ダンスで表現する異世界。
大野さんの人間離れした身軽さと透明感、そして表現力が、
見る者をあらゆる世界へいざなう。
私の好きなダンスを紹介しています。今日は
「静かな夜に」
「ARASHI 10-11TOUR“Scene"~君と僕の見ている風景~ DOME+」disc1より
大野智ソロ。大野さん振付。
この振付。天才。
ひらり、ひらり、ふわり。
このダンスを踊る大野さん。まさに美しい超人。
異世界の人のような体重のなさで、ひらひらと踊っています。
向こうが透けて見えないかというような透明感で、ふわふわと舞っています。
イントロ。
白シャツ腕まくり。ネックレス。黒ベスト。揺れる細い紐。
ゆったりしたグレーのパンツ。左手に黒グローブ。
歌に入る直前。なめらかなターン。
「いくつも色を重ねる度」
足からのウェイブが 鳴らす指先に抜ける。
大野さんの体は、部分ごと見事に独立して動くのに、美しさでつながっている。
「たなびく風に」
滑るように鋭く動く足。
「身を委ねたなら」
後ろに跳ね上がる膝下が「The 大野智」の美しさ。
一瞬つま先立ちになる つま先加減が まさにつま先。
両足合わせても 点でしか靴裏がついていないことが よくある大野智。
「届かない」
手首・股関節・膝。
激しく、この上なく正確に関節を扱う大野智。
「伸ばした手のひらに触れた光」
ウェイブを横から見せてくれる。
「通り過ぎてゆく」
向きを変える動きの美しさ。
そしてここ!
「目覚め忘れた 花をぬらして」
左右にひらひら揺れる動きは もう夢の世界。
大好き!
独特なリズムの掴み方と しなやかに波打つ腕が もはや幻想的。
妖精なのかな。
「ぬらして」直後の 滑らかなターンと最後のアクセント。
印象に残る素晴らしい振り。
「まるでそれはいつか見た景色 戻れない」
美しい手の軌道の最後にクラップする振りが素敵。
「一人描き続けた 静かな夜に」
歌い終わりあたりで静止する形が美しいの極み。
ターン終わりにそのままステップに入るのが粋。
間奏。
怒涛の足さばきと
波打つ腕と体。
下から風が吹いているみたいに軽い。でも鋭く速い。
関節というよりは、全体的にしなっているように見える腕が、
見るものを幻想の世界に連れていく。
アップで下から上まで映してくれるカメラワーク。
どこに寄っても美しい男。大野智。
そして、
ふっと浮き上がり、
そっと降りる。
大好きなサビの振りは、何度見ても信じられないほどの美しさ。
いざなわれる幻想の森。
ラスト。
「Ah~Ah~・・・」
甘くて透明な声。ずっと聴いていたい。
切なくも美しい世界。