽しさ、
こっちの道はどこにつながってるんだろう、
のぞきこみ、ワクワクする。
 
現地の人に話しかけられたり、
街角では、雑誌のモデル撮影会に遭遇したり、
日用雑貨店で洗剤のパッケージにウケたり、
鐘の音につられて教会へ入ってみたり・・・

 

自分の足で歩いて冒険してみると
思いがけない事がいっぱい♪
 
今作では若い男女に
予期しない出来事が起こります。
部屋を交換してくれた父子。
息子のジョージは、悩み多き青年です。
彼の頭に常に浮かぶ?の文字
宇宙について?世界は不幸か?
人生とは?生きるってなんだ?
通俗的な慣習や常識に意味あるのか?
彼の父はルーシーに言います。
「息子に教えたい。
人生のすばらしさを」
若い2人を結びつけるきっかけは・・・
イタリア人の喧嘩
血まみれの男性が目の前に倒れ、
ルーシーは気絶し、
その場に居合わせたジョージは、
彼女を介抱する。
「イタリア人って
陽気で親切だと思っていたけど、
こんな荒々しい面もあるのね。」
 
ルーシー
「でも、騒ぎがおさまれば
元通りの街になるわね。」
 
ジョージ
「僕は元どおりになれない。君もだ」
 
ジョージが告げるの予感。
 
そしてピクニックの出来事
2人きりになった瞬間の景色
彼らの心に刻まれます。
イギリスへもどったルーシーは
別の男性と婚約する。
そこに再び運命がめぐってくる。
ルーシーの婚約者が読む
ロマンス小説の場面に
ドキドキします。
イタリア旅行で知り合った女流作家が書いたもの。
「芥子の花が咲く、黄金色に輝く大麦の海で、
男は無言で彼女を抱きしめた・・・」
婚約者が朗読する声を聴くルーシージョージ。 
あっ!?!
自分たちのことが書いてある。
驚きながら黙って互いをみつめあう。
 
青年の瞳に情熱がわきあがり
2人の心にあの日の風景が蘇る。
 
なにも知らない婚約者がつぶやく。
「なかなか名作だ・・・」
こういう密やかな空気のシチュエーションって
いいですねぇ。
 
2人の冒険
道に迷ったり途方にくれながら
進んでいきます。
そして、
一番待ち望んでいる言葉へと
たどりつくのです。
 
「僕の腕の中にいても、
君は意志をもっていてほしい」
 
2019年4月の記事を再UPしました。