先月、ユーザー企業のシステム担当者と飲みました。
ユーザー企業内でのあれやこれやの愚痴(w)もありましたが、ちょっと面白い意見の一致も見ました。
SIerは、システム開発を、工業製品や建築の製造課程になぞらえて、いかに確実なものであるか、を力説します。
でも、現実として、ユーザー企業にシステムを導入するというイベントは、製品(物品)購入、製造発注ではありません。
あくまで、製品「企画・開発」なんです。
当然、営業車であるとか、カラーコピー機であるとか、倉庫であるとかの導入やマイホームの発注、ゴルフのクラブのカスタマイズ等々と同じと考えちゃいけません。
経営者は、たいがい「買えば確実に使えるもの」という錯覚に陥っています。
「あれだろ? プログラムって言えば、マイクロソフトのエクセルとかと一緒だろ?」
「あれだけ大金払って、なんで動かないの!?」
エクセルとかは「開発が(成功裏にw)終わったものを、物理的にパッケージングして、店頭に並べたもの」です(ちなみに、ソフトウェアの製造とは、厳密には「物理的にパッケージング」の部分のみを指します)。
パッケージを手にしたとき、既に存在しています。
既に存在しているものを購入するのです。
だから、買えば、買ったものが確実に使えるのです。
でも、それとこれは別物です。
新システムの導入については、それは「まだ存在していない」のです。
ええ。
先行ユーザーなどに納品されているという実績があるとしても、「御社が必要としている製品(システム)」は、これから作るのです。
なので、プロジェクト終了後、望んだものがどの程度実現できているかの勝率は……企画会社に企画を任せてどれくらいの勝率か、というのと、原理的には対して変わりません(対象が一般消費者か従業員か、対象の何%に受け入れられて勝ちと判断するかとか違いはありますが)。
設計図を依頼して、建築会社が建物を建てる、という確実性とは、比べ物にならないほど低いです(物理的条件などの拘束事項が圧倒的に少ないため。ただし、無理やりにでもこの拘束事項を増やすと、ソフトウェアの優位性が損なわれます)。
ちなみに、パッケージソフトという言葉が、よくSIerの口から飛び出してきますが、それは「企画パッケージ(宣材には何と何を使って、おいくら万円コース……といった感じの)」と大して変わりません。
オプションが付くたびに、金額が跳ね上がっていきます。
かといって、跳ね上がった金額分、確実に成果が生まれるかと言うと……、立場や計測方法によって、主張される数値は大きく異なります。が、おおむね、関係者のメンツの関係もあり、成果は上がった、という結論に落ち着くようになっています。
実際にその企画(システム導入)を成功させるのに必要なものは、山のようにあるんです。
SIerの仕事は、「今回の企画パッケージを納品する」ことであって、一連の事業を成功させることではありません。企画会社の例で言えば、宣材等一式納品して、終わりです。もちろん、どれくらい効果があったかという書類は出てくるでしょうが、効果があろうがなかろうが、「今回の」支払いはまず変わりません。
御社で新しい製品やサービスを作り出すとき、どれくらいの労力・時間をかけた上で、どれくらいの勝率が確保できているでしょう?
新しいシステムを導入すると言うのは、「SIerが注文通りに作ってくれる」のではなく、「SIerの手助けを受けて、自分達が必要としている新しい仕組みを自分達で作り上げていく」という行為なのです。
実は。
ということは、自社内にその仕組みを理解できるチームがいないお話にならない、ということです。
自分の会社が今どう動いていて、ITという技術を使ってこれからどう動くようにしていくことが可能か、を把握した集団がいなければ、第二次世界大戦の日本軍と同じ状況に陥るでしょう。
そもそもCIOは、サーバやネットワークのお守り役でもなければ、予算分捕り役でもありません。お守り役こそ、外部に委託しちゃえばいいんです。
もちろん、Webのアンケートページだ、メールサーバだ、なんていう、クリティカルな、コアコンピタンスに直結しないようなシステムは、別として、ですよ。