退院日当日。

ついに、この日がやってきた。いよいよ退院する。

午前10時までにチェックアウトしなければならなかったので、荷物の整理や手続きなど色々あった。

 看護師さんから、入院費の概算金額を渡された時はびっくりした。

約10万近く。もう入院はそう簡単にはできない。あらかじめ、高額医療費限度額申請をしていたので、

この金額で済むが、制度を知らなければかなりの額を窓口でし払う事態になっていた。

 

「退院おめでとう。お互い頑張ろうね!」

仲間一人一人と固い握手を交わした。

『絶対に良くなる。負けるもんか。』


 いつもシーツを取り換えにきていた方が、

「退院よかったね。笑顔が戻ったね。」

 今まで散々苦しんできたこと、この入院は最後のつもりだったこと、いつも話を聞いてくださった。

私は、数多くの優しい言葉に包まれながら、身支度を整えた。

 病棟の前で、みんなで写真撮影。一足す、一は、、、、に。みんな笑顔。

まだいろいろ話したい気持ちはあったが、これ以上みんなといると泣いてしまいそうだったので

「またね。さようなら」病室を後にした。

 

 ナースステーションに立ち寄り、顔なじみの看護師さんたちにお礼を言って、病棟を出た。

会計を済ませ、次回の通院日を確認して、正面玄関に向かった。


「ちゃんとタクシーで駅まで行ってね。」

Tさんが心配してくれたが、私は無性に歩きたい気分だった。


 今日は晴天。心地よい風が吹いていた。


 これからも通院はしばらく続く。そして、今月中に診断が確定されるだろう。

でも、決して結果に恐れることはない。たとえどんな結果であっても今は受け止める自信がある。


私は、駅までのまっすぐな道を、これから自分の進むべき道のように、力強く歩き続けた。