心臓発作は起こした本人しか痛みがわからない。
差別されるということも
自ら体験しないとわからない。

NYへ引っ越してきた雑誌記者フィルに
タブー視されるテーマが依頼された。
それはユダヤ人への差別について。

「ユダヤ人って悪い人なの?
なぜみんなが嫌うの?」

息子からの素朴な疑問に答えられない。

差別される人の暮らし、気持ちって

どんなだろう?

統計や資料、想像だけじゃ記事はかけない。
フィルはユダヤ人として暮らす決意をする。

 

 
紳士協定
エリア・カザン監督
1947年
グレゴリー・ペック

(画像お借りしました)

 

プレイスインザハートアラバマ物語

そして紳士協定
社会学部の娘に薦めたいと思っていた

3本の映画です。
この映画のタイトル紳士協定とは
差別を暗黙の了解でおこなうこと。

「私は偏見などない善人だ」
と、思い込んでいる人のなんと多いことか!

そういう物語です。

 

感想

 

「なぜ、差別の記事を書く気になったのかね?」
「息子に説明できない自分が嫌だから」

 
上品で優雅な味わいのある社会派映画。


けして過激でないけれど、
軸がしっかりしてメッセージが伝わってくるんです!

フィル

「僕はユダヤ人として暮らす。

母さんも秘密を守ってくれるね」
 

「もちろんだよ。

今日から、私もユダヤ人よ」


息子

「学校の友達にきかれたら、
ユダヤ人の血が入ってると答えればいいんだね」


家族の協力を得て、ユダヤ人として生活し
受けた侮辱、傷ついた体験を記事にするフィル。

郵便受けの表札をユダヤ人の名前に変えたとたん!

大家がとんでくる。


新婚旅行先のホテルは突然満室に!

宿泊を断わられる。
 


愛想笑いを浮かべる支配人。
「当ホテルは上等なお客様が利用されますので」

 

お察しください(お帰りください)
とばかりに、ベルを鳴らす。
チーーーン!

ボーイがフィルのトランクを外へ運び出す。


息子が学校でイジメにあって泣きながら帰ってくる。
汚らしいユダヤ人だって言われたんだ」

フィルの婚約者キャシーがなぐさめる。
「大丈夫よ。
あなたはユダヤ人じゃないから安心して


彼女の言葉をさえぎるフィル。
そんな言い方
まるでユダヤ人が悪いと言ってるようなものだ!」

 


キャシーを愛している。妻にしたい。

だけど、彼女は周囲の目を気にする

 

キャシー
「あなたの理想はわかる。立派よ。
でも、現実を見て!
私は心が広いけど、他の人は違うわ。
変な目で見られたら困る。
あなたがユダヤ人に成りすましていると

親戚に迷惑がかかるの」
 


「私たちは○○じゃないから

大丈夫
キャシーの言葉を聞いて、はっとします。

私自身も、子供に言ったことなかったっけ?

「紛争地域に生まれなくて良かったね」
 

「両親がそろっていて良かったね」
 

「障害や病気がなくて良かったね」

そんな言い方を子供にすると

○○な人は可哀想な人。
自分たちは大丈夫。


無意識のうちに可哀想な人=格下な人

こうした大人のなにげない言葉が、

態度が、じわりじわりと

子供に偏見の種をうえつける。

子供たちは自分より下の人をつくり
病人や障害者、他民族

敬意をもたなくなってしまう。

フィルの友人デイヴは、キャシーに助言する。

「小さい声で、たまに『差別反対』と善良ぶってるけど、
結局、見て見ぬふりしてる。

無関心っていること、
それは差別(イジメ)に
加担するのと同じことなんだよ


いよいよ、

フィルの体験記が連載される日がやってきた。

会社や周りの反応はどうなるか?
グレゴリー・ペックの名台詞にしびれます(///∇//)


そして、キャシーがとった行動とは…?
 


アカデミー作品賞、監督賞、助演女優賞獲得。
 

爽やかなラストに勇気をもらえる1本です。
 
2018年に掲載した記事を再UPしました。