後輩たちの羨望、受け継がれる聖域|ママたちはエルメスを隠せない 第922話
芸能生活4年目を迎え、
九条遥から受け取ったバトンを手に、
今や絶対的なアイコンとなった氷川瑞希。
『LuvTeen』を卒業し、
ハイエンド誌『Aube』の専属モデルとして
新たなステージに立つ彼女は、
かつて自分が憧れた「聖域」に座り、
次世代を担う後輩たちを迎え入れる。
少女から大人へと美しく進化した瑞希が、
自らのルーツを胸に秘めながら見せる、
気高きカリスマとしての真髄と
後輩たちへの温かな眼差しを描く。
前話はコチラ
研ぎ澄まされたプロの誠実:Aube表紙撮影
瑞希の芸能生活は4年目を数えていた。
かつてトップモデル・九条遥の背中を
無我夢中で追いかけていた少女は、
今や後輩たちがその一挙手一投足を
息を呑んで見つめる、
絶対的なアイコンへと成長を遂げている。
昨年末、瑞希は惜しまれつつも
『LuvTeen』を卒業した。
高校サッカー応援マネージャーとしての
重責を完遂し、現在はハイエンドな
ファッション誌『Aube』の専属モデルとして、
その輝きをさらに研ぎ澄ませていた。
卒業号で見せた、少女から大人へと
移り変わる瞬間の美しさは、
今や業界の伝説となっている。
この日は、先日仕切り直しとなった
『Aube』表紙の撮影日だった。
スタジオ入りした瑞希は、
まず現場のスタッフ一人ひとりの
目を見て、深々と頭を下げた。
「先日はこちらの勝手で
リスケをお願いしてしまい、
本当に申し訳ありませんでした。
皆さんのスケジュールを
調整していただいた分、
今日は最高のカットを撮って
いただけるよう全力を尽くします。
よろしくお願いします!」
その凛とした姿勢に、
スタッフたちはかえって恐縮してしまった。
前回の欠場を「コンディションの不備」
としてプロの厳しさで律したからこそ、
今日の瑞希の輝きは、前回よりもさらに鋭く、
神々しいものへと昇華されていた。
憧れの聖域:受け継がれた楽屋のバトン
撮影の合間、瑞希が用意されたのは、
集講社が彼女のために設えた
豪華な個室楽屋だった。
別スタジオでは現役『LuvTeen』モデルたちの
撮影が行われているが、
この部屋は別格だ。
かつて九条遥が独占的に使っていたその聖域に、
今は瑞希が座っている。
コンコン、と控えめな、
しかしどこか必死なノックが響いた。
田中がドアを開けると、
そこには高坂ひなた、赤城唯、
近藤詩の現役モデル三人が、
緊張で今にも弾けそうな表情で立っていた。
「瑞希さん……初めまして!
よろしくお願いします!!」
軍隊のような威勢の良い挨拶に、
瑞希は思わず柔らかく微笑んだ。
「皆さん、こんにちは。
お会いできて嬉しいです。
活躍、いつも拝見していますよ」
瑞希が一人ひとりの仕事内容を
具体的に挙げながら褒めると、
後輩たちは
「瑞希さんが私の服を参考に……!?」と
腰を抜かさんばかりに驚喜した。
特に、瑞希が愛用するCHANELなどの
ハイブランドへの憧れを語る彼女たちに、
瑞希は
「いつか一緒に撮影ができる日を
楽しみにしています」と、
優しく未来のバトンを差し出した。
封印された絆と、次世代への眼差し
会話が弾む中、感極まった
近藤詩が涙ながらに問いかけた。
「瑞希さん! ドラマ『硝子の聖域』の
あの神埼さんとのシーン、
どうやったらあんなに
本物の親子みたいに泣けるんですか?」
不意に投げかけられた実父・神埼聖司の名前。
瑞希の胸の奥がわずかに熱くなったが、
彼女はそれを完璧な
プロの微笑みで包み込んだ。
「ありがとう。でも、私も皆さんと同じで、
毎日悩みながら演じているんですよ。
今度、現場が一緒になったら
ゆっくりお話ししましょうね」
嵐のように去っていった三人の後姿を、
太田と田中は壁際で微笑ましく見守っていた。
「瑞希、すっかり『憧れの対象』を超えて、
聖母か何かに見られてるわね」
太田が可笑しそうに言うと、
田中も感慨深げに言葉を添える。
「ええ。でも、あの子たちの目、
キラキラしてましたよ。
瑞希があの日、遥を見た時と同じ目でした」
瑞希は鏡の中の自分を見つめ直した。
自分が受け取った情熱を、今、
確かに次の世代へと繋いでいる。
その自覚が、氷川瑞希という
表現者をさらに美しく、気高く進化させていた。
ーつづくー
*このお話はフィクションを含みます。
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【あとがき:第922話を振り返って】
今回は、モデルとして活躍する瑞希と、
彼女を神のように崇める後輩たちとの
対比を描きました。
かつて遥の背中を追っていた瑞希が、
今では個室楽屋という「聖域」を引き継ぎ、
後輩たちに敬語で話しかけられる立場に
なったことに、時の流れを感じます。
神埼聖司との演技について尋ねられた際、
心の内で真実を噛み締めながらも、
優しく微笑む瑞希の姿は、
まさに大人への成長を感じさせる一幕でした。
受け継がれるバトンと、隠された血脈。
瑞希の物語は、より一層深みを増していきます!
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