五輪 体操女子代表辞退に見る日本の構造的脆弱さ...次世代が育たない原因を垣間見た。 | 情熱山脈(passion mountains)のブログ

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オリンピックの華 体操競技女子 美しいですね

 

 

いやびっくりなニュースがパリオリンピック開会式1週間前に飛び込んできました。

 

 

 

オリンピック体操女子代表の喫煙内部通報で明るみに出て、体操協会の当人に対する事情聴取で飲酒も明るみに出て、結局のところ代表を辞退した...というニュース。

 

 世論も真っ二つに分かれて、規則を破ったのだから辞退は当然、という意見と、出場させないのは厳しすぎる、きちんと反省させて出場はさせるべき...という意見。

 

さて、今回のブログでは上の二つの意見については触れません...

 

ただし、元東京都知事の猪瀬直樹氏のコメントが非常にピンと来る内容だったので起草しました。

 

 そのコメントは...「つくづく日本人は劣化している。たかがタバコで何を騒いでいるのか。麻薬じゃないんだぞ!!」「規則尽くめの杓子定規が日本をダメにしてきたのだ。こんな些細なことで19歳の夢を潰すつもりか!」

 

というものでした。

 以前、”違反”について解説したことがあります。

 

 

規則を作る意味...これが2000年代に入ると”人間の管理のため”というウエイトのものがほとんどになりました。

 

 第二次世界大戦後の混乱の時代から高度成長時代 1964年の東京オリンピックのころは、何かにつけ、判断を統一しないと世の中がうまく回らないために規則が作られていました。

 そして現代と違うのは、”その規則がなぜそのような取り決めになっているのか”を各人が理解してそれに従っているということです。

 

 反して、2000年代の各企業における”内部統制”に始まる管理社会においては、”規則が決まりました。守ってください”がほとんどのように思います。

 

 ”コンプライアンスの順守”の元に、無理な目標を求めて、結局はごまかし、無茶というプロセスが社会を動かした例が多々表ざたになっています...たとえば...

  1. みずほ銀行の数度にわたるATM障害。
  2. トヨタ、ダイハツ、ホンダなどの検査数値偽造問題
  3. 医薬品メーカーの試験手順違反

資料:ダイハツ不正問題の記事

 

などなど、みなさんもそういえば...という例がいっぱい出てくるでしょう。

 ここで猪瀬氏のコメントで言わんとしている、杓子定規が...という言葉...

これは、規則を作った側が、AはBだ。守れ!と指示を出すだけで、特に若い人はそれに疑問を持たず従おうとしてきた。つまり、なぜAがBなのかという探求心をもつことが悪とされてしまう風潮がスタンダードになってしまったのです。

 

 今回の不祥事についても、上記ブログにおける”違反”という顕在化した失敗を確認して、体操協会会長が”陳謝”会見をしてとりあえず終わりになりそうです。

 

こちらのブログで取り上げた...

 


この図...顕在化した失敗(違反やエラー)の失敗という問題に占める原因のウエイトは5%であり潜在化した...目に見えない失敗のウエイトが95%である...という図です。

 今回の原因追及って???

選手の管理を怠っていたのが原因のような文言を言っていましたが、そしたら今後は24時間監視をつけるのでしょうか?刑務所以上ですね。

 

 いや、その前にやることは図の左側にたどって”違反を引き起こす条件はなんであったか”の追求なんです。

  1. まわりもタバコを吸ってるから
  2. タバコぐらい大したことはないから(猪瀬氏の麻薬じゃないんだぞ...じゃないですが)
  3. 特に身分証明書なくても買えるし
  4. 先輩も吸って気分が落ち着いたと言っていたし

現場で原因究明をすればもっと出てくるでしょう。しかも、性格によっては、

  1. みんなも吸ってるのになんで自分だけ言われなければならないの
  2. 他人は他人、自分は自分...他人が吸ってる吸ってないは関係ない

と当人が言う言葉も分かれるでしょう。しかし、2であっても深層心理では1かもしれない。そこが難しいところです。

 アメリカで航空機のニアミスが起きると、まず操縦士を免責にしてから事情聴取をするのもそのようなバイアスを防ぐためで真実を追求するためです。

 

 この段階までがきちんとできると左の枠内の追求になります。

人間はかならず組織の中で動いています。どんな一匹狼でも、日本人という組織、市民、会社員、公務員という組織、そして家族という組織などに居ます。

 

 では、今回は...もうここまで読んだ方はいろいろな予測が立つと思います。

ただ、これが体操協会やその周辺だけでの考察ではまだ浅い。

 日本人、いや、人類まで視点を広げる必要があります。

 

例えば、国連決議に違反した戦争をやっている国がある。

 それが、知らないうちに”規則は規則、やぶっても結果を出したやつの勝ち”という心理を植え付けていたり。

 

 そのような知らないうちに”違反”が起きる素地が出来ていた...という結果、オリンピック日本代表の喫煙 という失敗が顕在化したのです。

 

 私も還暦を迎えとっくに若い世代にバトンタッチしてますが、若い世代に欠けてるのは”自ら考えること”と思っています。

 ”失敗してもいいから思うようにやってみなよ”という言葉が出なくなって久しい日本社会。

”言われたことしかやらない””言われるまでやらない”という姿勢、環境で若い時間を過ごした人々がやれ責任世代の年齢になったときどうなるのか?

 

猪瀬氏と私の懸念はここで一致したのでした。