自分は基本的には燃える馬鹿男だが
それを人に知られるのがとても恥ずかしく
中学~高校時代はしらけた乗りの悪い男に
見えるように振る舞い続けていた
嬉しそうにはしゃぐと本性がバレるから
遠足や修学旅行や体育祭や文化祭などの
学校行事で熱心だった事はあまりない
だがそんな自分でも自分を隠しきれず
うかつにも燃えてしまった事が何度かある
高校時代の沖縄旅行
中学時代の林間学校の富士登山だ
沖縄は憧れていた土地なので当然だが
問題は富士登山の方だ
富士山/標高3,776mの日本最高峰の火山
予定では朝の9時30分に五合目から登り
14時30分には五合目に戻らねばならない
約5時間で全てを終らせるのだ
こりゃ~無理だろ~
頂上まで行くのは~
そんな空気が漂うなか登山開始
無謀とか無理しなくていいと
言われると逆に燃えるのが馬鹿男だ
この一瞬に青春のすべてを賭ける
六合目くらいまでは散歩気分で…
楽勝楽勝~
こんなだったら簡単だぁ~
へへ~ん大袈裟に言いやがって~
ヨロレイヒ~ヤ~ヨロレイヒ~
ああ~われ~ら~東中学~
いざいざいざ~友よ~
↑『旅ボン 富士山編』ボンボヤージュ 著
富士登山を経験した人は笑える面白い旅行記
完全に山をなめきっていた
山の気候は変わりやすい
体操着と薄っぺらの運動靴では…
うぐぐ~寒い~
真夏なのにざぶい…
あ…頭が痛い
おおお~苦痛だぁ…
七号から八合目にかけて
どんどん足場は悪くなる
空気が薄いというのが
はっきりわかる…
高山病で頭が痛い…
冗談を言う気力もない
冗談を言う相手もいない
回りに霧がたちこめ
視界が悪くなる…
霧じゃなくて雲の中かい
おお~雲が俺より下にある
景色は素晴らしいのはよくわかるが
景色を楽しむ余裕なし
レモンをかじりながら前進する
倒れる時も前向きなのが男だ
登山なれしている感じの元気な
ヒゲもじゃの爺さんが降りてきて
爽やかに声をかけてきた
こんにちはー
山で会ったら挨拶するのが礼儀だ
こちらも言わなければなるまい
しかし…声がかすれて出ない…
こにゃにゃちは…レレレのレー
どうでもいいが自分は今どこいるのだ
時計もないから時間もわからん
いつのまにか一人ぼっちで超不安…
500人位の生徒が登っているはずだ
何故まわりに誰もいないのだろう
まさか…
道を間違えたかい
普段から目立たない様にしていたから
忘れられて宿に皆で戻ってしまったとか
いや…霊界に迷い込んだのかもしれん…
数年後に同窓会で思い出されて伝説に…
考えてもしょうがない
そのうち何とかなるだろう
はいつくばって九合目…
頂上が近づくにしたがって
自販の缶ジュースが高くなる
う~飲みたいけど~
なんか許せないから飲まん
許せない事が世間には多すぎるぜ
↑『旅ボン 富士山編』ボンボヤージュ 著
震える手足…
薄れゆく意識の中で
自分を励まし続ける…
酸素よこせ~
高濃度の酸素よこせ~
酸素ボンベもってこいー
せっかくここまで
きたのだから頂上までいくのだ
日本のエベレストと呼ばれた
高尾山や顔振峠などの恐ろしい
難所中の難所を踏破してきたのだ
今回も乗り越えられぬはずはない
いや乗り越えねばなるまい
これが青春だファイト一発
鷲のマークの大正性欲…いや製薬だ
高尾山/標高599mの東京都八王子市にある山
顔振峠/標高500mの埼玉県飯能市と越生町にある峠
ううう…
い…いかん…意識が…
ここで眠ったら終わりだ…
死なへんど~死んでたまるか~
ひっひぃ…くくく…どわぁー
そして…
ついに…
頂上に到着した
やったぁー
と…叫びたいところだが
とにかく頭痛が酷くダウン
天気も悪く見晴らしも悪い
達成感なぞ感じてる余裕なし
のんびりしてる時間もなく
すぐに下山開始…
帰り道がまた恐ろしい…
坂が急で走り出したら止まらない
視界の悪い雲の中を一気に降りる
走った走った走った
疾走爆走大激走
走り出したら止まらないぜ~
砂が柔らかく体重をかけるだけで
身体が滑るように落ちてゆく~
最初は面白かったが
転んでも滑ってゆくので
すぐに立てないし
靴の中に砂がどんどん溜まり
靴が脱げちゃうし
ゴールが見えない…飽きた…
やっと雲より下まできたらしく
視界が開けてゴール
↑『旅ボン 富士山編』ボンボヤージュ 著
私のクラスは確か45人
頂上まで登った勇者は13人
頂上で同じクラスの人間と
会わなかったので
クラスで頂上まで到達したのは
自分一人だと思ったが甘かった…
ヒーローになれず残念…
宿に着いてからも
頭痛が治らず食欲もなく
足がだるくて窓に足を乗っけて
足を高くして寝ていた
これでは山男失格である
窓から見る夕方の富士山は美しい…
さっきまであの頂上にいたのか…
不思議な気分だぜ…だが…やはり…
富士山は遠くから眺めるのがいい
二度と登るかー
と心に誓ったのが1978年7月20日
あれから33年…
時間に余裕と高山病さえなければ
ちゃんと楽しめたのではないかと
思うようになってきた…
もう一度富士山に登ってみようか…
いや駄目だ…やめておこう…
燃える男が本気でアタックしたら
富士山が驚いて噴火しちまう
それを人に知られるのがとても恥ずかしく
中学~高校時代はしらけた乗りの悪い男に
見えるように振る舞い続けていた
嬉しそうにはしゃぐと本性がバレるから
遠足や修学旅行や体育祭や文化祭などの
学校行事で熱心だった事はあまりない
だがそんな自分でも自分を隠しきれず
うかつにも燃えてしまった事が何度かある
高校時代の沖縄旅行
中学時代の林間学校の富士登山だ
沖縄は憧れていた土地なので当然だが
問題は富士登山の方だ
富士山/標高3,776mの日本最高峰の火山
予定では朝の9時30分に五合目から登り
14時30分には五合目に戻らねばならない
約5時間で全てを終らせるのだ
こりゃ~無理だろ~
頂上まで行くのは~
そんな空気が漂うなか登山開始
無謀とか無理しなくていいと
言われると逆に燃えるのが馬鹿男だ
この一瞬に青春のすべてを賭ける
六合目くらいまでは散歩気分で…
楽勝楽勝~
こんなだったら簡単だぁ~
へへ~ん大袈裟に言いやがって~
ヨロレイヒ~ヤ~ヨロレイヒ~
ああ~われ~ら~東中学~
いざいざいざ~友よ~
↑『旅ボン 富士山編』ボンボヤージュ 著
富士登山を経験した人は笑える面白い旅行記
完全に山をなめきっていた
山の気候は変わりやすい
体操着と薄っぺらの運動靴では…
うぐぐ~寒い~
真夏なのにざぶい…
あ…頭が痛い
おおお~苦痛だぁ…
七号から八合目にかけて
どんどん足場は悪くなる
空気が薄いというのが
はっきりわかる…
高山病で頭が痛い…
冗談を言う気力もない
冗談を言う相手もいない
回りに霧がたちこめ
視界が悪くなる…
霧じゃなくて雲の中かい
おお~雲が俺より下にある
景色は素晴らしいのはよくわかるが
景色を楽しむ余裕なし
レモンをかじりながら前進する
倒れる時も前向きなのが男だ
登山なれしている感じの元気な
ヒゲもじゃの爺さんが降りてきて
爽やかに声をかけてきた
こんにちはー
山で会ったら挨拶するのが礼儀だ
こちらも言わなければなるまい
しかし…声がかすれて出ない…
こにゃにゃちは…レレレのレー
どうでもいいが自分は今どこいるのだ
時計もないから時間もわからん
いつのまにか一人ぼっちで超不安…
500人位の生徒が登っているはずだ
何故まわりに誰もいないのだろう
まさか…
道を間違えたかい
普段から目立たない様にしていたから
忘れられて宿に皆で戻ってしまったとか
いや…霊界に迷い込んだのかもしれん…
数年後に同窓会で思い出されて伝説に…
考えてもしょうがない
そのうち何とかなるだろう
はいつくばって九合目…
頂上が近づくにしたがって
自販の缶ジュースが高くなる
う~飲みたいけど~
なんか許せないから飲まん
許せない事が世間には多すぎるぜ
↑『旅ボン 富士山編』ボンボヤージュ 著
震える手足…
薄れゆく意識の中で
自分を励まし続ける…
酸素よこせ~
高濃度の酸素よこせ~
酸素ボンベもってこいー
せっかくここまで
きたのだから頂上までいくのだ
日本のエベレストと呼ばれた
高尾山や顔振峠などの恐ろしい
難所中の難所を踏破してきたのだ
今回も乗り越えられぬはずはない
いや乗り越えねばなるまい
これが青春だファイト一発
鷲のマークの大正性欲…いや製薬だ
高尾山/標高599mの東京都八王子市にある山
顔振峠/標高500mの埼玉県飯能市と越生町にある峠
ううう…
い…いかん…意識が…
ここで眠ったら終わりだ…
死なへんど~死んでたまるか~
ひっひぃ…くくく…どわぁー
そして…
ついに…
頂上に到着した
やったぁー
と…叫びたいところだが
とにかく頭痛が酷くダウン
天気も悪く見晴らしも悪い
達成感なぞ感じてる余裕なし
のんびりしてる時間もなく
すぐに下山開始…
帰り道がまた恐ろしい…
坂が急で走り出したら止まらない
視界の悪い雲の中を一気に降りる
走った走った走った
疾走爆走大激走
走り出したら止まらないぜ~
砂が柔らかく体重をかけるだけで
身体が滑るように落ちてゆく~
最初は面白かったが
転んでも滑ってゆくので
すぐに立てないし
靴の中に砂がどんどん溜まり
靴が脱げちゃうし
ゴールが見えない…飽きた…
やっと雲より下まできたらしく
視界が開けてゴール
↑『旅ボン 富士山編』ボンボヤージュ 著
私のクラスは確か45人
頂上まで登った勇者は13人
頂上で同じクラスの人間と
会わなかったので
クラスで頂上まで到達したのは
自分一人だと思ったが甘かった…
ヒーローになれず残念…
宿に着いてからも
頭痛が治らず食欲もなく
足がだるくて窓に足を乗っけて
足を高くして寝ていた
これでは山男失格である
窓から見る夕方の富士山は美しい…
さっきまであの頂上にいたのか…
不思議な気分だぜ…だが…やはり…
富士山は遠くから眺めるのがいい
二度と登るかー
と心に誓ったのが1978年7月20日
あれから33年…
時間に余裕と高山病さえなければ
ちゃんと楽しめたのではないかと
思うようになってきた…
もう一度富士山に登ってみようか…
いや駄目だ…やめておこう…
燃える男が本気でアタックしたら
富士山が驚いて噴火しちまう