『無理はダメだよ』

最近よく耳にするこの言葉は、我々を精神的な危機から救っているのか、それとも我々の精神的な叫びを無いものにしようとしているのか。

私は多少無理することには反対しない。それは本来、精神論や根性論といった言葉で片付けられるべきではなく、『もう少し頑張りたい』『もっと高みを目指したい』『人よりもはやく前に進みたい』などといった純粋な向上心として本人にとっては素直に受け入れられる気持ちなのではないか。

つまり、本気で頑張ろうとしている人間にとって、多少無理することはそう大したことないのである。

一方で、人間関係の悩みなどでの精神的な辛さを誤魔化すためにただただ無鉄砲に無理をしてしまうのは、理にかなっているとはいえない。

まとめると、一概に無理をするといっても様々なパターンがあり、人によってどのような精神状態でどのような考えのもと行動しているのか異なるため、『無理じゃダメだよ』と一言で無理することを否定してしまうことは少し短絡的な気がするのである。

もっとも、なにかに夢中になっている人間はそんなことどうでもいいわけで。