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草をはむ世の男子たちを尻目に、五輪と世界選手権でかき集めた金メダルは11個になる。日本選手団の旗手にして、「女高男低」「肉食系女子」の時代相を担う旗手。「みなさんが期待するのは(五輪の)3連覇。ここで負けたら意味がない」。勇ましいヒロインは紙芝居をパラパラめくるような名調子で、大団円を予告するのだが…。
今、最後の直線で末脚が伸び悩む。おびえが鈍らせるタックルへの加速。レスリングにもイップスに似た症状があって、赤信号でもないのにブレーキを踏む自分がいる。「返されるんじゃないかと、自分を躊躇(ちゅうちょ)させる思いがあって」。5月下旬の女子W杯は煮え切らないまま突っ込み、ロシア選手の返し技に泣いた。
遠距離から一直線に切り込む快速無比のタックルは、外国勢の研究にさらされ丸裸。4年4カ月ぶりの敗戦は、高度な情報戦の中で勤続と常勝の二兎(にと)を追う難しさを思わせる。組み手の中で相手を引き出し、いなして入る密着型のタックルは精度が今ひとつ。両者を織り交ぜ緩急つけたいが、宗旨替えにも似た力投派から軟投派への転向には、どうやら残り時間が足りない。
ただし、29歳には経験と年季の蓄えがある。くしくも4年前の五輪イヤーに同じ敗北の痛みを味わい、そこから2連覇を勝ち取った。迷いを断つ切り札は一つ。
「自分を変えるのは自分。勝ちたいという気持ちにならないと。自分が戦うわけだから」
ロンドンで向き合う敵も味方も恐らくは胸の内にある。ブレーキを踏むのも自分なら、アクセルを踏むのも…。自らにきついムチを入れたとき、最後の直線の向こうに“見慣れた景色”が待っている。(森田景史)
【プロフィル】吉田沙保里(よしだ・さおり) 1982年10月5日、三重県出身。2004年アテネ、08年北京の両五輪でレスリング女子55キロ級2連覇。世界選手権は02年から9連覇中。08年1月の女子W杯で敗れるまで、公式戦119連勝を記録した。中京女子大出、ALSOK。156センチ。
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