ー 変異体 ー
朝陽の前に佇み
私は柔らかい光をこの身に受ける
ああ寝ている間に見た悪夢にも
寝首を掻かれることはなかった
目を開けられる幸せがあった
そこから、さまよう家なし獣のように
今日の糧への思いが走り出した
”私は犬になっていた”
痩せることはあれど
太ることなしの生き物に与えられる初っ端の施しは
この身を取り巻く味の失せた空気のみなのだろう
堰を大きな顔で彷徨いていた軽鴨は
糧を先取りしてした真鴨を追いかけ回すこともなくなった
腹を壊して逝ってしもうたか
仲間を追って故郷に帰ってしもうたか
水を蹴る尖がった騒がしい音が消し去られ
夕陽が黒い蚊帳の準備を始めると
明日に待つてて欲しい天国に望みを託すが
ちらつく地獄に寄り添われたら
悩み苦しみ、飯も喉を通らなくなる
そうこうしているうち
”私は得体の知れぬ黄金色の蛆虫擬きになっていた”
喰うことだけが仕事の虫なのだから
喰えそうな物には何でも食らいつくのだ
味がまずいとか
腹を壊すとかなど気にしないのだ
毒を掛けられたり
盛られた時は彼の世行きなのは
無思考が虫なのだから考えることもない
遠くで犬の吠える声がした時
私は窓を見た
乾ききらぬ洗濯物の間から
月の黄色い光が申し訳なさそうに入り込んだ
私は犬にもなれず
蛆虫擬きにもなれず
ただただただ腹を空かせ
流れ来る浮き沈みする糧に
涎を流していたのだ
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今日のブツブツ
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2019.12.30 ・ブロ友さん順調に回復中!
ブロ友さんが順調に回復とのこと。もう少し頑張れ!ファイト!
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