名古屋ホストクラブ社長、バースデーイベントを終えて

哀しいくらい計算通り。
切ないくらいに思惑通り。

満員御礼、あざーす。

頑張ったら光りは反射して返ってくる。

今日もいい大人たちが山のように固まって
「ああでもない、こうでもない」
と無駄な話を繰り返している。

無駄な事にも意味があるんだ。

でも、あまりにも無駄が多いからホストクラブを知らない人にしたら馬鹿らしくて呆れてものも言えないかもしれない。

それでも回っていっているのだから…
この世界も必要なんだろう。

まあ、その意味を説明しなきゃ分かんない奴には結局分からない世界だ。

ブログやらミクシーやらツイッター等と言う虚像の繋がりを本物の関係と勘違いしているガチガチの二次元繋がりの人もそう。
三次元の魅力や意味は言葉じゃなかなか伝わらないよ。

じゃあどうすりゃいいかって言ったらそれは連れて来るしかない。
ここに。

だから言葉も強くなる。

それでも来ない奴はもうね…
『おめでとう、頑張ってね』
なんて…
口にする事をまったくといっていい程思ってもいないしする気等もさらさら無いという事。
そんな雛形に沿った言葉、心の欠けた言葉なんていうものは何の価値も存在意義すら無いという事。

ちょっとそこんとこつついたくらいでひどいだなんて、どんなガラスのハートよ。
自分を傷つきやすい人間だと公言する者ほど人より図太かったりするよなー。

それに…
ガラスのハートは生身の心臓より絶対に硬ーぞ。

謝る事で許されると信じるお気楽な奴ら…
一生ネットで架空の自分でも作って現実逃避してろや。

『心』には『心から生まれたもの』でしか伝えることは出来ないんだ。

今日もホストクラブの中で無駄な大人たちが群れている。
愛されている形は見えないけど愛は俺の周りで温かく包み込んでいる。

この笑顔にどんな意味があるのか。
そもそもこれは笑顔なのか。

分かっている、本当は。
こちら側も偽物の世界。

いつも隣にいてくれる君、いつまで一緒にいてくれますか？

はっきりと冷めていく部分もあるのにそれ以上に酔いしれるようにしがみついてくるお客さん。

きっと俺といるのは楽しい時間なんだろう。

君らは沢山の笑みと沢山の涙を連れて…
そして俺のホスト史を作り上げていく。

涙ひとひら風に舞う。

俺はこれからもホストをするだけだ。
精一杯生きるだけだ。

ここが俺の居場所だから。

とても不安になる事もある。
これからの俺のホスト人生はどうなるのだろう。

もっともっと大きくなって俺の体を飲み込んでしまうのだろうか。

いや、若さが失くなってしまえば真っ暗だろうな。
誰も来なくなってしまうのではないかと怖くなる。

それを思うとただただ静かに微笑むしかいられない。

10年後、あなたは思い出してくれる事があるだろうか。
地下鉄に駆け込む刹那に見かけた良く似た横顔に俺の面影を。

20年後、あなたは思い出してくれる事があるだろうか。
混んだ車内で寄せ合わせた肩の感触に俺の温かさを。

俺と似ている後ろ姿にはその都度、胸を熱くしてもらいたい。

俺の事を思う胸の熱さで夜の闇にだって火を灯せるって奴はいるだろうか。

誰かの心の中で俺は悪魔かもしれないし天使かもしれない。
それでもみんなの心の中に俺がいればいい。

いつか宝物だったもの。
いつか宝物になるはずのもの。

俺は思い出すだろう。
時間に余裕のない中、駆けつけてくれた人達を。
生活切り詰めて高いお酒で祝ってくれた人達を。
新幹線やらを乗り継ぎ会いに来てくれた人達を。

口だけじゃない人達…
やっぱり俺は俺のことを愛してくれる人と生きていきたい、そう思えたバースデーだった。

今日来てくれたみんな…
みんながいれば俺は他に誰もいらない。

こんなに祝ってくれるお客さんがいるホストは一体どれだけいるか。
俺のホスト人生は素晴らしい。

みんなとの出会いの幸い。
後は未練なく花散らす程に思い尽くすだけだ。

ここまでの道程は楽しい、そればかりじゃなかった。
来ると信じていた人に裏切られてホストが嫌になった時。
どっかのホストと歩いてるのを見かけて苛立った時。
未収をとばれホストがバカらしくなった時。

でも今日みたいな日があるから前に歩いてこれたんだ。
今まで頑張ってきた自分を裏切ることは出来ないって思えるんだ。

やってきて良かった。
笑顔で言える。

ありがとう。
明日に繋がる大きな強い希望を。

どんなに苦しくても、悲しくても、辛くても、心失くしても…
今日会えた人達が隣にいてくれる限り俺はこれからも最高のホストを魅せよう。

必ずくる終わりを一日事に感じながら俺は最後まで演じ切ってみせる。
素敵なラストシーンは自分で作るもの。

納得のいくフィナーレを飾るために、最後まで…。

何歩か前を歩いた時、悔し涙を零さないように…。

これからもここから見える世界くらいは大好きでいたい。
現役の頃の自分に恥ずかしくない俺でありたい。

負けたくないのは自分自身。
今日より明日の方が輝いていたい。
それが生きるって事だと思うから。

何も見えず、何も知らなかったあの頃。
正しい事も悪い事も分からなくて何も怖くなかったあの頃。
誰にも負けないようにとにかく強く、大きくなりたくて。

いつか花咲かそう、いつか実らせようって。

熱く、青い面影が苦しみと共に胸をかすめてくるよ。

ホストを選んだのは勇気がいったなあ。
ホストになってもホストをどこか軽蔑した目で見ていた。
自分だけは違うと。

いつも昼に戻る機会を窺がっていた。
それがこの歳までホストを続けているなんて。
ホストで生きていくなんて。

手放したものも多い。
傷付けた人もいた。
泣かせた人もいた。

それでも俺は思うようにしている。

20才の頃、思っていた所にはいけなかったけど思いがけない所にこれた。
それでいいじゃないかと。

多分、もう…
いいんだ。

俺は社長になれた。
その影には辛い思いをした人もいた。
俺のために仕事を変えた人もいた。
したいことを我慢させた人もいた。

輝きが華々しいほど落とす影は一層濃さを増すんだ。

あの頃支えてくれた人の時間、金、気持ちを無駄にしたくない…
その一心でやってきた。
報いたい、その一心で。

弱音を吐きそうになった時、支えてくれるのは今でもあの頃の記憶なんだ。
止めどない記憶なんだ。

いつだって…
いつだって…

俺のために生きてくれた人は忘れられないよ。
涙の跡に気付かないフリをするしかなかったけど胸ははち切れそうな程苦しかった。

泣きそうにもなった。
実際泣いた。

時は流れ、季節は景色を彩り変えてきた。
でも俺の景色は変わらない。
あの日のまま変わらない。

…俺はここまでこれた。

ありがとう。
そして、ごめん。

ずっと言えなかった。

俺は笑ってごまかしてばかりだった。

『ごめん』なんて言葉だけじゃあまりに薄っぺら過ぎて…。
かといって何も言えずにいた俺は情けなかった。

今の俺を知ったら彼女達の胸には何がよぎるだろう。
色んな事を犠牲にさせたあの日々…
まだ悔やんでいるだろうか。

雨上がりの優しい虹はまだ見えていないだろうか。

俺はホストじゃなかったら無に等しくなってしまった。
一番輝いている時期をホストで過ごせた事に後悔は決して無いけど。

ふと見上げた帰りの空があまりにも綺麗で…

今日一緒に過ごした優しい応援団を想い、
「ありがとう」
って呟いた。

ビルに埋め尽くされたちっぽけな空は埃っぽいものだらけで泣き出しそうだ。

俺は今、この人達に支えられているよ─。

<<2011年05月24日の記事より >>

YouTubeはこちら。
『名古屋ホストクラブブログ：帆純空バースデーイベント動画１』。
『名古屋ホストクラブブログ：帆純空バースデーイベント動画２』。