はじめまして、細谷ゼミ16期の大西健太です!現在、僕はイギリスのシェフィールド大学に留学しております。その関係で、未来の17期の皆さんは僕にとって第二の同期になるので、こいつこんな偉そうなこと書いてやがって!と一年後くらいに言われてそうですが、そこには目を瞑り、なるたけ思うままに書きたいと思います。

 

 さて、いざ自分の番が回ってきたところで、書きたいことが多すぎる、形式はどうしようか、他の皆も同じようなことを書いているのでは、と思い始めたら進むはずの筆が進まず、とりあえず一晩寝かせるつもりが気付いたら締め切り当日になってしまいました。9時間の時差に免じて2週間くらい猶予をくれないかなーと思っていたところ、入ゼミ係からブログ頼んだという連絡を頂きました。いやー流石我らが入ゼミ、しごできが多い。(追記:2週間どころか一か月たっちゃいました。この場を借りて入ゼミ係に陳謝いたします!🙇)

 

 色々悩んだ挙句、ここでは15000字という鬼畜の所業とも思える様な入ゼミ課題の攻略法!、、、ではなく課題そのものの魅力をお伝えしたいと思います!!

 

 おそらく細谷ゼミに少しでも興味を持ってくださった皆さんはこの膨大な課題の量に立ちすくんでいるか、泣く泣く書き始めているか、森ゼミのインスタに飛んだかのどれかでしょう。そもそも、こんな課題必要あるの?と疑問に思う方もいるかもしれません。ただ、僕のほんのささやかな願いは皆さんがこの課題を楽しく取り組んでほしいという大変身勝手なものです。自己紹介、本5冊、書評、各々で5000字埋めてこいなんて言われたら面倒に思うかもですが、それだけで細谷ゼミという選択肢を消してしまうのは勿体ない!むしろ、この課題をある意味、絶好の機会だと思っていただけると嬉しいです。

 

 各パートに入る前に概して言えるのは非常に「自由」であるということです。もちろん最低限の文章としての体裁や自分語りに終始しないといった気遣いは必要ですが、何を書くかは個人の裁量にほぼほぼ委ねられています。そのため、「入ゼミの競争を突破する」、「課題をこなす」という意識を強く持つよりも、いかに自分という存在を15000字の中に落とし込み、解像度高く示せるかが重要であると思います。他のゼミ生も述べていますが、自分を着飾る必要はありませんし、肩の力を抜いて気楽に書くことをおすすめします。

 

①   自己紹介

 このパートは色々な書き方があるでしょうし、具体的な構成などに悩んだら他の同期のブログを参考にしてみるといいでしょう。僕的には、過去の経験や通時的な思考の変化、なんでもいいですが、自身の原体験を追憶し、根源的な価値観をとことん突き詰め、細谷ゼミとあなたの人生を一つの糸で紡ぐことがこの課題の最適解だと思います。ある意味、この作業は20年近く生きた自分と向き合う絶好の機会なんじゃないかなと勝手に感じています。ゼミの願書にそんな大げさなと思うかもしれませんが、5000字の自己紹介ともなると事実の羅列、表面上の形式だけではしっくり埋まりませんし、ある程度自身を開示する必要があります。切り口はいくらでもあると思いますが、人生を自分の言葉に落とし込むのは難しいものの案外楽しいものですし、漠然と感じていた自分の思考を言語化する作業は、自身の中で色々なものに整理がつくと思います。さらに、皆さんの多くは成人式を終え、ある意味、大人として舞台に躍り出た一方、学生として、子供としての立場もあるという絶妙な立ち位置にいるんじゃないかと超勝手ながらに思っています。そんな絶妙な立場にあるからこそ書ける言葉もあるだろうし、そんな今だからこそ今までの人生を振り返ることの意義は計り知れないと思っています。そして、一番大切なことに、その上でなぜ皆さんの足は国際政治に、細谷ゼミに向けられているのかを改めて突き詰め、それを一つの形に昇華することこそがこの課題の醍醐味であり、真髄でもあると僕は思います。

 と、めちゃめちゃ偉そうにべらべら語ってきましたが、僕自身そんな風に言える立場では全くなく、今でも自身の自己紹介を読み返すと火が吹き出るくらい恥ずかしいです。同期と比べて大した華やかな経歴も卓越した才能もあるわけではないそこらへんの凡人ですが、それでもこの課題を通じて改めて自身を振り返れたことがいい経験になったと今でも思いますし、ほんの少しでも皆さんがそう感じてくれるのであれば嬉しいです。

 

②   本5冊

 こちらもどの様な本をチョイスするかは完全に自由です。自分の価値観に影響を与えた本でも良し。ただ単純に好きな本でも良し。漫画でも写真集でも良し。四角い紙の束であれば何でもいいと言えば言い過ぎでしょうが、とにかく自由に選び、語ることができるのでこのパートが一番筆が進むかもしれません。先生に一定の印象を植え付けさせたいのであればある程度一貫した選定をするべきかもしれませんが、バラバラでも全く問題ないと思います。ちなみに私自身は、自己紹介の補完のための歴史小説1冊、自身の学術的な思考の基礎となった本2冊、死生観に影響を与えたエッセイ1冊、申し訳程度の面白かった小説一冊と、一貫性などくそくらえの選定でした。

 なにより、自分の本棚をほじくり返してみると、自身の嗜好の移り変わりを辿れることや、懐かしい本との再会を果たし、過去の印象とは全く異なるそれを味わうことが出来るのがこのパートの魅力なのだと思います。こちらも、前述の自己紹介に通ずるところがありますが、現時点で皆さんが選ぶ5冊それぞれにはそれなりの意味があるでしょうし、細谷先生のお言葉をお借りするならば、自身の「知的な来歴」を振り返るいい機会だと思います。

 

③   書評

 正直、自己紹介、本五冊パートについてメインで執筆したかったので、あまりこのパートで言及することは無いです笑。おそらく皆さんはこの分量の学術的なレポートを何回か執筆した経験があると思うので、いつもの課題をやる要領で進めていただくのが一番だと思います。強いて言うなら、前半2パートで自己の経験やパーソナリティを十二分に説明していると思うので、このパートでは自分のアカデミックスキルを一定程度示す必要があると思います。最低限のライティングの決まりや論理的構成を意識するべし、くらいが僕からのアドバイスです。

 

 以上が各パートの概要です。再三になりますが、15000字というインパクトにあまり萎縮せず、のびのびと自身を表現することが一番大切だと思います。そして、この15000字を書ききったからこその細谷ゼミ全体での連帯、といったものがある様に僕は感じます。ただこれは、体育会的な同じ苦労を共有したがゆえの絆というよりかは、この課題を通じて浮き上がった各々の個性の輪郭が際立っており、お互いにそれらを最大限を引き立てようとするからこそ生まれるこのゼミならではのものだと感じます。そして、それこそが同期が声高々に掲げる細谷ゼミの「多様性」の源泉なんじゃないかと僕は思います。

 おそらくこれを読んでくださってる皆さんは細谷ゼミの魅力として「多様性」という文言が謳われていることに気付くでしょう。正直、昨年の僕はこのフレーズに決定的な魅力を感じていませんでした。十人十色とはよく言ったもので、別に人それぞれの考えや行動があってそれらは勿論尊重されるべきものだし、1コミュニティの象徴的な魅力として掲げられるものなのかと疑問に感じていました。もっとぶっちゃけると、人数多いだけじゃね?って少し思ってました。実際、彼らの肩書や経歴のユニークさは突出したものもあったのですが、それよりも彼らの自己表現と他者尊重の上手さというか、両者の絶妙なバランスというかそういったものをゼミに入ってすぐに強く感じました。それがどうしてなのか考える事もあるのですが、15000字を書く決断をし、実際に書ききった人達なら納得だなと腑に落ちる、というのが僕の感触です。ともかく、人それぞれの取り組み方があると思いますがあまり気負いせず、されど全力で取り組むことをおすすめします。今からでも遅くありません!

 

 

細谷ゼミの魅力 

 ここからは僕なりのゼミの魅力を語ろうかなーと思います。もう多くの同期が語りつくした内容ですが、やはりどうしても書きたかったので最後にもう少しだけお付き合いください。なお、おそらくゼミへの愛を語る、有益な情報の無い、ただの惚気話に終始する可能性大なので〆切が迫ってるそこのあなたはとっととWORDを開いて執筆しましょう!

 

 少し個人的な話になりますが、冒頭で述べたように僕は今年の9月からイギリスに留学しているため、今の同期と一緒にいれたのはわずか半年にも満たない短い期間でした。もちろんそれが分かっていたため、なるべくゼミの集まりには参加する様に心掛けていたのですが、当初の僕はあまりコミュニティとしての役割を期待しておらず、まあ何人か気の合うやつと会えたらいいなーくらいの低い期待値しかありませんでした。もう少し個人的な話をすると、自分が20歳を迎えた頃くらいから自身の精神の成熟みたいなものを感じ始め、どうやったら人と穏便にやっていけるとか、程よい距離感を保つにはどうすればいいかといった、所謂世渡りの仕方みたいなものが分かり始めてきて、あまり旧来のコミュニティや親しくしている人から逸脱して、新しい人と深い関係になることを何となく遠ざけていました。僕の場合、地元と高校同期の2つのコミュニティがあるのですが、彼らが、少し大げさかもですが、生涯の友人になるんだろうなと薄々思うなか、これ以上コミュニティや親しい人を増やす必要があるのかとさえ思っていました。(これを読んでくださっている2年生の皆さんの中にも同じようなことを少しでも考えたことがある方がいれば幸いなのですが、、、)

 

 ですが、気付いたら水曜日の終わりが憎たらしくて仕方ないくらいに、今では彼らと酌み交わすグラスが恋しくてたまらないくらいに、ゼミでの時間が僕の大学生活で本当に大切なものになったとだと感じます。正直、僕は大分自由に発言させてもらっているというか、よくわからん議題を提起させていただくことがしばしあるのですが、それに対しても全力でバットを振ってくれるのが皆の大好きなところです。たまにそのバットが僕の顔面に当たり死に至ることあるのですが、まあそれはそれでいいとして、彼らとの時間は三田キャンパス生活でかけがえのないものになっていました。

 そして何より、彼らの持つ謙虚さとか寛容さとかがその根本にあるのですが、そこらへんはこの駄文に辿り着く前に同期達による素晴らしいブログによって明快に記されていると思うので割愛します笑。ともかく、細谷ゼミはどう良いのか、ということはいくらでも論理だてて書けるのですが、それでは何か物足りない、というかそれは確かにそうなんだけど彼らのほんの少しの部分しか伝えられない、と葛藤した結果ただただ「良いんだよ」と言うだけの新橋のおじさんみたいになりそうなのでここらへんで筆を置こうと思います。

 

 

おわりに

 入ゼミ課題に取り組む皆さんの役に立てる様な文章を心掛ける反面、どうしてもゼミの魅力と私の愛を伝えたいというエゴが共存した結果、散漫で冗長な文章になってしまったかもしれませんが、ほんの少しでも細谷ゼミへのイメージを構築する一抹の助けになるのであれば、15000字という長い旅路の微々たる活力になるのであれば、とても嬉しいです。

来夏、17期の皆さんと会えることを楽しみにしてます!課題頑張って!!