メルカリ購入本31冊目

前川 ほまれさん
『シークレット・ペイン』



前川さんの作品は3冊目


今作は約4年前に発行されていますが

私より10歳若く、4年前…


随分とお若いながら

ご自身の経験や知識を生かして、

とても重厚な世界が

作り上げられていました。




はからずも医療刑務所へ期間限定の

配属となった精神科医の工藤。

矯正医官となった彼が見たのは、
罪を犯しながらも民間と同等の医療行為を
受けている受刑者たちの姿。
自身の過去から受刑者たちに
複雑な感情を抱く工藤。
さらに彼の気持ちをかき乱したのは、
医師を志望するきっかけを作った男との
鉄格子を挟んだ邂逅だった…。


以前の自分だったら手にしないであろう
ジャンルではあったけれど、
前川さんへの興味が勝ったのでしょう。


知らない世界…
だけど
きっとリアルな現実。

色々な面で勉強になりました。



・精神科医の工藤
・同僚の神崎先生
・内科医であり緩和ケアに携わる愛内先生
・西川刑務官
・数々の受刑者
・滝沢真也
・工藤の父、滝沢の母

などなど沢山ですが、
要所要所でポイントとなり、
欠けてはならない存在です。

今と過去を織り混ぜながら
お話は進みます。




どんな人間も失敗はするし、
何かしら欠落はしている。
俺たちはそんな高尚な生き物じゃない


彼らが有している疾患は
塀外の患者と同じだ。
短絡的に受刑者だからと
ラベリングしちまうと、
医者として大切なサインを
見逃すことになるぞ


誰だって被害者のことを考えると、
胸が痛むし憤りを感じるよ。
でもな、
俺たちはなんでこんな真っ白いコートを着て
塀の中にいるんだ。
受刑者を蔑んで嘲笑するためか?
自分とこいつらは違うと安心するためか?
そうじゃねえだろ


結局な、正しいも間違ってるも
本能が選択するんだ。
俺たちは所詮、動物だからさ


誰かと向き合う時って、
愛情や優しさだけじゃダメだって。
時には嫌悪やもどかしさも必要です。
この波と同じように、
時には近づいて、また離れて。
その繰り返しの中で、
相手を知っていくんです


誰かを本気で叱る時って、
意外と自分も辛いんですよね。


人間でたとえると事実は身体で、
真実は心みたいなものですかね


残酷ではあるけれど、
結局のところ
患者なのか?
受刑者なのか?
友達なのか?
どれかひとつの選択は
簡単には答えが出せない工藤に共感です。



ちょっと一息…


ベタ・ハーフムーン




ベタ・クラウンテール


熱帯魚には疎いですが、
気になって見てみました。

工藤先生は
ハーフムーンを飼育していました。

何を思い、眺めていたのでしょうね。



工藤先生は自分と似た性格なので
個人的には
神崎先生の人柄に惹かれます。


にしても


最初から最後まで一貫して
滝沢の年齢設定に
違和感を感じたままでした。

工藤と同い年の設定…
頭では分かっていても
ふと、ん?…
32歳のはずが
40.50代に感じてしまいます。
と感じながら読み終えました。

完全なる思い込みです。








海の匂い…





作品の中では






プランクトンが死んだ匂い…と出てきます。