1.上手くいかない仕事
今抱えている仕事が上手くいっていない。
「何事も順調ばかりではない」
そうは思いながらも、もしかすると過去一で良くない仕事の状況をして、なかなかにキツいところ。
業界では大手と言われる会社で管理職を務めるボクは、職責の通りに部下を抱えている。
彼ら、彼女らに良い仕事をしていただき、良い業績をつくり、良い処遇を受けてもらう。
それが管理職の役割であり、責任であるとボクは思う。
それが出来ていない今、自分の力不足を実感している。
もちろん、上記の通りの役割、責任を担っている訳だから、これからこの苦しい状況を打破しなければならない。このままでいるつもりはない。しかし、今現時点を見つめてみれば、ボクは名ばかりの管理職だ。
2.名ばかりのMASTER
ボクはストリートファイター6をプレイしている。
あの「スト2」で知られる対戦格闘ゲームの最新作だ。
その「スト6」で、ボクは2024年4月4日にMASTERというランクに到達することが出来た。そのランクはゲーム内の最高位である。
MASTERに到達する以前のボクは、それに到達したボクは一体どれだけの達成感、充実感、満足感で満たされるだろうかと想像していた。
しかし。
そう、「しかし」と書いたその通り、ボクが満たされたのは贔屓目にみてほんの数日間だった。
MASTERのボクは満たされた時間を瞬く間に失い、代わりに別の思いに支配されることとなった。
それは、
「MASTERという肩書きを与えられたものの、ボクは名ばかりのMASTERに過ぎない」
という思いである。
実生活においては名ばかりの管理職。
趣味のゲームにおいては名ばかりのMASTER。
ボクは結局、名ばかりの存在なのだ。
3.取り繕う子ども
思い返せば、子どもの頃からボクにはそういうところがあったように思う。
転勤族の家庭に生まれたボクは、親の仕事の都合でしょっちゅう引っ越しを経験した(少なくとも子どもの頃のボクはそう思っていた)。だから、引っ越し先で自分の居場所を見つけられるように、出来る限り速やかに「表面を取り繕う術」を磨いてきたのではないかと思う。
結果としてボクは表面を取り繕うことによって、恐らくは人並み程度の成果「らしきもの」にあやかり、何となく人生をすり抜けることができてきたように思う。
学生生活もそう、就職もそう、昇進もそう。
挙句、ビデオゲームという世界においても。
4.キミに心配させたくなくて
「あなたって悩みがないのよね」
会話の中で、キミはそう言った。
「もちろん、小さな悩みはあるのでしょうけれど」
ボクはキミにそう言われ、寂しさをまるで感じなかったという訳にはいかなかったが、一方ではひどく安堵した。
うまくいかない物事に対してボクが感じているものを、キミに悟られてはいないということなのだから。
誤解のないように記せば、ボクはキミを心の底から信頼しているし、心の底から大切な人だと思っている。これまでも、これからも、キミなしではボクの存在価値などないとすら思えるほどに。いささか利己的な気もするが、正直に言って「キミがいるから」ボクは幸せだ。
そんなキミだから、ボクが今何に苦しんでいるかについて吐露することは出来る。思い切って胸の内を明かせば、「大丈夫よ。あなたはいつだって正しいわ」と言ってもらうことが出来ると思う。
だが、ボクはそうすることを望みはしない。
簡単ではない仕事から自宅に戻ったら、いつだって平気な顔をしていたい。
キツかった。辛かった。もう嫌だ。
そう言う代わりに、
「今日も疲れたー!晩御飯は何だい?」
とボクがキミに訊ね、
「今夜はあなたの好きなものよ」
とキミが笑ってくれる、そういう風に過ごしたい。
ありのままの自分を表すことを自分らしさと言うのなら、これこそボクらしさだと思う。自分でも不器用だなぁと思わなくもないが、これ以上に良い生き方をボクは思いつくことができないのだ。
だから、
「あなたって悩みがないのよね。ストレスも全然溜まらないって言うものね」
キミにそう言ってもらえることでボクは安心する。
5.救いの場所
きっと世の中にはボク以外にもそんな人がいる。
大切な人と過ごす時間を笑って過ごしたいから、キツいこと、辛いこと、嫌なことを吐き出すよりも、そういうものを取り敢えずは飲み込んでしまい、楽しい会話に努めるような人たちが。
ボクは(自分のことは置いておいて)そういう人たちを本当に優しい人だと思う。
だからこそ、もし、そういうことを吐き出したいと思った時には、どこかでは思い切り吐き出してしまえば良いと思う。
優しい人こそ、きっと抱えがちだから。
幸いにも、ボクにはそういう場所がある。
SNS、ブログ、そういうものにボクは大いに救われている。
だからボクは何度でも立ち上がれる。
苦しいことを苦しいと吐き出し、しかしそれを大切なキミに悟られることなく、そうやってキミの前ではいつもおどけて笑うことができる。
6.脱出
実生活とゲームという二つの世界において、ボクは名ばかりの肩書きというものに苦しんでいる。
そしてそのように苦しんでいることを大切なキミに悟られることなく、SNSやブログで吐露し、何とか戦い続けている。
ボクはこの先、どうやって生きていくのか?
何のために仕事をするのか?
次の休日を迎えるために、それ以外の日々を「早く次の休みが来ないかなぁ」と何となく消費していくのか?
休日を充実させられているか?
大切なキミを幸せにしているか?
何のためにスト6をするのか?
プロになる、否、その素質もないのに真剣になって何になるのか?
そんな苦悩は尽きないが。
7.きっと悩みながら選択する全てのことは正しい
先述の通り、SNS、ブログにボクは本当に救われている。
今回記事をこうして書きつけることで、かなり気持ちが楽になったと感じている。
思いのままに取り留めもなく記したため、何とも見苦しいところもあると思うが、敢えてそのままにしておく。やがては、こんな日もあった、とそれも含めて笑ってやろう。
難しいことはボクにはよく分からないが、きっと一生懸命に頭を悩ませながら導き出した答えというのは正しいものなのだ。
結びに
ブログ記事のタイトル「負け続ける意志力」は、もはや言うまでもないが、あの梅原大吾氏の著者「勝ち続ける意志力」のオマージュだ。
彼とは対極的とも言えるスト6プレイヤーのボクだからと安直に「負け続ける」としたし、そのようにして表した「負け続ける意志力」という言葉を遊び心でどのようにしてか使いたかった。
しかし、いざ文字としてみると思いの外、ボクにとっては意味ある言葉だと思われた。
そう、負け続けることが出来るのは勝負事に挑戦し続けた時だけなのだから。
そしてまた、負け続けることは同時に未来における成長のヒントを得続けるということなのだから。
勝ち続けることは敗北して学ぶことを決して得ることが出来ない。
そのような意味を持って、ボクは負け続ける意志力を失わず、この先も歩いて行こうと思う。
上手くいかないことを抱えながら。
名ばかりの肩書きに押し潰されそうになりながら。
大切なものを守るために、精一杯強がりながら。
苦しいことを苦しいと吐き出しながら。
ボクの好きな言葉を記して、結びの結びとする。
「成功とは、どん底に落ちた時、どれほど高く跳ねあがれるか、ということである」
ジョージ・パットン
「「助けて」と言える人、言える相手がいる人は、それだけで十分強いのである。」
川村則行