【読書】三崎亜記「名もなき本棚」 | いつもだいたいむかいかぜ

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 走ればだいたい向かい風、止まっていても、逆に行ってもだいたい向かい風。

 そんなオヤジ顔のツーリングだったり、ローカル線だったり、散歩だったり、車に乗ったり、ゲレンデ滑ったり、本を読んだり、映画見に行ったり、

 そんなオヤジの徒然日常備忘録。

 

 

 ”近年ますます、日常生活で「自爆」を求められる状況は多様化している”

 そうなのか?と疑問を挟む余地を与えられずにストーリーは進む。
 解説に書かれている作風の説明で「予め疑問が排除されている空気感」とあり、まさにそうだと思う。
 現実に見えるが、明らかに異なる世界が現実として存在するかのように世界観を作り上げる。

 本書はショートショート19編、

 うがいをした拍子で体から部品を失くしてしまった男の違和感を描く「部品」

 政府が確認したために日常で見かけることが多くなった飛行物体をめぐる「確認済飛行物体」

 祖父も父も失踪した原因となる”闇”が、ついに自分の近くで見かける機会が増えた「闇」

 その女性は、二重管理されていて削除されたデータのほうが本当の私だと訴えた「私」

 エレベータを使うのが嫌いな私は、非常階段に本棚があることに気が付いた「名もなき本棚」

 緊急時に自爆に迫られた時の手段である”緊急自爆装置”導入の予算に悩む公務員「緊急自爆装置」

 回収は一週間先の”会社員”が不法投棄され、今週のゴミ置場の当番の主婦は怒りを感じる「回収」

 ほか、全19編