パズルの1片だけで
その人の全てがわかるはずがない。


未完成の宮殿は

一人の男そのもの。
広大な城を埋め尽くす美術品、

開封されていない宝たち。
壮大なゴミ屋敷を残して

大富豪は逝く。
愛に未熟な男の謎がみえてくる。


市民ケーン

オーソン・ウェルズ監督

1941年 

 
※2018年5月記事を再編集
 
スピルバーグ監督
「レディ・プレイヤー1」の鍵になる言葉
バラのつぼみ

それは映画市民ケーンに登場する

謎の言葉です。

 

さらに

「スターウォーズ最後のジェダイ」
によく似た場面があります↓

人間の内面の謎を
永遠に続く鏡で表現する発想が凄い!
 
このように
オーソンウェルズ監督のセンスを

取り入れた映画が多いんですよね。


 

刑事コロンボが好きな私。
「攻撃命令」は市民ケーンがモチーフ。
犯罪の鍵を握るのは「薔薇のつぼみ」
 
犯人は心理学教授であり
映画グッズコレクターです。
 
孤独を埋めるように
コレクションを増やしています。
 
彼の屋敷のゲートも
市民ケーンと同じもの。
 
部屋にも雪ソリが飾られています。
 
人の心理分析を得意としながら、
愛することに不器用な男が犯人でした。
 

 

 

あらすじ 

フロリダにそびえる宮殿。
持ち主は、巨万の富を持つ

新聞王ケーン。
彼はバラのつぼみという

謎の言葉を残して逝去する。
その言葉の意味をさがす物語。

 

 

 

感想 

富豪なんて

たいした才能じゃない
という新聞王ケーン。
 

彼が本当にほしかった才能とは何か?
どんな人物だったのか?

関わった人にインタビューしていく。

知事選に出馬した演説では

ケーンの表向きの顔が描かれます。
 

 

私は彼の少年の顔がのぞく場面が好き。
彼の素顔がみえますよ。


道端で出逢った歌手スーザン。

「歯が痛むのかい?」
「えぇ、薬が効かなくて…」


痛みに顔をゆがめるスーザン。

彼は彼女の気を紛らわそうと
両手で影絵を作ってみせる。

壁に大きく映し出される動物。
口をパクパク動かす。
「キリンかしら?違う?」

「じゃぁ、ゾウ?」
「いやぁ・・・

雄鶏のつもりなんだがね(苦笑)」

両耳をピクピク動かすケーン。
「学生の頃に長期間かけて

練習した特技だよ('-^*)/」

彼の冗談に、

痛みを忘れ笑顔がこぼれるスーザン。
温かい微笑み。
心がなごむケーン。
彼の瞳に愛の灯がともります。
「どうだい?

歯の痛みは治まったかな?」

「ええ。すっかり」
そんなスーザンの母の夢は
娘がオペラ歌手になること。

自分の母の夢は、

息子が資産家になること。

自分の母とスーザンの母がなった瞬間

彼の瞳は一点をみつめる。
 
親の期待を実現してやる…
 
強迫観念がむくむくと沸き上がります。
 

彼女のためにオペラ劇場を建てる。
 

一流の歌手にするため、特訓する。

しかし、スーザンは泣いて訴える。


才能がないのに

笑われる私の身にもなって。
舞台に立つのは嫌よ。お願いやめさせて」
 


がんばるんだ。
聴衆から笑われても戦うんだ


スーザンの姿と自分を重ね合わせるケーン。
ここでやめるわけにはいかないんだ。

彼の不器用な愛伝わらない。
うまく愛を表現できない。
与え方もわからない。


「物は買ってくれても

心がこもってないわ」

彼女にも友人にも誤解され恨まれ、
孤独になっていく・・・。
満たされない心はひもじくて
ためこみ症に陥っていた。

「物を収集することが癖なんだ」

美術品が並ぶ広間、階段、廊下・・・
冷たく寂しい空間。

 ↓ガラクタ、玩具、美術彫刻、絵画、骨董品


扉をぬけていく彼女の後姿

あぁ、ついに彼女も行ってしまった。。
 

使用人からは、はっきり見えない男の
 

しかし観客には見える
影の奥で、涙がキラキラ輝く。
そのカットの素晴らしさ。

ケーンが手にしたスノードーム。

彼の掌から転げ落ち、


雪遊びのソリは焼かれてしまう。

 
貧しくとも親のそばで暮らした頃の思い出。
 

バラのつぼみを焼いたが城から立ち上り
 

立ち入り禁止の門がうつる。
 
あぁ…この孤独のたたみかけ。

 


その人の本当の心

立ち入ることなどできない。
 

ひょっとすると本人でさえわからない。
 

バラのつぼみの意味を知りたかったのは、
ケーン自身かもしれない。


アカデミー賞9部門ノミネート 脚本賞