虚栄心や野心等、優越性に靡いたり、必要以上に欲望を満たそうとする人間のネガティヴ性は、深く潜在意識に沈潜している。

別段、優越性や勝利や欲しいものを求めることは、あえて否定されることではないが、今ここにある出来事や事実から、ともすれは離れていく要因ともなる。

潜在意識に望ましい理想や夢をインプットする事が出来れば、それらが実現するという言説があるが、ネガティヴに支配されている潜在意識に、何かを追加しても、余計に混乱が生じるだけである。

必要で大切なのは、自分の潜在意識がネガティヴの塊であることを明確に認識することであり、それをスタートラインにする事である。

そこから目を背けて、良い意味での何かを実現出来ることは、絶対にない。人生は思考の産物なのだから、良い思考には良い結果が、悪い思考には悪い結果が生じたり、強く目標とするものが実現しやすくなるのは確かである。しかし、ネガティヴを直視できなければ、それを解消する可能性も開けない。字が雑ならば、綺麗に書くように努めるべきだし、思考が曖昧なら、明確な認識を持つようにする。些細なことで苛立つなら、なるべく肯定的に受けとめるようにしなければならない。その努力をネガティヴ直視とセットで行うのである。真剣になるべきは、何かや誰かになることではなく、無(ゼロ)になることで、それは毎瞬、一ミリの隙間もなく、自分の内外の現実との同化も意味している。ゆえに身の回りの日常的に接するものについては、肯定的に受け入れられるように掃除や整理整頓を心がけたい。そして全ていつかは完全・無限・愛(真善美)に向かうということでもある。

潜在意識に何かをインプットして、良いものを実現するのは、宝くじに当たるより難しいと言われる所以である。事実や現実を離れたり逃げたり自己正当化して、ここではない何処かで良い事実や現実が訪れた試しはないだろう。逆に、自分のネガティヴが解消されたなら、いつの間にかここではない何処かで新天地を開けるに違いない。