メルカリ購入本25冊目

はじめましての
前川 ほまれ さん

『跡を消す』




2018年に初版が発行され

本作でデビューされました。



特殊清掃専門会社を舞台に

ひとりの青年の成長、変化の様子が

とても丁寧に、リアルに描かれ

熱いものが込み上げました。


特殊清掃…

遺品整理なども含め、

孤立死や自殺など、わけありの亡くなり方を

した人達の部屋を片付けるお仕事。


なんとなく

そういったお仕事の存在も

あるんだろうなぁ…的な感覚でしか

私は現実を生きていない。


だから

読んでみて、とても勉強になりました。


いつか、人は死ぬ


いつその日が来るのか

どのような形で迎えるのか

知る由もないけれど…


死ぬことって何なのか

生きていくことって何なのか

浅井くんと一緒に考えていました。




気ままなフリーター生活を送る浅井 航。

ひょんなことから

飲み屋『花瓶』で知り合った

笹川 啓介の会社『デッドモーニング』で

働くことになる。

そこは特殊清掃専門会社。


死の痕跡がありありと残された現場に

衝撃を受け、失敗続きの浅井だったが、

飄々としている笹川も

何かを抱えているよう…




第一章  青い月曜日

第二章  悲しみの回路

第三章  彼の欠片

第四章  私たちの合図

第五章  クラゲの骨

エピローグ


…から成ります。



どの章もとても良かったです。

ただ、泣いてしまったのは第四章でした。


それまでは平気だったのに…。



過度な人生への期待は、毒になりますから。

期待さえしなければ、落胆することもない。

過度な希望がなければ、大きな絶望もないね



優しい言葉って、何だろうね?




誰かが大切にしているものを、

自分も同じように扱うって、

意外と難しいんだよ。



現実的な距離に、

お互いの心の距離が比例するとは

限らないのが人間だからね…



自分の命と交換しても、

生きていて欲しい人っているかい?



浅井

笹川

『花瓶』の店主・悦子

事務員・望月

同業者・楓

にゃんこ・カステラ


みんなとても良い味を出しています。


笹川に

心奪われたかな。

弱さを感じない裏に見える陰…

誰かがいても

なんの役にも立たないだろうけど、

寄り添いたいと思えました。




とても素敵な作家さんに出逢えました。


デビュー作に感じないほどに

完成されてる…


他の作品も気になり

積ん読山がかなり高くなっていますが

懲りずに前川さんの作品を2冊

ポチポチっとしました♪



『特殊清掃』

もしかしたらお世話になるかもしれない。


AIの発達で人間のする仕事が減ると

言われていますが


いくら発達しても、

この仕事は

生身の人間しか出来ない

とても大切な仕事だと感じました。