ある患者さんからいただいた

大切なメッセージをご紹介したいと思います。

 

それは

 

  「がんの治療中であっても

   強い痛みや呼吸困難に苦しんでいる人がたくさんいる。 
   そういう人は是非緩和ケアにアクセスしてほしい。

   痛みがなくなったら人生が変わるから。」

                                  ということばです。

 

がん治療中の方に向けた

 

緩和ケアは治療が終わってから受けるものではなく

痛みがあるなら今緩和ケアにアクセスするように

 

という、強いメッセージです。

 

 

 

改めてこのエピソードをご紹介する理由は

この患者さんががん治療中に

痛みの治療をしてくれる医師と出会うのにとても苦労したからです。

 

 

癌の治療中、二年以上もの間痛みに苦しみました。

その痛みは

ホスピスに入院したら

たったの二週間ですっかり消えました。

 

「がんが治ったのではないかと錯覚してしまうよ」と笑いながらも

 

 

自分は40代でがんになって

悲しいと思うけど

もう治らないと言われていたので

たまたまホスピスにたどり着いて痛みの治療もしてもらえた。

 

痛みで困っているのは自分だけじゃないはず。

 

治療を受けている段階から痛みから解放されたら

本当に幸せなんじゃないかと思う。

 

痛みがあると、がんが少し小さくなったと言われても

良くなっている実感がなかった。

 

今がんの治療中に痛みで苦しんでいる人には

ホスピスや緩和ケアは

最後の場所というイメージがあると思うけど

是非とも緩和ケアにアクセスして

痛みの治療を受けてほしい。

 

そのためにホスピスで行っている

痛みの治療のことをもっと世間にシェアしてほしい。

ホスピスじゃない場所で痛みの治療ができるなら

そのことをもっと発信してほしい。

 

 

患者さんはこのようにメッセージを残してくれました。

 

 

痛みに苦しんでいたときには命を絶つことも考えたといいます。

痛みで苦しんでいたときには

かわいい子供を抱きしめることもできない

人を愛することもできない最悪な状態だったと振り返ります。

 

 

がんの治療中にホスピスに相談に行くことは

なかなか思いつかないし、躊躇するかもしれないけど

それができる緩和ケアの医師を探してほしい

そういうことができるという医師はそれを発信してほしい

 

そういう強いメッセージでした。

 

忙しい外来で、10分や20分の診療では

痛みを十分緩和することは難しいかもしれません。

がん治療病院では治療のための入院は可能でも

痛みの治療のための入院はなかなか難しいのかもしれません。

 

痛みが生活の中のどんなときに強くなるのかは

数日でも入院してその人の生活を見ていくことで

生活の中でできる工夫が見えてきたり

治療に使用した薬剤の効果を

スピーディーに評価することが可能になります。

 

もちろん訪問診療できめ細かく行ってくれる医師もいます。

 

実は前回ご紹介したように

がんの治療中の患者を診てくれる

緩和ケアの医師が少ないという背景があります。

 

そのため、緩和ケアはがん治療が終わらないと

みてくれないと思っている治療医が多いのも事実です。

 

しかし、それをきちんとしてくれる緩和ケア医も少なからずいます。

 

がんの治療中だからといって

緩和ケアにアクセスすることを躊躇せず

是非ご相談ください。