先週末までの忙しい期間をようやく乗り切った…と思いきや、間髪入れずに新型コロナウィルスに感染してしまい、土日は伏せっていました。そして、今週は会社から自宅待機指示を受けているという状況です。ただ、仕事から遠ざけられたため、ようやくブログを書けることになりました。しばらくは毎日書けそうで嬉しい。
 

 今回は、新型コロナウィルス感染記念として、以下のお経をご紹介します。


 仏説却温黄神咒経(ぶっせつきゃくうんおうじんじゅきょう)

 ある時、釈尊は王舎城の竹林精舎で説法をされた。その時、ヴァイシャーリー国では疫病が大流行していて、その凄まじさは大火事のようであり、亡くなる人は数え切れず、逃げ場も治療するすべも無かった。そこで、阿難は「あの国では、現在疫病が大流行しています。多くの人々が苦痛から逃れられる良い方法をお教えください」と申し上げた。

 これに対し、釈尊は「疫病が流行するのは、七人の鬼神が毒をまき散らしているからである。人々がその毒に感染すると頭痛がして寒気や高熱により身体の節々に激痛が走り、言葉に出来ないような苦しみがある。しかし、その鬼神の名前を唱えたのなら、鬼人たちは自分の正体を見破られたと思い危害を加えなくなるだろう。今から、その鬼神の名前を教えよう」と仰せになった。

 そして、釈尊は「鬼神の名前を呼んで疫病を鎮めようとする時は、次の呪文を唱えるがよい」 と仰せになった。
 

南無仏陀耶 南無達磨耶 南無僧伽耶 南無十方諸仏 南無諸菩薩摩訶薩 南無諸聖僧 南無呪師

(仏、法、僧、十方の仏、菩薩、聖僧、呪師に帰依する)

 

沙羅佉 沙羅佉 沙羅佉 
(おいはらいたまえ) 

 

夢多難鬼 阿佉尼鬼 尼佉戸鬼 阿佉那鬼 波羅尼鬼 阿毘羅鬼 波提犂鬼 

(七人の鬼人)
 

疾去疾去 莫得久住

(すぐに立ち去れ 長くとどまるな)

 

 これによって、感染した人々の身体から毒が消滅し、病気も直ぐに治癒するであろう。仏・法・僧の三宝に帰依し、香を焚き、心から拝礼して、この呪文を唱えるがよい。人が病になって七日間にわたって熱病に苦しむのであれば、清らかな水に呪文を唱え、それを飲ませよ。そして、この呪文を37回を唱えれば、疫病は全て消滅するだろう(以下略)。


【メモ】
 仏説却温黄神咒経は、創作感の強い大乗経典の中でも特に「お釈迦様が絶対に言わなさそうなこと」(ホリ)な内容でして、やはり中国で作られた偽経(ぎきょう)とされていますが、仏典として中国及び日本仏教では大切にされ、真言宗では、疫病発生時の祈祷で使用されてきた歴史があり(効果があったという記録も多くある)、臨済系宗派などでは、現在でも陀羅尼(呪文)の部分について読誦されているようです。

 経の内容としては、お釈迦様が「疫病の発生原因を7人の鬼人が毒(ウィルス)をばらまいているから」とした上で、「鬼人の名前を口にすれば、鬼人たちは自分の正体が見破られたと思い、動きを止めるだろう」などと、疫病への対策を説くものとなっています。専門家によると、本経の内容は中国の民間習俗の影響を強く受けている…とのことです。

 私の感想としては、そもそも敵の正体を明らかにしない限りは戦いようがないわけで、まずは敵(疫病)に名前をつける…ということは有効だと思います。その上での陀羅尼の効果に期待というところでしょうか。

 ちなみに、前提として、陀羅尼を唱える前に、仏・法・僧を信じ、香を焚き、礼拝をしてから行わないといけないことになっていますが。となると、効かなければ、信心が足りないから…と言い訳ができる建付けにはなっています(笑)