へなちょこ登山人~八峰キレット3人組:鹿島槍ヶ岳・五竜岳~ | いつもだいたいむかいかぜ

いつもだいたいむかいかぜ

 走ればだいたい向かい風、止まっていても、逆に行ってもだいたい向かい風。

 そんなオヤジ顔のツーリングだったり、ローカル線だったり、散歩だったり、車に乗ったり、ゲレンデ滑ったり、本を読んだり、映画見に行ったり、

 そんなオヤジの徒然日常備忘録。

 

 五竜岳のオモテナシはさすがだなぁ!

 岩場が終わったと安心して進むと、用意していましたとばかりに先の見えないカーブの先に岩場が用意されている。

 それもクリアしてしばらく歩いて登りに差し掛かったと思ったら、先回りして準備しておきましたと、岩場の下りが始まる。

 

 さすが五竜岳、人が嫌がる要所要所に岩場が設置されている。

 スーパーマリオメーカー上級編かよ!?

 いや、この岩場、実は無限ループに入っているかもしれない。。。

 

 ここは鹿島槍ヶ岳と五竜岳の間の尾根。

 北アルプスの三大キレットと称される八峰キレットである。

動機

 またしても毎度おなじみ後輩S藤だが、今回はもう一人のS藤と俺氏を含めて三人の山行です。

 このメンバーでの登山は、2年前の剱岳登山から始まった。

 去年はさらに魔王様が加わり4人で飯豊山だったが、この時に魔王様が怪我をして(足骨折)、そのボルトが一年経ってもまだ抜けていないので今回は断念。

 ということで、3人の山行となった。

 

 ところで鹿島槍と五竜に行こうと言い始めたのはS藤と俺のどちらだっけ?

 6月の時点で、すでに山行が決まっていた。

 キレット小屋に泊まりたいと言ったのは俺で間違いない。

 小屋の予約の関係でで8月9日から2泊三日の登山となり、一日目は種池山荘、二日目はキレット小屋に泊ることになった。

 

 小屋の予約は後輩Sに任せて、俺は帰りの足の手配をした。

 もう一人のS藤が来るのを失念していたり、帰りの日付が一日ずれていたりしたけれど、帰りは白馬から新宿まで乗り換えなしで帰れる特急を手配できた。

 8月9日の朝に信濃大町で、名古屋から来る二人と合流することになった。

見聞録1日目:8月9日(金)

 昨日は登山前日なのに21時近くまで仕事をしてしまい、寝るのが1時を過ぎてしまった(前回の旅ブログを書き切ったため)。

 前夜に登山準備をしてから、翌朝は始発に乗らなきゃいけないのに朝がツラい。

 5時過ぎに起きて、5時45分ごろに家を出て6時22分に上野を出る北陸新幹線始発かがやきに乗って長野には7時半に着く。

 寝てる暇もない(寝ていた)。

 半年間の須坂時代によく利用していたカフェのワッフルサンドを食べに行こうと思ったけれど、信濃大町行きの始発バスが30分後に出る。

 先に大町に行くべきと、朝めしは長野駅の駅そばナカジマ会館で天玉そばを啜り、8時10分にメトロポリタンから出る扇沢行きのバスに乗った。

 爆睡するつもりで一番後ろの端っこの席でシートを倒して、そんで爆睡してたら9時半に信濃大町に着いた。

 ところが、信濃大町で下りる人はほとんどいないし、補助席まで埋まっていたから、一番後ろの席からバスを出るのに難儀した。

 サーセン。

 

久々に長野駅

 

長野駅の駅そばはナカジマ会館派

 

 久しぶりの信濃大町。

 新入社員時代を過ごした保守区は組織改正で体制として消滅してしまったけれど、建物はまだ残っている。

 S藤×2が来るまで1時間弱、駅前の丸福パンで買って、駅の待合室でパンをかじりながら待つとする。

 そして10時18分、松本からの大糸線が到着し、二人が改札から出て来た。

 よーす!

 毎度おなじみ後輩Sは一週間経たず東川ぶり、S藤君は津でうなぎ食べて以来かな(昨年末か)?

 10時半の扇沢行きのバスに乗り換えて、目指せ北アルプス。

 

思い出の信濃大町

 

新入社員時代を過ごした職場

 

 扇沢には11時に着いた。

 30分乗って1650円のバス代は、お値段高くない?

 扇沢でS藤君が歯ブラシを探していたけど、あるわけないよね。

 ヤマサンカのカラビナにライチョウが仲間に加わっていたので買ってしまう。

 破砕帯の水に「すげぇ!つめてぇ!!」とちびっ子がはしゃいでいるのに、思わずニンマリしてしまう。

 

 扇沢から車道を15分ほど歩いて戻り、橋を渡ったところが柏原新道の起点だ。

 この道は過去2度歩いているようだ。

 淡々と登るだけの、たいしてツラくない道だった覚えがある。

 とはいえ標高差1000mを最近の登山でやっていないし、小屋泊のはずなのに荷物がめっちゃ重い(なぜだ)。

 それに、雨雲レーダー的には13時から小雨の雲がかかるぞ。

 そんな状況で11時半に登り始めた。

 

柏原新道

 

 稜線に上がるには便利な登山道だが、たいした特徴のない道だ。

 岩場もなく、ガレ場もなく、一定のペースで土の道を登る。

 250mほど上がると、扇沢を見下ろせる。

 さらに250mほど上がると針ノ木岳の稜線を見上げ、行く先に種池山荘が見えた。

 あそこまで、まだ標高差500mほどあるんよなぁ。

 記憶では、そんなに疲れなかったけれど、一日目の登りはそれなりに疲れる。

 だいたい300m登るたびに休憩する。

 陽を遮る雲が湧いてきたから日差しの強さは感じなかったものの、この雲で雨が降ってきたら困る。

 ついこないだ、蓼科山でゲリラ豪雨を食らってびしょ濡れになったばかりなので。

 そんな心配をしていたけれど、雨が降ることなく15時前に種池山荘に到着した。

 一日目ゴール!

 

針ノ木岳の稜線に種池山荘を見上げる

 

種池山荘で一日目のゴール

 

 後輩Sにチェックインを任せ、案内されたのは3人で個室ひと部屋。

 やったぜ!

 さっそく俺はお湯を沸かしてカレーメシ(完全メシ)を作り、500mLビール飲んでグダグダ時間突入です。

 夕食の18時までヒマ。

 俺は昼寝させていただきますわ。

 体は疲れているが寝付けないのは、体温が下がらないからか。

 筋肉を休めるのに徹していたら、S藤君の使えないトレッキングポールを小屋の人が直してくれて持ってきてくれた。

 あざーす。

 

くじゅう以来、山での柑橘が定番入り

 

おはよう

 

 18時前に夕食をいただく。

 この時に誰も何も言わなかったけれど、翌日のキレット小屋と比べるとウーンなメシだった。

 外に出ると雲が山と山の間を駆け抜け、到着した時には雲に隠れていた立山が見えた。

 爺ヶ岳にかかる雲に夕日を受けたブロッケンが見られた。

 行く先の鹿島槍には雲が無く、種池から鹿島槍が見えるいい場所を探してテント場の先まで行ってみたけど、一番よく見えるのは俺らの部屋の窓からだった。

 

一日目の夕食

 

北に見える鹿島槍

 

爺ヶ岳にかかるブロッケン

 

ブロッケンの正体

 

雲海の針ノ木峠

 

 やることなく、暗くなったら寝るだけ。

 明日は爺ヶ岳と鹿島槍を越えて、八峰キレットの中心を目指す。

 

 

 

1日目のルート:扇沢→柏原新道→種池山荘

見聞録2日目:8月10日(土)

 朝食の5時前に目が覚める。

 昨日は全然眠れなかった。

 極端な疲れは、寝付くのに逆効果だ。

 後輩Sも、S藤君もスヤスヤ寝ていて俺だけ眠れなかったのか?と思っていたら二人ともが自分以外スヤスヤ寝ていたと証言する。

 全員が狸寝入りか?

 

二日目朝食

 

 朝めしを食べたらさっさと出発します。

 5時半過ぎ、今日の登山を開始するとす。

 開始早々に標高200mを登って爺ヶ岳へ。

 起きた瞬間からの登りは徳本峠からのジャンクションピークを思いだしたけど、あそこほどはキツくない。

 朝の運動にはちょうどよく、爺ヶ岳南峰に6時半前に着いた。

 山荘からは見られなかった穂高、槍、赤牛それに立山と劔が針ノ木の稜線の向こうに見え、行く先の鹿島槍がデンと構えている。

 南は一面の雲海で、八ヶ岳と南アルプスの間に富士山の頭が雲から突き抜けていた。

 

種池山荘出発

 

山荘から雲海。針ノ木岳の間に水晶岳が見えた

 

まず爺ヶ岳へ

 

少し登ったら剱岳が見えた

 

爺ヶ岳南峰からのパノラマ

 

雲海の遠くに富士山の頭

 

 そのあと爺ヶ岳中岳(爺ヶ岳はピークが3つある)は南峰ほどの感動はなく、北峰へは道が無い。

 爺ヶ岳と鹿島槍の間はまた種池山荘と同じ標高まで下がる。

 冷池山荘に着くころには、雲が上がってきて視界が真っ白になった。

 山荘で500円のコーラを買うことに躊躇はなく、弁当もここで食べるとする。

 やっぱり誰も不満を言わなかったけれど、この弁当ビミョーよな。

 

冷池山荘と鹿島槍

 

種池山荘の弁当

 

 冷池から鹿島槍までは400mほど登るが、下から見上げる鹿島槍はいくつもピークを持っている。

 あれが山頂か?いやちげぇを繰り返す。

 このころから、無限○○編、無限ループという単語が増え始める。

 この無限ループを抜け出すためにはライチョウの発見が必要だが、普段なら雲と共に現れるライチョウは今回の山旅で見かけることが無かった。

 

鹿島槍アタック、ガスが上ってくる

 

 いくつもピークを繰り返し、最終ピークの布引山からは一直線に山頂に延びるザレ場の登山道が薄くなった雲を通して視認できる。

 そして10時半過ぎ、鹿島槍南峰のピークに着いた。

 山頂に着くころころにはガスが上がってきて何も見えない。

 雲が流れて近くに見えた北峰は寄らずにトラバースでいいや。

 

鹿島槍山頂ガスのなか

 

山頂からキレット小屋が見える

 

 

 あとはキレット小屋まで下るだけだが、ここからが八峰キレットの心臓部だ。

 切れ落ちた岩場にしがみついて突破し、鎖と梯子で上り下りする。

 時折見えるのは落ちたら死間違いない絶壁だ。

 なんでこんなところを登山道にするのか、絶壁と絶壁に挟まれた梯子を登れば、ようやくキレット小屋の屋根が真下に見えた。

 本当に絶壁の間の尾根に挟まれた小屋だった。

 

岩壁をあるく八峰キレット核心部

 

キレット小屋到着

 

 12時40分、キレット小屋に到着。

 だいぶ早いが、次の五竜山荘へはコースタイム5時間かかる。

 先に着いた人は、これから五竜までですと急ぎ足で出発していった。

 今日の部屋は山小屋らしい、寝る場所だけ確保されたカイコ棚の二階の隅だった。

 荷物を置いたら昼の準備。

 マルタイ棒ラーメンを2食分茹でたけれど、水900mL消費したのが翌日の遠見尾根の下りに響く。

 500mLビール1000円で乾杯して、またも昼までゴロゴロして過ごす。

 

 17時、夜メシはハンバーグ。

 やっぱり昨日はメシマズだったと話題に上がる。

 席を一緒にしたおばちゃん二人曰く、私たちの足で遠見からここまで8時間かかったと言っていたので、な~んだ明日の下りはたいして時間かからないだろうな、と予測したけどそんなことはまるでなく。

 弁当もらって暇を持て余し、日没後の夜の帳と残照の間に、雲に浮かぶ剱岳を飽きるまで見つめていた。

 

二日目夕食

 

剱岳夕景

 

二日目のコース:種池山荘→爺ヶ岳→鹿島槍ヶ岳→キレット小屋

 

見聞録3日目:8月11日(日)

 朝4時起き。

 まだ外は真っ暗だが、支度したころには既に半分ほどの人が出発した後だった。

 さすが山の核心部の小屋は違う。

 15分ほど遅らせれば明るくなりそうでヘッドライトをつけるのが面倒くさく、弁当食べてから行かね?と言ってみる。

 出発前に弁当を食べてしまった。

 

三日目、朝弁当

 

靴箱から分かる、半分くらい出発済み

 

 4時半に出発。

 足元が見えるくらいで薄暗いが、すぐに明るくなるだろう。

 少し登るとキレット小屋を見下ろす。

 八峰キレットの核心部は続く。

 岩場のハシゴをクリアし、歩き始めて30分ほどして日の出を迎える。

 鹿島槍と五竜の間の最低地点のコルからは全部登りと思っていたのに、アップダウンを繰り返す。

 ここでも無限ループにハマってしまった。

 

キレット小屋を後にする

 

三日目の日の出

 

朝日を受ける鹿島槍

 

終わらない八峰キレット

 

雲がたなびく五竜

 

 五竜岳への最後の登りは、ゴロゴロした岩場だった。

 山名由来は武田菱の御菱岳らしいが、山頂直下のゴーロがなまっての五竜岳ではないかと考えた。

 そして山頂に8時20分に到着。

 見下ろせば次の小屋、五竜山荘の屋根が見える。

 着いた頃は見晴らしがよかったが、すぐにガスが上がって来た。

 そういえば、5,6年前に五竜岳を日帰りした時は雲の中だった。

 

五竜岳直下

 

五竜岳から鹿島槍を振り返る

 

このための五竜岳Tシャツ

 

五竜山荘を見下ろす

 

 山頂から標高を一瞬で300m落として、五竜山荘へ。

 俺氏はコーラが飲みたい!

 荷揚げのヘリコプターの合間を縫って山荘でコーラを手に入れたが、うん?ぬるめで少し残念。

 水が無くなってしまったので500mLを確保したが、1L追加しておくべきだった。

 以前に買った「山が好き酒が好き」Tシャツは、ノーブランドで4700円と、だいぶ値上がりしていた(俺のが着ているのはノースフェイス)。

 

五竜山荘は荷揚げ中

 

 後は下るだけなのだが、山荘から遠見尾根の出会いまで少し登る。

 そこから、一気に西遠見まで鎖と梯子の連続で標高300m落とす。

 梯子があるのが分かってたからトレッキングポールは大遠見を過ぎたところから出す。

 そして、西遠見から小遠見まで標高2000mほどをひたすら歩くのが遠見尾根の特徴。

 クソなげぇ。

 

S藤君「これ無限ループ入りましたよね」

俺氏「気が付いちゃったかぁ。。」
 

 俺はといえば、下りでごくごく水を飲んでいたら、大遠見ですでに残り150mL。

 まだ2時間歩くことを考えると、非常にツラい。

 脚を止めるとまた歩き出すのがツラいから小遠見を最後の休憩としていたのに、休憩したのは中遠見だった。

 

西遠見から見上げる五竜岳

 

池に映る五竜

 

 中遠見での最後の休憩のち、小遠見がすぐあって、そこからは観光客でも歩ける道を下る。

 「アルプス平まで45分」の看板に、終わりの近づきを感じる。

 そして13時過ぎ、リフト山頂駅に着いた。

 終わった~!

 S藤君が「2000円までならリフトで下りますよ!」と言ってたけれど、リフトに乗るとゴンドラ駅を通り越してまた上がることになるという、リフトを薦める気が無い係員の案内に、じゃあ歩いて下るかと方針を変える。

 自販機があったのでコーラ速攻180円。

 キレット小屋の1/7のお値段ですよ、買わない理由が無い、安い!

 

アルプス平ゴールを見下ろす

 

 ゴンドラで下って13時半、今回の山旅おしまい!

 エスカルプラザの風呂に入り、14時半過ぎに予約しておいたオンデマンドタクシーが来て白馬駅へ。

 駅に荷物を置いてスーパーでアルコールを買い求める。

 そして15時16分、特急あずさ46号で白馬を後にした。

 最後は計画がカッチリ決まった。

 ビール飲み、チューハイ飲み、さらに松本駅の停車時間5分でアルコールを買い足したけれど、松本から車内ワゴンが始まった。

 上諏訪あたりで寝落ちして、甲府で目が覚めた。

 

白馬駅から帰ります

 

 新宿に19時15分到着。

 白馬から4時間の列車旅だった。

3日目のコース:キレット小屋→五竜岳→遠見尾根→アルプス平駅

その後

 高田馬場に戻ってザックを置いてくる。

 S藤×2も同様。

 荷物を置いたら飯田橋へ向かう。

 家を出たら、オカンと姉貴と鉢合わせて「スイカペンギン祭り」という謎の単語を残していく。

 今回、魔王様の奢り焼肉が山旅の締めだった。

 昨年に飯豊山で負傷した魔王様は脚のボルトがまだ抜けていないが、この一年でご結婚されていたのだ。

 20時半という開始時刻に20分ほど早く着いてしまうが、行って何か仕込んでおこうかと話していたのに、行ったらすでに魔王様と魔王様嫁が待ち構えていた。

 

 どもーす一年振り!新潟以来!!

 

 てなわけで焼肉をゴチになりました。

 終了間際で大量肉追加だけれど、焼くスペースが小さいから終了時間過ぎても居座っていました。

 魔王様嫁にセクハラを受けたので、忘れないように被害をここに記しておきます(次に会うのがが怖いよ)。

 

 

 昼過ぎに白馬を出発してから、今日はどんだけアルコール摂取したんだよ。

 明日がツライだろうなぁと思いながらも高田馬場に帰ってきました。

 今日はすぐに寝るとす。

翌日:8月12日(月)

 疑問を挟む余地を無いが、S藤×2はいつも通りウチに泊っていた。

 7時、朝めしに外に出るが、出た瞬間に朝日でドアがチンチンに熱されている。

 暑っ!

 富士そばで朝そばを啜って家に戻ってから、解散!

 そういや9月の早池峰計画は何も作戦立ててない。

 S藤君は「俺ノミネートされてましたっけ?」というレベル。

 

 荷物を片付けて9時半、涼を求めて映画館に逃げ込み、ぼざろ総集編後編を見に行った。

 そのあと、コメダで溜まっていた新聞を消化し、南口周辺で店を見て回り、馬場に戻ってからプロントで三日間のブログを書いていたのである。

 

 これにてお盆休みの前半が終了。

 明日明後日の2日間、仕事しにいかなきゃなぁと鬱が始まる夕方どきであった。

以上。