業界の闇と父の盾、沈黙の守護|ママたちはエルメスを隠せない 第927話
 

 

笹崎建設のCM起用という華やかな舞台裏で、

父・和也が下した「代理店を変えない」と

いう決断の真意が明かされる。

業界最大手・廣報堂の報復から娘を守り、

出生の秘密や恋人・圭太との関係を

闇に葬り続けるための冷徹かつ深い愛情。

経済界の重鎮・栄一から語られる父の覚悟に、

氷川瑞希は自らが背負う愛の重さを知る。

守られる存在から、自ら輝く「顔」へ。

瑞希の新たな覚悟を描く。

 

 

前話はコチラ

 

 

 

 

 

 

 

 

語られた真実:和也の冷徹な防衛策

リビングに漂うコーヒーの香りが、

どこか張り詰めたものに変わった。

栄一はカップを置くと、

どこか遠くを見つめるような、

思慮深い眼差しで語り始めた。

 

遠くを見つめて話す笹崎栄一

 

「瑞希、この際だから話しておこう。

 和也君はもう一つ、

 とても大事なことを言っていた。

 ……瑞希の、本当の両親の話だ。

 それを聞いて、私も胸が

 締め付けられる思いだった。

 辛かったね、瑞希」

 

瑞希が小さく息を呑む。

自分の出生の秘密が、

この場所でも共有されていることへの驚きと、

それを受け止めてくれる温かさに

胸が震えた。栄一は静かに言葉を続けた。

 

「和也君はこう言ったんだ。

『もし今、笹崎ホールディングスの案件を

 廣報堂から奪い取ったとしたら、

 その報復はとんでもないものになる』とな。

 彼らの情報網を甘く見てはいけない。

 いつか必ず瑞希の出自や、

 圭太との関係……そしてアズプロにまで

 火の粉が及ぶだろう。

 公私混同だと言われればそれまでだが、

 今の瑞希を守るためには

 『現状を変えない』という

 選択肢しかなかったんだとね」

 

 

廣報堂の脅威:全面戦争のシナリオ

「パパ……」

育ての父・和也が、どれほど冷徹に

業界の闇を見据え、どれほど必死に

自分を守ろうとしていたか。

その深い愛情に、瑞希の胸は激しく痛んだ。

 

傍らで聞いていた太田も、

その言葉の重みに戦慄していた。

彼女もまた、この業界の最前線で

戦ってきたプロだ。和也が危惧するシナリオが、

決して大袈裟ではないことを

誰よりも理解していた。

 

(確かに、業界最大手の廣報堂を敵に回せば、

 彼らは総力を挙げて瑞希の過去を暴き、

 リークするでしょうね。

 それどころか、アズプロの他のタレントまで

 締め出し、文字通り徹底的に潰しに来る……。

 全面戦争になれば、マスコミにとって

 これ以上の獲物はないわ。

 和也社長は、その地獄を

 想定して踏みとどまったのね……)

 

 

 

二人の父、泥を被る覚悟

栄一は、不安に揺れる瑞希の肩を優しく叩いた。

その手の温もりは、

和也のそれと同じように力強かった。

 

「瑞希、安心しなさい。お前のパパも、

 そして私も、お前を守るためなら

 どんな泥を被る覚悟もできている。

 だからお前は、ただ前を向いて、

 新しい『顔』として

 胸を張っていればいいんだよ」

 

リビングを包むのは、広告業界の

どろどろとした利権争いすら凌駕する、

深い親心と絆だった。

一見、ビジネスの機会を損失したようにも見える

「動かない」という選択。

しかしそれは、娘の未来を死守するための、

父親たちによる究極の守護であった。

 

 

 

 

新たなステージへの決意

瑞希は深く、深く頷いた。

自分を愛し、守ろうとしてくれる人々が

これほどまでにいる。 実母・雅子が命を懸けて

繋いだバトンを、和也と恵子が大切に育み、

そして今、太田や栄一までもが

その盾になろうとしてくれている。

 

栄一の話を聞き頷く瑞希

 

その重みを背負い、

瑞希は次なる大きなステージ――

実父・神埼聖司との再会、

そして笹崎建設の『顔』としての使命――

へと向かう覚悟を、より一層強く固めるのだった。

 

守られるだけの少女でいる時間は、もう終わった。 

これからは、この巨大な愛に応えるために、

自分にしかできない表現で光を放ち続ける。

それが、自分を守り抜こうとする

父たちへの、唯一の恩返しなのだから。

 

 

ーつづくー

 

*このお話はフィクションを含みます。

 

 

 

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【あとがき:第927話を振り返って】 

今回は、広告業界という伏魔殿において、

和也がいかにして瑞希を守ろうとしていたかが

明かされる重要な回となりました。

ビジネスの成功よりも娘の安全を優先する。

一見消極的に見える「現状維持」が、

実は最も困難で勇気のいる決断だったことに、

瑞希も胸が熱くなったのではないでしょうか。

栄一も含め、瑞希を取り巻く「父親」たちの

存在感が際立っています。

神埼聖司との再会を前に、

瑞希の背負うものがより明確になった今、

物語はさらなる高みへと加速していきます!

 

 

 

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