ETがビールを飲むと少年がゲップする。
少年はお父さんに会いたい。
ETも家族に会いたい。
ET、デンワ、おうち。
同じ寂しさを持つ2人。
宇宙人と地球人の
心身がシンクロしていく面白さ。

 

 
E.T.
スティーヴン・スピルバーグ監督
1982年
ヘンリー・トーマス
ドリュー・バリモア

今日はUFOの日だそうですね。

 
何回見ても、温かい気持ちになれる名作。
友情と絆、成長物語を

愉快なエピソードてんこ盛りで見せてくれます。
酔っぱらってカエルを逃がす場面、
ハロウィン仮装場面、
自転車とパトカーのカーアクション。
そして
利己的な大人たちの手を逃れて
空へ飛び立つ解放感、爽快感は
理屈抜きで感動しますねぇ。
 

 

  感想

今作では
死の別れ希望の別れ
2つの別れが描かれます。

 

宇宙人が繰り返す片言の言葉が

迷子センターに収容された子供みたい。

「ET、デンワ、おうち」

「わぉ!しゃべった!」
「すごい!」
はじめは、
驚きと喜びで興奮する子供たち。
みたこともない生物が我が家にやってきた。
みんなに内緒だ。
自分たちだけの秘密♪
ウキウキする子供たち。
ET、
デンワ、
おうち
「おうち…そう、君の家だよ」
でも同じ言葉を繰り返すうち
子どもたちはハッとする。
末っ子ちゃんの瞳に、
優しさいたわりが浮かぶ。
ETの寂しい気持ちが伝わってきた。
それは、3人兄弟妹が
に会いたい気持ちと同じ。
 
出て行った
父さんのシャツの香り
かぐときの、せつない思い。
 
「お家に帰りたい」
という訴えに気づいた3人。
 
なんとも言えない顔
なりますねぇ。
察する心に、ぐっときます。
なんとかしてあげたい。
信号をおくる手伝いをする子供たち。
 
一心同体になってゆく少年と宇宙人。
 
だが、命の光が弱くなり、
少しずつ2人の魂がはなれていく。
最初の別れが訪れる。
一度は白く冷たくなったETの体。
 
末っ子ちゃんが抱えてきた
植木鉢の花も萎れて枯れる。
 
彼女が言います。
「もどってくる?待つわ」
あぁ、この場面は・・・
 
少年とETが
絵本の読み聞かせをきく場面と
つながっている。

 
ピーターパンの一節。
ティンカーベルが死ぬクライマックス。
「妖精を信じる!」 
「じゃあ、手を叩いて☆」
 
母娘が手をたたく姿。
 
妖精が命を吹き返し
蘇る場面ですね。
 
少年とETは顔をみあわせ
そっと微笑みあいます
エリオットはETの肩に
ゆっくりと腕をのばす
 
通いあっていく2つの心。
この伏線がクライマックスで生きます。
ティンカーベルが蘇ったように
末っ子ちゃんの花が息を吹き返す。
ゆっくり茎が立ち、
花びらの色が蘇ってきた。
ETの瞳がひらく。
そして
2度目の別れがやってくる。
「オズの魔法使い」のドロシーが
「お家がいちばん!」と願ったように、
ETもまた・・・
家族のもとへ。
夜空に虹を描いて去っていく。
虹を見上げるエリオットの顔は
数日間でぐんと成長した少年の顔に。
別れを知ること。
それは大人への第一歩
 
今作の映画音楽については、
「すばらしき映画音楽たち」感想にUP