孤独のグルメ 【新装版】 1,234円 Amazon |
これを見ているのは独り淋しいオッサンばかりと思いきや、何気に女性ファンもいたりするんですよね。
ちなみに自分の場合、今は割と「朝食会」という形式をとっておりますが、基本的にホテルの朝食巡りは「一人飯」です。
既にご存知の方も多いと思いますが...
この作品に出てくる「グルメ」は一般的なグルメ。即ち「高級レストラン」「TVや雑誌で話題の人気店」といった、世間一般に言われている「名店」ではありません。
本当にその辺にあるような大衆食堂とか。
今時ホームページすらないような...
それでも何とかやっていけてしまう(というより、実はやっていけてなさそうな)そんな場所がメインです。
では、そういった飲食店の味は良さって何か?
逆にそのような良さがあるにもかかわらず、なかなか話題にならない。
あるいはマスコミ等で話題になるような「名店」との違いは一体何なのか?
それっておそらく、
変わらない味
これではないでしょうか?
味そのものは確かに「平凡」かもしれない。
しかし最大の特徴は何といっても、
変わらない。
これまで訪れたホテルの朝食の多くはビュッフェ形式なのですが、
同じ場所に何度訪れたとして、
微妙に変わる。
全く同じということは基本的にありません。
とりわけ最近ですと訪日外国人客のニーズというのもあって、かなりメニューの内容が変わったりしているケースも少なからず存在したりします。
そんな状況と比較して、というのがいいか悪いかは別として、とにかく、
変わらない。
以前、朝食会の参加者の方から伺った話なのですが....
「これはいいお店だな、と思ったお店がしばらくするとマスコミに取り上げられる。すると客が殺到する。そしてその急に増えた客に対応するために「(料理が)やっつけ仕事」になってしまう。あるいは急遽雇ったバイトの対応が悪く、お店のマイナスイメージが拡散されてしまう」
そしてその結果、振り返れば気付けば閉店の憂き目に遭ってしまう...
そんな「流行ってた」飲食店が決して珍しくない。
つまりメディアに露出した結果は伝説の序章に過ぎなかった
のではなくて実は終わりの始まりだった。
...何だか笑うに笑えない話ですよね。
そんな状況の中、
いつまでも変わらない味を提供し続ける
流行ってるとか流行ってないとか、そういう問題ではないです。
実は地味にスゴい。
一見すると何の特徴もない。もっといってしまえば「寂れた」定食屋。
しかしもしかしたら、
バブルの絶頂期も不況のどん底の時も同じ味。
やっぱり地味にスゴいですよね。
究極の味を求めて。
それも一つのグルメかもしれません。というより、これがグルメの王道ですよね。
しかし、
変わらない味を求めて。
王道ではないかもしれません。
何と言いますか、路地裏の美学みたいなもんでしょうか。
銀座や有楽町の駅の近くに古い喫茶店があります。
創業はおそらく昭和の中頃でしょうか。あるいはもっと古いかもしれない。
きっと当時は時代の先端を行っていたのかもしれない。そんな場所で提供されているコーヒーやサンドイッチの味は、おそらく創業当時とほとんど変わっていない。
単純に味だけを追求するとしたら、おそらくもっといい店は存在しているかもしれません。
でもそういった場所の魅力って単純な味の良さではないですよね。
変わらない事
それが一つの魅力ではないでしょうか?
神田の古本屋で、ふと古い喫茶店の写真に目を留める。
高度経済成長期の「憧れの東京のシンボル」みたいな感じ。そんなのに載っている写真そのままの光景みたいな場所です。
それも一つの楽しみ方ではないでしょうか。
日常の美
もしかしたらそういう表現がふさわしいのかもしれません。