夢のまた夢の段位『風神』に到達すること。
その意味は「鉄拳の段位ポイントを45,700にする」ということではない。
結果的にはそういうことになるが、
「風神たり得る実力を備えることがポイントを45,700にまで積み重ね、風神の称号を運んでくれる」
と言った方がボクにはしっくりくる。
したがって、剛拳から邪拳、邪拳から戒拳、戒拳から修羅へと昇段できたことは嬉しいことではあるが、これを手放しに喜んでいるばかりではならないと思っている。
なぜなら、ここまでの昇段について、ボクは以下のように自覚しているからである。
・バーチャ(VF4evoのゲーセンでの最高段位は初段のクソ雑魚ナメクジですが)、スト5,6と、決して上手くはないながらも対人戦の経験値だけはある
・上記と連動すると思うが、鉄拳のアイデンティティ、鉄拳8のシステムについては素人であっても、格ゲーという大きなくくりでいえば慣れているとも言える
・難しくなければ、ある程度の操作は出来る
・諦めずにランクマッチを回していれば、ボクよりも格ゲーに不慣れなプレイヤーにもマッチする。今ボクが戦っているランク帯であれば、負け越しても段位ポイントは増える
そういうものが上手くいった結果がボクに『修羅』の段位を見せてくれはしたが、ボクのこれまでの格ゲー人生がこの先が極めて厳しくなることを予感させるのである。
前置きが長くなってしまったが、だからボクは鉄拳8のスティーブに関する文献を読み漁ることにしたのである。
スティーブをよく知る権威によって記された文献(要は攻略サイトである)によれば、鉄拳8のスティーブとは概ねこんな男だ。
・過去作から弱体化され、史上最弱のスティーブとなった
・操作が厳しい。一部の技は難しい操作も求められる
・他キャラが優秀なため、スティーブ自体が弱過ぎるというのではなく、総体的に見て厳しい
・下の上くらい
散々な評価である。
だがしかし、ボクはこんな時にバーチャ神『ちび太』選手の逸話を思い出す。
「ぼくがリオンを使い始めたのは、まだみんな使っていなかったから、『リオンといえばちび太』みたいになれるかなって」
ちび太選手のそんな感じのコメントを聞いたことがあるように記憶している。
ちび太選手はかつて、バーチャ最強キャラの一角であったアキラを使い、『ちびっ子アキラ』として既に数々の大会で活躍されていた。
しかし、そんな中でのリオンへのキャラ替え。
リオンはバーチャ2で初めて登場したキャラであり、詳しいことはよく知らないが、少なくともキャラクター自体の強さでいえば、当時圧倒的にアキラやラウ、カゲなんかの方が上だったと思う。
それでも、キャラクターの強さの評価だけでキャラを選ぶのではなく、「自分がどのキャラを使いたいか」を貫かれ、その後もリオン使いとしてその道を極め、やがてバーチャ神となられた偉業は誰もが知るところ。
彼の逸話の影響はボクにとってはあまりにも大きいのだ。
従って、今ボクは改めてスティーブに興奮している。
いや、変な意味ではなく。
もちろん、スティーブ使いには既に「スティーブといえば○○選手」というのがあるし、残念ながらボクの腕前ではちび太選手の後を追うことは出来ない。
しかし、ボクなりのスティーブの歴史を紡いでいこうと思っている。
「鉄拳8の強キャラはドラグノフ、吉光、ニーナ、そしてアリサだよ。
キミのようなクソ雑魚ナメクジは少なくとも強いキャラを選ぶところから始めないと舐めているとしか思えないよ?バカなの?死ぬの?」
そう言われても、ボクはスティーブで風神を目指していこうと思う。
対戦格闘ゲームって不思議だよね。
一対一で戦うのだから、やり合えばほぼ必ず勝者と敗者が決まる。
マッチングする対戦相手と比べて余程強かったり弱かったりしなければ、試合の半分は勝つが、半分は負けるもの。
勝負の世界において半分負けるっていうのはなかなかのインパクトだと思うんだよね。
「今日の対戦」
の半分が悔しく、腹立たしく、ストレスだなんてね。
それでもボクら格ゲーマーは今日も対戦に臨んでいく。
日中は、
仕事でボロ雑巾のようになり、家事や育児に奔走してグッタリ、勉強のストレスや部活の人間関係の理不尽さや色々があり、
夜はその上で一対一の勝負なんてね。
「何のために戦うのか」
改めてそんなことについて思うと、格ゲーに一生懸命になることが一体何になるのかってね。そうも思うんだよね。
でも、きっと闘志の炎は消せやしないんだよね。
なぜなら、そこにアケコンがあるから。
やっていこう。
やってやろう。
そして、いつか神の段位に辿り着きたい。
その瞬間、きっとボクは7歩歩いて右手で天を指し、左手で地を指し、こう言うだろう。
天上天下唯我社畜
宝くじ一等当てて仕事やめてーーー!!
うおおおおーーー!!
つづく