夫を突然の事故で亡くしたエドナ。

稼ぐすべを知らない専業主婦は
二児を抱えこの先どうすればいいか。
途方にくれる。

しかし、悲しみにくれている暇はない。

家のローンの返済、子供の教育、

現実は彼女を待ってはくれない

共同生活をすることになった

黒人盲人幼い子と一緒に

綿の収穫一番乗りに挑戦する。

広大な綿花畑、

はたして収穫期限に間に合うのか?

 

 

プレイス・イン・ザ・ハート

ロバート・ベントン監督

1984年

 

愛とは許すことがテーマ。

心温まるヒューマンドラマです。
 
初めてみたとき、
大変感動したプレイスインザハート。

 

自分の居場所を守るため

社会的弱者が団結する物語。

 

未亡人

黒人

 

視覚障がい者、子供たち。
世間から軽くみられ、
軽んじられる人たちが
理不尽な社会で
力をあわせ生き抜いていきます。 

 

  感想

 

許すということは本当に難しい。

頭じゃなく心から許せるということ、

それは理屈じゃなくしい。

今作は
理不尽な扱いをうけている人
描いた物語です。

 

エドナは「家計の足しに」と
盲人ウィルを下宿させるはめになる。

 

彼は戦争で目が不自由に。

兄が自分を厄介払いしたがっていることを

知っています。

「同情や手助けなどいらない。

構わないでくれ」

心を閉ざして生きています。


しかし、

彼の心を動かす出来事が起こる。

このシーンが私、大好きなんですよ
少年フランクが母にお仕置きされる場面。

 
お仕置き部屋の前に立つ幼い妹ポッサム
気が気ではない。

扉の外で兄がムチで叩かれる音に怯え

びくっと震える。

思わずそばにいる盲人ウィルのを握る。

 

 

小さなポッサムの手が

ウィルの手を握った瞬間
ハッとするウィル。

今まで自分が一番不幸だと思い

自分を憐れんでいたけれど
父親を亡くしたばかりの子供たちが

目の前にいる。


初めて自分よりも弱い存在がいることを

実感する。
 

ポッサムの手を握ったまま、

ムチの音を聞くウィルの表情がいいなぁ。。

 

ジョン・マルコビッチの演技がね

素晴らしいです。

 

亡き夫の分まで責任を負う母親が

こどもを厳しく躾けている。

 

やりたくもない罰を与える

母親の気持ちを思うと胸が痛む。

 

さぞかし辛かろう。

 

「あなたは大丈夫ですか?」

と寄り添う。

 

男の子よりも傷ついているのは

お母さんだ…と知っているんですね。

 

やがて、
エドナは家と家族を失わない方法として
綿花収穫に挑戦することになります。
 
エドナのことを
「事業に不慣れな女」だと侮り
質の悪いものを押し付けようとしたり、
収穫を安く買い叩こうとする。
 
彼女が騙されないよう、
黒人が絶妙にサポートします。
 
目の不自由なウィルは料理を担当。


パンの焼き具合、スープの味見。

そして、庭にはウィルがスムーズに歩けるよう
ロープが張り巡らされる。
 

ウィルの視覚障碍者用のレコードを聴きながら
夜通し綿花をつむ人々。

綿花のトゲで指から血を流し
膝腰が曲がり


起き上がるのも大変なエドナたち。


トラックに積まれた綿花の山。

その上で眠るポッサムの姿がランプに照らされるお月様

 

エドナの暮らす村は

一見平和にみえますが
さまざまな人間ドラマがあります。


友人たちの不倫・夫婦の問題

別のパートで描かれます。

「許せない」

「許してくれ」


初めて鑑賞したとき、

なぜこのシーンが必要なのかなぁ
別になくてもいいんじゃない?って

ピントこなかった私。

 
でも、再鑑賞して必要な場面だと
気づきましたひらめき電球

 

黒人差別、女性差別、犯罪、不倫・・・

こんな小さな田舎村でさえ、

許せないような出来事が次々と起こる。


 

生きていると

不条理なことが

たくさんある。

 

それでも心の隅に愛を。

というメッセージをこめた作品です。

 

それが解るのは

ラストシーン


神父が聖書の一説を読み上げます。

 

愛は忍耐強く、情け深い
愛はねたまず、おごらない
愛はけして 滅びない



カメラが礼拝堂に座ってる人を順番に写す。

 

被害者、加害者、

裏切った人、裏切られた人が

いがみ合うことなく並んで座っています。

 

このワンカットにこめた監督の思い。

 

それは

許し許される理想の姿です。

オープニングエンディング

つながる珠玉の脚本です。

 
サリー・フィールドが母親を熱演し、

アカデミー賞主演女優賞

獲得しました。