ネットでポチッたミニベロは完組で購入したのだが、段ボールにそのまんまズドーンと入っていたのだ。
デカい。デカすぎる。
本当なら1日事務所にこの状態で置いておこうと思ったが、そうは問屋が卸してくれなかった。まずはこの段ボールを速やかに片ずけないと駐車場と契約しているクソジジイどもに怒られてしまう。
西濃運輸のあんちゃんは段ボールを引き取ってくれなかった。外は降りしきる雨、このビル内の駐車場で段ボールをバラしてしまわないと、社長が帰ってきたら見つかってしまう。一旦事務所にカッターを取りに戻った。作戦行動は静かに且つ冷静に行うのである。まずは箱から自転車を取り出した。
美しい。
アルミフレームがことの外シンプルで美しいではないか。ロゴはこんなに大きく書いてなくてもいいのになぁ。
感慨に耽っている場合ではない。すぐに段ボールの解体作業をしなくてはならないのだ。
手を怪我しないようにカッターの刃を必要最低限に出して、おっちらせ、おっちらせと掛け声をかけながら解体してゆく。ひたすらに淡々とバラすのだ。凄い量の段ボールだからな。
そして、諸君らにはもう一度だけ、改めて忠告しておこう。この一連の流れ、つまりネットで自転車を買い、会社に届けさせて梱包されてあった段ボールを片ずける一連の動作のことである。私はヴァージニア州ラングレーの秘密施設で3年間、特別な訓練を受けているので大丈夫だが、キミらがやったら1発で職を失う可能性がある。くれぐれも真似をしないようにしていただきたい。
ほれ、こんなにコンパクトになった。
さてと、まだパラパラと雨が降っているが、ここでシンキングタイムだ。自転車をいつどうやって持って帰るか。
タイミング的には今日しかない。
出来ればこのまんま、社長にバレずに乗って帰るのがベストだろう。明日は夕方から用事があるし、土曜日はライブだろ？日曜日にわざわざ来るか？やっぱ今日だよなー。
しかし、生憎の雨である。
それに今日は船橋で、巨悪を追うジャーナリストの石和氏とスミタ氏との合気道道場HP完成記念パーリィが船橋加賀屋であるのだ。これが18時30分からのスタートである。
現在14時00分。
過去に銀座から自宅まで夜中にママチャリで帰ったことがある。シネパトスのあった半地下街の居酒屋で客さんと呑んでいた時に刺身が当たってウ○コを漏らした事がある。独り事務所に戻り、トイレで綺麗にズボンを洗い、濡れたままのズボンを穿いて寂しく会社のママチャリで帰ったさ。確か本八幡でズボンはほぼ乾いたっけかな。帰りは頭ん中でソウルアサイラムのランナウェイトレインがループで流れていたっけかな。
じゃあ、そんな思い出の曲、聴いてください。
ソウルアサイラムでランナウェイトレイン。
話しはそれた。
そんときに市川橋まで1時間30分、自宅まで2時間50分かかったんだ。ただし、それはママチャリでのこと。ギアのついたドロップハンドルのミニベロなら、どれだけタイムを稼げるだろうか。
船橋駅まで2時間で行けるんじゃね？
つまり、16時30分まで天気を見て、雨が降っていなかったら自転車で船橋駅改札口まで行こうと。颯爽と18時30分に新しいミニベロで登場しようじゃないかと。
16時30分。雨は止みそうだ。人によっては傘を差さずに歩いている。さすが天下御免の晴れ男だ。俺は安っぽいプラスチックのペダルを踏み始めた。訪れる至難の連続も知らずに。
果たして友との待ち合わせに俺は間に合うのだろうか。
つづく