2022年の土用の丑商戦について、ヤオコーとサミットストア(以下、サミット)の惣菜・寿司と水産の取り組みを見た。今年の土用の丑の日は723日(土)と、ハレシーンの訴求に好適な曜日回り。両チェーンの丑の日MDは、SKUの展開で違いが際立つ結果となった。

今回、調査を行ったのは、ヤオコー所沢北原店と、サミット小平上水本町店。それぞれのチェーンを代表する旗艦店で、サミット小平上水本町店は、OKストアやロピアとの近接競合を受け、価格訴求を強めている。

チラシ掲載は絞り込み訴求

図表①を見てほしい。これは、所沢から国分寺かけて出店を行う主要チェーンが、土用の丑商戦で投入した特売チラシの掲載商品である。とくに水産について顕著だが、チラシ掲載のSKUを絞る傾向が見て取れる。

惣菜・寿司では、さえきの8品を筆頭に、サミット、スーパーアルプス、ヨークフーズがSKU展開を強化した。さえきはSKUの多さに加え、プライスゾーンも最大。700円前後にプライスラインを集中させる一方で、価値訴求を狙った「静岡県産うなぎ使用のひつまぶし」3990円を投入した。これに対し、ヤオコー、コープ、いなげやはSKUを3以下に抑え、単品訴求を強化した。

水産は、惣菜・寿司以上にSKUを絞り込む傾向が顕著で、6SKU以上を展開したのは、サミットとさえきのみ。サミットはサイズと入り数の違いにより、プライスゾーンを4583960円に広げ、8SKUを展開。さえきは、3000円近い水準にプライスラインを集中させるアップグレードMⅮによりSKUを拡大した。これに対し、ヤオコーの2SKUを筆頭に、スーパーアルプス、コープ、ヨークフーズ、いなげやは4SKU以下の展開。単品訴求に重点を置くMD戦略が採られた。

メニュー提案によるSKU展開

では、実際の売場展開はどうだったのか。特売チラシで抑制的なSKU展開を見せたヤオコーは、惣菜・寿司、水産共、量目展開とアップグレード化によるSKU拡大を行っていた。

惣菜・寿司では、サミットは「ふっくらと焼き上げた鰻重(国内産)」1680円をメーンに、一人前の量目設定で7SKU(450円~1680円)に止めたが、ヤオコーは12SKU(298円~1980円)の展開。

ヤオコーは、チラシのメーン商品である「愛知一色産鰻と厚焼玉子のうな重」(1680円)の陳列量を最大とする一方、チラシ掲載を行わなかった「愛知一色産新仔鰻うな重」(1980円)を並売。ハレニーズを喚起するアップグレード商品を投入し、こだわり訴求と単価アップを狙ったものと見られる。

また、「鰻まぶしご飯」と「具が凄い!たっぷり鰻入り」の量目展開によりSKUを拡大。ファミリー需要を取り込み、単価アップを狙ったものと見られる。

 

こうした傾向は、水産についても、ヤオコーのMDに見られる。

サミットは、壁面ケースを含め、17SKUの展開。視認性が高い平台エンド位置で、国産商品を量販する一方、平台裏面と壁面ケースで、ストック需要の取り込みも狙い、中国産や白焼き、肝串等の関連商品を展開した。

また、国産のカット商品、中国産の長焼き、蒲焼等について量目によるSKUを展開。曜日・時間帯によるためか、チラシに掲載された「ふっくらと焼き上げたうなぎ長焼(国内産)(2尾)」3960円、「同・長焼き大(1尾)」2980円、「店内蒸焼き」2080円は見られなかった。

これに対し、ヤオコーは、長焼きについて入り数によるSKUを展開。見せ筋とも思われる9500円の商品も品揃えした。また、「愛知産うなぎスライス(小パック)」              980円、「愛知産白焼き・かば焼き食べ比べ」3880円等、スライスや食べ比べ商品のSKUを拡大。スライス商品は五目ちらしのメニュー提案との連動した商品化で、長焼きと白焼きの食べ比べセットを含め、メニュー提案や食べ方提案を狙い、SKUを拡大したものと見られる。