臨川寺の美しい枯山水の石庭『龍華三会の庭』を眺める。
新鮮で清浄な空気の中で坐禅し瞑想を行う…至福…私の日課である。
そして瞑想中の私は石地蔵と化し半時(1時間)ほど精神の旅人となる。
だが…この私の精神の旅を邪魔する者が時々前触れなく現れる…
この無作法者の登場で私の精神は東京砂漠に引き戻され、
脳内で再構築されていた空想の中の美しい臨川寺の枯山水の石庭も
忘却の彼方へ…気が付けば汚れた酸素に息苦しい電車内でマスクという現実。
その私の美しく素晴らしい空想旅行を一瞬で消滅させる破廉恥漢…
それがあの話題の悪名高き怪人トナラーである。
駐車場や電車や食堂&レストランなどで、店内がガラガラで
空いている席や場所がたくさんあるのに何故か人の隣に座る変人がいる。
毎回「気持ち悪い&気味が悪い」「狭い!うざい!」と感じる。
男が性的な欲望でわざと女性の横に座るなら目的が明確なので行動が理解
できるのだが、老若男女問わず、わざわざ中高年の薄汚い私の隣に座る…
奴らの思考が理解できない。広い清潔な場所の方が普通は快適だろう。
なぜそちらに行かないのだ。こういう迷惑な無礼者をトナラーと呼ぶ。
過去、一番に不気味だったのは10年以上前の話だが
確か南船橋行きの電車に乗った時の事だった。
(南船橋は“ららぽーと” “IKEA” “Amazon倉庫”などがある)
気が付くと私の乗る車両に客が誰もいなくなり一人だけになった。
そこへ紺のスポーツバックを抱えた学生服の男子高校生が一人で
乗り込んできた。離れた席に座ったのであまり気にも留めなかった。
しばらく眼をつむっていた。そして一駅過ぎた辺りで眼を開けると
さっきよりこちらに近づいて座っている。落ち着きなく何度も席を
移動し続けて少しづつこちらに近づいてきた。これは気色悪い。
そして真向かい…ついにわざわざ私の隣に座り直したのだ。
なんとなくニヤニヤしている様にも見える…獲物を見つけた狩人か…
狩人といえば『あずさ2号』だろう…デビュー曲の…
真っ昼間に誰もいない車両に二人並んで座り…左側…密着…
「こりゃ気持ち悪いなぁ~なんだよ、てめえ、向こういけよ…
学生だからスリじゃないだろう…恐喝しそうなチンピラ風でもない…
なんだ…まさか…こいつ…目的は俺か…俺の緩んだ身体が欲しいのか…
若いから常に欲情して股間を鉄の様に固く膨らませているのはわかるが、
対象が俺のボディではなぁ…ホモか…変な性癖がある若造は嫌だな…
“お父さんになって下さい”とか言われるのもちょっと勘弁してほしい…
中年男の膝で甘えたいとか叱られたいとか…加齢臭マニアかい…
いきなり股間を触ってきたり唇を奪われる可能性も…ううう…
薄気味悪い野郎だなぁ…こいつは十中八九、相手にしたらヤバい奴だ」
何かされるのではないかと妄想が膨らみ、緊張で身体が硬直…
唇をかみしめて無視だ。冷静に寝たふりをしながら臨戦態勢。
暫くしたら電車内に人がいきなり増えて混んできたので
九死に一生を得た(すでに襲われる事が前提になっている)のだが、
ガラガラの車両でゆったりできずに凄く損した気分で極めて不快。
唇をかみしめて:1982年に発売された吉田拓郎のシングル。
このトナラーと呼ばれる不埒な存在はネット情報によると
環境や状況や空間に対して無頓着で周りを気にせずに無意識で
迷惑行為をやってしまっているらしい。それって自己中で気がきかないうえに
空気も読めない困ったタイプ…自分が悪いという概念がないから反省もしない
ので世間から嫌われる…う〜む、発達障害みたいな感じかな…
でも、やられた方は何か意味や意図があるのではないか
“嫌がらせ”か“痴漢”か“スリ”かとほぼ100%悪い方に考えるだろう。
隣に座ってきたトナラーが熟睡して寄りかかってきようものなら…
寄りかかられた不運な悲劇の被害者は
「貴様!向こうに行けー空いてるだろ席が!あっちにいけ!
星空のディスタンス…いや、ソーシャルディスタンスだ!離れろ!
トナラーだかオナラだか知らんが俺に近づくんじゃねー!
そもそもなんで貴様がリラックスしてよだれ垂らして熟睡して、
こちらが緊張しなきゃならねぇんだーああ〜イラっちまうぜ。
あっ貴様!屁をこきやがったな!く、く〜う…臭い…スカンク野郎め!
てめえは人間じゃねえや!叩っ斬ってやる!」と脳内で叫んでいるか、
「いなくなれ~向こうに行け〜風と共に去れ〜消滅せよ〜死んでくれ〜
臨兵闘者皆陣列在前〜阿毘羅吽欠蘇婆訶〜」と呪詛をかけているかもだ。
人は知らぬ間に他人の恨みをかう…トナラーよ注意すべし。
ソーシャル・ディスタンス:人と人の間の距離を空ける“対人距離の確保”を表す言葉。
星空のディスタンス:1984年に発売されたTHE ALFEEのシングル。
不安で寂しがりやな性格や異常に神経質なタイプは混雑時でなくとも
詰めて席に座ろうとする傾向があるらしい…わかる様なわからない様な…
でもそう聞かされていてもいざトナラーに隣に座られると
嫌がらせを楽しんでる幼稚な狼藉者にしか感じない事の方が多い。
だから私は電車で座れたら次の駅に着く前に先にすぐ寝ちゃう。
視界を遮断してしまうのが一番だ。本もスマホも100%見ない。
スマホは電車内で見ると夜は窓ガラスに反射して何を見ているか周りから
丸見えだから注意すべし。よほどの急用意外は見ないのが無難。
そうだ!恥知らずな変人トナラーの撃退法を思いついたぞ、
何年も風呂に入らず鼻がひん曲がるような悪臭を放ちながら電車に乗る。
酒を飲み酒の匂いを身体中から発散させゲロを吐きながら電車に乗る。
どうだ、これならトナラーでも隣の席に座れないどころか近づくまい。
もしくは電車内に防犯カメラを設置してトナラーを発見したら拳銃携帯を
特別に許可された駅員が即座に現場に急行しトナラーを射殺し運び出す。
ついでに満員電車での痴漢とか必要以上に足を投げ出して席に座る奴とか
杖をついて足が悪いふりして席を譲ってもらい、電車から降りるといきなり
早く歩き出し、何人も追越して改札に向かうニセ障害者のおっさんも同罪だ。
車内に殺人レーザー光線が出る装置をつけて…。
一筆啓上 火の用心 こんち日柄も良い様で 貴方のお命貰います。
人のお命いただくからは、孰れ私も地獄道。
右手に刃を握っていても にわか仕込みの南無阿弥陀仏。
まずはこれまで あらあらかしこ。(TV時代劇『必殺仕置屋稼業』より)
破れ傘刀舟 悪人狩り:1974年から1977年にTV放送された萬屋錦之介主演の時代劇 全131話。