ヤオコー所沢北原店の水産・刺身について2022年盆商戦を見た。当日は台風8号の接近により生憎の悪天候。お客の出足が今一つの印象だったが、価格を抑えつつ、価値訴求と即食訴求を強化するMDが見られた。

臨店は813日(土)14時頃。刺身関連は水産売場の主に壁面ケースに展開。主通路先頭から、盛合せ、単品、マグロ、フグ、サーモンの配置。対面の平ケースエンドでは、旬魚の金目鯛を配置した(図表①)。

図表②は刺身関連の商品一覧。マグロを除き、各カテゴリーの即食アイテムを中心に取り上げた。特徴は、

①価値訴求

②即食(レディ・トゥ・イート)アイテム強化

③価格の抑制、

である。

①は、まず本マグロの訴求。他チェーンを含め、本マグロはハレシーンの価値訴求アイテムとして定着している。

所沢北原店では、盛合せのカテゴリーが、本マグロのみを商品化した「本マグロ中トロ・赤身」(798円、1000円、共にパック単価、以下、単位なしはリテールパックプライス、「/g」は100g単価のユニットプライス商品)の他、ポイント付与対象の「刺身盛合せ(本マグロ入り)」1280円、本マグロ入り盛合せ980円等、本マグロを加えた商品の品揃えを充実。

マグロのカテゴリーでも、「ねぎトロ(本マグロ入り)」598円、「本マグロ重ね盛り」798円、「国産本マグロ切落し」980円等の即食アイテムの他、「スペイン産本マグロ赤身サク」798/g等、サク商品を品揃えしていた。

主役盛合せも価値訴求を狙った一品。これは3点盛りの商品で、1魚種のポーションを増やしたもの。主役の魚種を特定し、お客が価値を感じる商品化を狙ったものと言える。真鯛を主役にした商品と、イカを主役にした商品(共に980円)を品揃えしていた。

また、売り込み魚種をSKU展開する平ケースエンドの売場では、金目鯛の売り込みを行い、切身等に加えて、「金目鯛刺身」980円・1980円を品揃え。売り込み魚種を絞り、価値訴求と購買の動機付けを図っていた。

 

②は即食商品の強化。前述の盛合せとマグロのカテゴリーに加え、カツオ、イカ等ののっけ盛り5アイテム(298980円)に加え、アジたたき、アジ、サーモン等の単品10アイテムを展開。調理の手間を省き、そのままテーブルに並べて食べることができるアイテムを充実させていた。また、欄外に記載したが、子供向けのファミリー層を狙ったと見られるサーモン三昧(698円、1000円)、ハモ(598円)、フグ等の即食アイテムも品揃え。

③は、臨店時間の影響もあるかもしれないが、3人前・4人前等の大容量の盛合せが見られず、刺身全体に価格水準が抑えられている印象があった。

マグロのサク商品とねぎトロを除くリテールパックプライスの商品は、上限価格が「金目鯛刺身(大)」の1980円。他、1000円以上のアイテムは、「本マグロ中トロ・赤身」1000円、「刺身盛合せ(本マグロ入り)」1280円、「大バチ造り(大)」1000円の3品。一覧に取り上げた商品のプライスポイントは398円・498円の価格ラインである。

かつてスーパーマーケットの盆商戦では、2000円台の刺身盛合せ等が普通に品揃えされていたと記憶する。このヤオコーの品揃えと価格の狙いが何によるか定かでないが、抑制的な展開という印象をもった。