飯田泰之・浅川芳裕「農業で稼ぐ!経済学」(農業の制度について)
農業の制度
戸別所得補償制度
2010年4月から民主党が始めた制度。
- 都道府県ごとに作付けする作物を「県ごとに何トン」と割り当てる
- 販売価格が生産費を下回る農作物をつくる農家が対象
- 割り当てに従った農家に1反(10アール)当たり一律で1万5000円を与えるというもの
- コメ、麦、大豆など自給率の向上に寄与するものを「戦略作物」に指定している
デメリット
- 農地が約100万ヘクタール減反された
- 作付けの転換が行われない
- 農家の好きな作物をつくる自由が奪われた
2011年度
コメの生産調整に参加した農家への交付金に加え、政府が新規需要を見込む飼料米、米粉、小麦、大豆、そば、菜種などを作付けする農家に8000億円、関連予算を含めれば1兆2000億円が計上されている。
- 生産費と販売額の差額分に応じて、給付額が決まる
- 数量に応じた補助金の部分に関して、赤字幅が大きいほど給付額が大きくなる
需要のない米粉用米や飼料米をつくる農家に10アール当たり8万円、1ヘクタールで最大95万円が補償されている。
定額給付方式(民主党政権以前)
- 作付けする作物を自由に選べる
農地
農地に対する所得補償
農地を貸し出して得られる収入=1ヘクタール10万円~多くても30万円
所得補償=1ヘクタール当たり最大95万円
デメリット
やる気があり農業を成長産業にできる農家は、農地を借り入れて大規模化を図っていた。
しかし、貸し出すより、自分で耕した方が収入が良くなる環境になり、成長農家が農地を貸しはがしを受けるようになった。
成長農家は、大規模化を図り、スタッフを雇い、設備投資をしてきたが、
農地の貸しはがしによって成長投資のための負債を返済する目途が立たなくなったケースがありそう。
農地は相続税が優遇されている
農地は納税猶予・免除がある。
農業を継続した場合は、たいていの場合は免除されることになっている。
納税猶予税額=(通常の評価額による相続税額)-(農業相続人が相続する特例農地等を農業投資価格で評価した相続税額)
道路用地など公共収用される転用期待
売買基準=(実勢価格)+(転用期待分)
たとえば……
10年以内で100万円で売れる期待のある農地の場合、
(農地としての価値)+(100万円)となる。
飯田泰之さんの意見
公共事業が縮小していく中、東日本大震災のようなことがない限り公共事業をしないとしたら、
20年の定期借地権で農地を借りられるようになれば、正当な値段に近づくのではないかと述べている。